第14回 ORIGINE KOBE講習会 | ボヌール☆花粉 松本由紀子オフィシャルブログ


 
去る6月6日、「第14回 ORIGINE KOBE講習会」を開催させていただきました。  

ご参加くださいました皆さま、ありがとうございました(*´꒳`*)


2018年第2回目の講師を務められたのは、
『パティスリー モンプリュ』の林周平シェフと、『パティスリー アキト』の田中哲人シェフ

今回も、各シェフ2品ずつ合計4品ご紹介させていただきました。


●林周平シェフ

*サンマルク

*サブレ オ シトロン


●田中哲人シェフ

*サンベリーナ
*パリブレスト・ティエリー





 
先月の講師を務めた多田&村田コンビも大人気でしたが・・・

今回の林&田中コンビもかなりレア


もう13年以上皆さんの講習会を見てきていますが、このコンビは初めてかも!?
しかも多田&村田シェフが助手を務めることに。

伝説の阪急インターナショナルチームの復活です





 
林シェフの1品目は「サンマルク」。


実はサンマルクは、林シェフがフランスに修業に行った際に

最初に食べようと心に決めていたお菓子。

そのためフランスに着いてから三日間、サンマルクに巡り会うまで

お菓子断ちをしていたのだとか。

当時からブレない心の持ち主でらしたんですね!


それだけにこのお菓子に対する思い入れがとても強く、

最近はフランスでも作っているお店が少なくなってきていますが、

ずっと作り続けていきたいと考えられています。





 
構成は下から、ビスキュイ・ジョコンド、 クレーム・ショコラ、
クレーム・シャンティ・ヴァニーユ、 ビスキュイ・ジョコンド。


ビスキュイ・ジョコンドの最大のポイントは、ムラング。
卵白に砂糖を入れずに、強いムラングを作っていきます。

やわらかくしなやかで、目の大きな気泡のムラングを目指して!

卵白は水溶化したもの、なければバーミックスでコシをきって使用。


しっかりとオーバー気味にたてて混ぜ合わせ、
あえてざらつきを残すことで、 食べた時のぼろつき感をアピール。

この“ぼろつき感”こそが林シェフの生地の特徴で、

フランス菓子らしい存在感のある食感に仕上がるのです。


粉類と合わせるときの混ぜ方も重要で、
しっかりと混ぜて合わせて粉を全体に散らし、均一化させます。






 
この生地の表面に、パータボンブを薄く塗って

湿度の低いところでひと晩乾燥させます。








 
下のビスキュイ生地はグラニュー糖3回、粉糖1回をふって

キャラメリゼします。

上の生地は固すぎるととナイフで切れないので一回だけで。


サンマルクはプロ向けの講習会で実演をされても

必ずこのキャラメリゼのところで歓声があがるのですが…

この方法でキャラメリゼをすると、一日カリッとした状態を保てるとのこと。

私も夕方に食べた経験があるのですが、しっかりカリッとしていました。


このキャラメライザーがまたとても優秀なのですが、

スペイン産で10万円オーバー…なかなかなお値段ですね^^;

でもモンプリュさんのこのサンマルクやピュイダムールを見れば

その実力は一目瞭然です。





 
ドヤ顔の村田シェフ。

作ったのは俺じゃないけど…と(笑)








クレーム・ショコラはパータボンブベースで。

軽く泡立てた生クリームを、50~55℃に溶かしたショコラ(ヴァローナ社 カラク 56%)

に少量加えて混ぜ合わせ、58℃になるまで湯煎にかけて温めます。

ここにパータボンブと残りの生クリームを混ぜ合わせて。


下生地の上に流し、冷凍します。





 
クレーム・シャンティ・ヴァニーユは、ムラング・イタリエンヌがポイント!

ちょうど数日前にお菓子教室で習ったところでした。

何度やってもシロップの温度が117℃になるタイミングと
卵白が泡立つタイミングを合わせるのって難しいですよね。


メレンゲの魔術師林流のイタリアンメレンゲのたて方は・・・
ルセット外の砂糖を少しずつ加えることで、

卵白がボカ立ちしないようにコントロールすること。
シロップが煮詰まるタイミングに合わせていきます。


シロップは、はじめの1/3は細いストローで、
残りの2/3は太いストローのイメージで加えていきます。
シロップを入れ終えたら、ダメージを防ぐために

ミキサーを高速から中速に。
シロップが全体に混ざったら、バッドに移して冷蔵します。






 
クレーム・ショコラの上にクレーム・シャンティ・ヴァニーユを絞り

上にビスキュイ・ジョコンドを重ねます。





 
写真がボヤけててすいません…早く食べたい衝動が(笑)


キャラメリゼのカリカリ感と、ビターテイストがたまりません。
日本でもフランスでも、現在は作られているお店が少ないというこのお菓子。

私も13年前に初めてモンプリュさんで食べた時は、かなりの衝撃でした。

そしてこのカリカリビターなキャラメリゼと2種のクレームとのバランスが、

今や私のサンマルクの基準に。


ぜひ皆さんにも食べていただきたい

シンプルながらも丁寧な手仕事を感じることができる・・・

しみじみと味わい深いフランス伝統菓子です





 
林シェフの2品目は「サブレ・オ・シトロン」。

ジャン・ミエでは朝食用のサブレだったそう。


この生地はバターの扱いがポイント。

冷たいバターを綿棒でたたいてやわらかくします。
絶対に20℃以下でバターを扱わうことが重要です。


最後に粉類を合わせるときに、混ぜ切らないこともポイント。

粉が見えなくなればOKです。

冷蔵庫で一晩寝かせ、固いまま綿棒でたたき、

手でもんで固さを均一にしてから2.6mm厚にのばし、

抜き型でぬいて、焼成します。






 
グラスが生地に浸みこまないように、

まず煮詰めたアプリコットジャムを塗って乾かします。






 
レモンのグラスをかけ、高温で約一分焼成。


村田シェフがやるといとも簡単そうに見えますが、

グラスを素早く均一にかけるのは、かなり難しそう。


ほんとに、このお二人の阿吽の呼吸は素晴らしいですね





 
さくっ、ほろっとした食感のサブレと、シャリッとした酸味のレモンのグラスが好相性。


試食用は少し小さめでしたが、フランスでは直径10 or 12cmが普通サイズ。

モンプリュさんではイベントによくこちらのシトロンと赤色のフランボワーズの

サブレをだされるのですが、皆さん見たことのない大判のサブレに驚き

すぐに完売しちゃう人気商品です。 





 
田中シェフの1品目は「サンベリーナ」。


土台はビスキュイ・フランボワーズ。
クレーム・フランボワーズの中に ジュレ・ド・ライチを入れ、

ショコラの飾りで華やかにデコールされています。






 
ビスキュイ・フランボワーズは、ちょっと厚めに。


薄力粉と同割でコンスターチが入っている生地で、

お店ではティラミスにも使われているそう。


冷凍フランボワーズブリゼを全体に散りばめ、粉糖をふり、焼成します。






 
クレーム・フランボワーズは、フランボワーズピューレに

ホワイトチョコを合わせ、ブレンダーをかけて整え、

ゆるく泡立てた生クリームを合わせます。







 
ジュレ・ド・ライチは、ライチのピューレにグラニュー糖と

レモンジュースを加え、ゼラチンで固めたもの。


これをクレーム・フランボワーズの中に鋳込みます。









 
飾りチョコのデモも。

意外にもシェフ達の間で盛り上がりました(笑)


フリルチョコにはパータグラッセ使用。

普段チョコレートで作っている多田シェフは興味津々で、

ご自分もこっそりチャレンジ!

巻く時のスピード感が違うそうです。

私も昔くるりんチョコを作ったことがありますが・・・

力加減がポイントで、薄く均一に作るのって想像以上に難しいんですよね。


中央にシャンティイを絞り、フランボワーズを飾って。

このフランボワーズが親指なのだそう。





 
なんとも乙女チックなビジュアルの親指姫。


このお菓子はアキトオープン当初からあり、
本来は「フルール・ド・ルージュ」という名前だったんですが、
ちちんぷいぷいという番組に出演した際に、急遽変更!


 一緒にこのお菓子を作ったタレントさんがどうしてもこの名前を言えなくて・・・
彼女と相談した結果、ケーキの真ん中にあるフランボワーズが
まるで花の上にたたずむ親指姫のよう・・・ということで
サンベリーナ(親指姫)というネーミングに。


ここから派生して、「白雪姫」という真っ白なお菓子も絶賛販売中です。
このお姫様シリーズ・・・どこまで続くのでしょうか?!(笑)


ライチの透明感のある華やかな香りと、フランボワーズの酸味のマリアージュ。

実はエルメの代表作からインスパイアされたお菓子なのだそう。
フリフリの乙女チックなビジュアルは・・・完全にインスタ映えを意識されています(笑)





 
田中シェフの2品目は「パリブレスト・ティエリー」。
 

今年の春に、阪急百貨店のフランスフェアに出店していた
『タニアエティエリー』のパリブレストです。
田中シェフは会場でお手伝いをするために、

去年の秋フランスのお店に行き、現地で実際に教えていただいたので、

現在はオマージュをこめて、お店でもこのネーミングで販売されています。





 
今回はティエリーさんのレシピのままで。


パータ・シューは初めて見る作り方!
バターと水分などの材料を鍋に入れて加熱するまでは一緒ですが、
粉はミキサーボウルに入れます。
ミキサーをまわしながら鍋の中の水分を入れて混ぜていきます。
そしてバーナーでボウルをあぶり、水分を飛ばしていきます。
ここに卵を少しずつ加えて固さを調整していきます。


この方法は安定するので、大量に仕込むのに向いているのだそう。
ただし鍋で炊いてないので生地がのびず、
生地の固さの見極めが難しいとのこと。


林シェフはフランス時代にこの方法で作られているお店をご存知でしたが、

皆さん初めて見る方法に驚いてらっしゃいました。







 
なんで多田シェフ、そんな怖い顔で見つめてるんだろう(笑)


ちょっとおさえめに、太めに絞り
アーモンドスライスを多めにかけて

一旦冷凍してから焼成します。






 
プラリネアマンド・ノワゼットは自家製で。


アーモンド:ノワゼット=4:1。

田中シェフは、先にアーモンドがきてノワゼットが追いかけてくるバランスがお好み。
同割にするとノワゼットが勝ってしまうのでこの割合にされているのだそう。







 
サンドするクレーム・ムースリーヌは、クレーム・パティシエールと

プラリネアマンド・ノワゼットを合わせておき、
バターをたてながら合わせていきます。

パティシエールとバターは3:1、バターとプラリネは同量で。


バターをたてることで軽い仕上がりに。
時間がたつとクレームがだれてしまうので、すぐに絞るのがポイントです。





 
生地はサクッと香ばしく、プラリネが豊かに香りたつクレーム。

バランスが秀逸です!





 
林シェフが横で見ているといまだに緊張するという田中シェフ。

20年以上が経過しても、互いにリスペクトしあう素敵な関係の4シェフです


皆さんが阪急インターナショナルにいらした時期、私はOLで…

よくホテルに伺ってはケーキを食べていたんです。

まさか皆さんがその厨房にいるとはもちろん全く知らずに。

当時はまだ個人店は少なく、おいしいと思い何度もリピートしていた私。

事実を知った今となっては、自分で自分をの舌を褒めてあげたいです(笑)


その後、路面店のイグレックさんのお菓子に感動し、

オープン直後のモンプリュさんのお菓子に感動して、

今まで自分が食べてきたお菓子との違いに驚き、

どっぷりとフランス菓子の世界にはまっていったわけです。。。

作り手の顔は知らなくとも、DNAを揺さぶるなにかが一緒だったんでしょうね。


そういう意味では、私も20年前からこの方たちのお菓子と共に生きているわけで・・・

大きく人生を変えてくれた皆さんと今こうしてご一緒できている奇跡に、

心から感謝しています

 










2018年度、第2回目の講習会が無事終了いたしました。
ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました

 


今回ご紹介したお菓子は全てお店でも販売されていますので

復習がてらぜひお店でも味わってみてくださいね。





 

皆さんお忙しいのでなかなか8名全員が揃うのは難しいのですが・・・
気持ちはいつも8名でオリジンコウベ
また皆さまにお目にかかれる機会を楽しみにしています(*˙˘˙*)❥❥

今後の予定が決まりましたら、随時オリジンコウベのFBページで

告知していきますので、ぜひチェックしてくださいね!

https://www.facebook.com/originekobe/  


今年もオリジンコウベをどうぞよろしくお願いいたします。