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わたしより一回り若い友人で、自他共に認めるイケメンの独身貴族・モチヅキくんからこんな話を聞いた。

 

とあるイベントの入場待ち行列で、すぐ後ろに並んでいた女性に声をかけられた。

「あの、もしよろしければ一緒に写ってもらえませんか?」

彼女はイベントに集まる人たちの中でも一目置かれる存在らしく、ちょっとメークが濃いけど笑顔が少女のように可愛らしい人。モチヅキくんも顔とニックネームくらいは知っていた、その女性の申し出に悪い気はしなかったという。

 

快諾して、女性の隣で自撮り棒の先に向かって微笑む。ぱしゃりと撮ったところで、女性はモチヅキくんに次なるお願いをした。

「あの、これインスタに載せてもいいですか?」

 

モチヅキくん、2秒ほど悩んだという。

「ごめんなさい、顔出しはNGでお願いします」

 

その後、気になって女性のインスタを見た彼がわたしに言った。

「普通だったら、ラブ マークだとかハート マークなんかで顔を隠す、とかすると思うじゃないですか?」

「でもその時の写真、ボクが全身丸ごと消えていたんです!」

 

透明人間のごとく、その場にいなかったことにされていたモチヅキくん。

今どきは写り込んだ〝余計なモノ〟をくり抜き、その跡地を周囲に馴染ませつつ埋める…ごく自然に〝消し去ってくれる〟便利なアプリが存在するという。

 

不都合な部分があれば、写真からも記憶からも消して。真実を写していない「写真」は、いま世界に溢れているのだろう。

 

スマホ画面の向こうで微笑む、限りなく透明に近い自分を想像してみたら。

ほんの少しだけ、ブルーな気分になった。

 

ユッコこと岡田有希子さんに、モノクロームの哀しい記憶しかない人へ。

彼女が残したたくさんの笑顔の写真で、カラフルに塗り替えてほしいです。

photo by yukikostarlight