第15回 ORIGINE KOBE講習会 | ボヌール☆花粉 松本由紀子オフィシャルブログ


 
去る7月10日、「第15回 ORIGINE KOBE講習会」を開催させていただきました。  

ご参加くださいました皆さま、ありがとうございました


2018年第3回目の講師を務められたのは、
『ラヴニュー』の平井茂雄シェフと、『コンパルティールヴァロール』の大西達也シェフ

今回も、各シェフ2品ずつ合計4品ご紹介させていただきました。


●平井茂雄シェフ

*ランジュ
*ケークショコラメキシック


●大西達也シェフ

*セーヌ
*ラムケーキ


ロングセラーの名品!

元町ケーキさんのラムケーキの秘密が分かるかも!? 






 

平井シェフのデモは、今回はアントルメの「ランジュ」のみ。


一から全ての工程差し替えなしでを作っていきたいということで、
通常室温で冷ますところをチラーを駆使するなどの工夫をし、
約2時間程で見事に完成されました


実はこのアントルメは、昨年2017年にイタリア・ミラノで開催された
お菓子の世界大会「FIPGC」に日本代表として出場された時の作品。


大会では約8時間をかけて全作品を作り上げていくのですが、
そのうちアントルメは2時間程とのこと。
今回はまさに、大会さながらの実演を披露してくださいました





 
コンクール作品とあり、構成パーツも多いです。


下から、パート・シュクレ・カカオ・アレジェ、

ガナッシュ、モアルー・アマンド・ノワゼット、

ムース・オ・ジャンドゥーヤ、ジュレ・ダブリコ

ムース・オ・ショコラ、 グラサージュ・プラリネ・ノワゼット 
クランブル・カカオ。


まず、シュガーバッター法でパート・シュクレを作り

3.5mm厚にのばしていきます。


ヘーゼルナッツ粉(皮無)と、小麦粉はエクリチュール(type55)を使用。







 
パートシュクレが焼きあがったら、表面に

カカオバリー社のエキストラビターとカカオバターを合わせた

アパレイユ・ピストレ・ショコラを塗ります。





 
クランブル・カカオにも、エクリチュール(type55)を使用。


発酵バターと粉糖は手ですり混ぜておきます。







 
直径16cmの型にビスキュイを敷き、ガナッシュを流し入れ、

パートシュクレをのせて冷やし固めます。





 
モワルー・アマンド・ノワゼットは、アーモンドパウダー、

ヘーゼルナッツパウダーエクリチュール他を合わせ、1cm厚に焼成します。







 
ムース・オ・ジャンドゥーヤは、アングレーズベースに

ヘーゼルナッツペーストとミルクチョコ(パプアジィ/カカオバリー社)、

クレームフェッテを合わせて。









 
ムース・オ・ショコラはアングレーズベースに

カカオバリー社のエクセランスとイナヤ2種のショコラと

クレームフェッテを合わせて。


直径18cmのセルクルに土台を置き、ムースを半量流し、

センターのムース、ジュレ・ダブリコを入れ、

再びムースを流します。







 

グラサージュ・プラリネ・ノワゼットは、カカオバリー社のラクテと

プラリネノワゼットペースト(50%)を他の材料と合わせて。


凍ったムースにかけ、周りにクランブル・カカオをつけて。

デコールをして完成です。





 
パーツの一つ一つを丁寧に説明しながら、完璧に仕上げていく平井シェフ


理路整然とした解説と、パーフェクトに美しいビジュアル、
そして複雑な構成ながら一体感のある軽やかな味わいとテクスチャーは、
まさに平井シェフを象徴するが如きアントルメでした


アプリコットのピューレと濃縮果汁、アプリコットハーフ、
リキュールと様々な形のアプリコットが使用されているため、
アプリコットの爽やかな酸味が際立ち、
ショコラのガトーながら後口はすっきり。


存在感のある厚みに驚いた生地も一緒に口溶けていき、
最後に、パートシュクレのサクっと香ばしい食感とカカオ香が広がります。


素晴らしき一体感はありながらも、口溶けていくスピード、
味や香り、食感のコントラストが計算し尽くされた
まさにコンクールらしい一品
その工程の全てを拝見することができた本当に貴重な機会でした。





 
もう1品は「ケーク ショコラ メキシック」。
こちらはデモはなく、ルセットと解説のみで。


別立てのケークショコラで、
カカオパウダーではなくショコラを使用。
カカオバリー社の原産地限定チョコレート「オリジンシリーズ」の
メキシック66%を使われています🍫


「ナッツの香り」「果実の香り」「パンデピスのような繊細なスパイスの香り」。
ビタースイートでわずかに酸味があり、リコリス(甘草)の香りが広がるショコラです。


ショコラを加えることで油分が多くなると、
グルテンがきれてしまうということで、このショコラをセレクト。
カカオ分が70%を超えると生地がボソボソになってしまうそうで、
ショコラを、さらに言えばカカオバリー社のショコラを
知り尽くした平井シェフだからこそ生みだせたケークショコラなのです


粉も小麦粉(エクリチュール)と強力粉を半々で。

セミドライイチジクとキルシュを加えて。


焼き上がったケークにキルシュのシロップをうち、
パータグラッセブリュンとカカオバリー社のオコア、
グレープシードオイル、クラックラン・アーモンドを
合わせたグラサージュをかけ完成です。





 
ラヴニューさんで販売されている焼き菓子は全種類いただいていますが・・・

ケークショコラ系でこれが一番好きです

と思わず平井シェフに伝えてしまったほど(笑)


生地はとってもきめ細やかでしっとりと口溶けがよく、
ショコラの存在感はしっかりとありながらも、後口は軽やか。
セミドライイチジクのプチプチ感とクラックラン・アーモンドの
カリカリ感がアクセントになっています。


お店ではまだ未発売のアイテムですが・・・発売されましたらぜひ!





 
大西シェフの1品目は「セーヌ」。
オリジンコウベ 2017春夏コレクションのガトーです。


テーマは、タイベリー・トロピカルフルーツ・紅茶。

南国のリゾート地でアイスティーを飲むイメージで。
大西シェフが若かりし頃にタイのサムイ島で飲んだ
フルーツティーを元に考えられたのだそう。


構成は下から
ピスキュイ・ジョコンド、ムースタイベリー
タイベリーのクーリー、クレームパバナ、
クレームヴァニーユ、グラサージュ、
ビスキュイ・ジョコンド、トロピカルフルーツティーのジュレ。





 
トロピカルフルーツティーのを沸かし、

アガーに糖を合わせて80℃以上まで煮詰めてから加え、

ドライマンゴー、ドライクランベリーを加えます。


ここで金粉も混ぜ合わせると、あのように金粉が浮かんだビジュアルになるのですね







 
ムースタイベリーは、タイベリーピューレにボイセンベリージュースを合わせて。


クレームパバナ、タイベリーのジュレの上に絞り、

底生地になるビスキュイジョコンドを重ねます。





 
クレームヴァニーユは、アングレーズベスにショコラブランを加え、

32℃で生クリーム35%と合わせて。











 
センターの周りにクレームヴァニーユを絞り、ビスキュイジョコンドを重ねます。


このジョコンドは、上に重ねるトロピカルフルーツティーのジュレの

すべり止めの意味も。





 
ショコラブランに無糖コンデンスミルクなどを合わせたグラサージュをかけて・・・







 
トロピカルフルーツティーのジュレを、

ナパージュにくぐらせてトッピングし、完成です!





 
まさにフルーツティーのようにスルッといただける清涼感のあるテイスト。

余韻にタイベリーの華やかな香りが広がります


こんなに小さなポーションの中に、こんなにも層が重ねられているなんて?!

大西シェフのオリジンコウベコレクションガトーは、

元町ケーキのお菓子とはひと味違う、

コンクール等で鍛えた技の光る逸品ぞろいです

ぜひ断面をカットしてご覧くださいね!





 
大西シェフの2品目は「ラムケーキ」。

 
1946年創業。
初代より60年以上にわたり受け継がれてきたという
元町ケーキさんのロングセラーの人気商品「ラムケーキ」。

材料は時代と共に変われど、ルセットは当時のままとのこと。


現在でも1週間に200個ほど売れる人気で、
オシャレな4個入りのパッケージもあります。


製造後冷蔵庫で1週間ぐらい寝かせた頃が食べ頃ですが、
現在は製造が追いつかないほどの人気ぶりなのだとか。


「こういう荒々しいケーキを、自分も生きている間に作りたい!」と大西シェフ。
ラムケーキのライバルとなる新商品の誕生が楽しみですね





  
なにをしてるんだろう?と思ったら・・・比重を測っているのだそう。

このカップを使うと手早く比重が分かるので、ずっとこちらを使ってらっしゃるとのこと。





 
卵、水、上白糖を21℃でたてていき、

上白糖、薄力粉、コーンスターチを合わせ、

無塩バターと牛乳を温めて加えます。 


と、材料と工程はいたってシンプルですが、

混ぜ方や温度などに色々コツがあるので、

一朝一夕には難しそう。。。

大西シェフは手に感覚が染みついてらっしゃるのでしょうね!?


ラムシロップが浸みこみやすいように、
あえて気泡が粗くなるように仕上げられています







 
この生地を、木枠付きの型に流し入れていきます。


木枠でないと、生地の中央が膨れ上がったりするのだそう。
カステラのように、木枠でゆっくりと火を入れていきます。














 
焼き上がりました







 
前日に焼いて、ラップをして、冷蔵庫でひと晩寝かせます。

そうしないとはね返りがなくなり、お酒を吸いこまず、

生地がつぶれてしまうのだそう。


ひと晩ねかせるとこのような感じに!









 
バタークリームは、無塩バターに2割の有塩バターを加えて。
60年前から変わらず、九州乳業の「みどりバター」を使用されています。


チャーン製法で丹念に仕上げられた白いバター。
大分の大自然で育てられ、昔ながらの製法で製造された
今では珍しくなった真っ白のバターです。
本州ではおろか九州でもなかなか入手困難の人気のバターなのだそう。


卵白にグラニュー糖を加え、温めながらたて、

バターを加え、さらにたてていきます。

結構長時間たてているイメージでした。


最後にラム酒を少量加えて。







 
生地を半分にスライスして・・・











 
バタークリームを豪快にサンドします。


上に1kgの重しをのせてひと晩冷やし、

カットをして、ラムシロップにくぐらせ、

ノスタルジックな銀紙でくるんだら完成です!


ちなみにラムシロップは、ラム酒とシロップを同割に。

大西シェフ曰く、かなり酔っぱらってしまうぐらい

ひたひたに染みこませるのだそう。





 
大西シェフは、かなり効いてるよ~とおっしゃいますが、
お酒の弱い私でも大丈夫!?といつも思います(笑)


たしかにラム酒は芳醇に香りたちますが、
厚みのある生地とコク深いバタークリームに
包み込まれているからか、とってもまろやかな味わい


生地はじゅわっ。
バタークリームはしっかりとコクがありながらも、
後口はあっさりかろやか。
そして余韻に心地よく広がるラム酒の香り。。。


意外にも賞味期限は短く1週間ほどですが、
大量に買って冷凍するファンの方もいらっしゃるのだとか。
はーい!私もそのうちの一人です


バタークリームの戻り具合によって、
テクスチャーも香りの広がり方も全く異なるので、
ぜひ自分好みの食べ頃を見つけてみてくださいね!



















 
2018年度、第3回目の講習会が無事終了いたしました。
ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました


平井シェフが作られたアントルメ「ランジュ」は、

今年某百貨店のクリスマスケーキとして登場予定だそう。

「ケーク ショコラ メキシック」はまだお店でも未発売なので、
販売開始が待ち遠しいですね


大西シェフのオリジンコウベコレクションシリーズは、

新店コンパルティールヴァロールで販売されています。

「ラムケーキ」は、常備スイーツにオススメですよ





 

皆さんお忙しいのでなかなか8名全員が揃うのは難しいのですが・・・
気持ちはいつも8名でオリジンコウベ
また皆さまにお目にかかれる機会を楽しみにしています(*˙˘˙*)❥❥

今後の予定が決まりましたら、随時オリジンコウベのFBページで

告知していきますので、ぜひチェックしてくださいね!

https://www.facebook.com/originekobe/  


今年もオリジンコウベをどうぞよろしくお願いいたします。