

ORIGINE KOBE講習会は3年目に突入!
去る5月31日、「第9回 ORIGINE KOBE講習会」を開催させていただきました。
ご参加くださいました皆さま、ありがとうございました。
2017年第1回目の講師を務められたのは、
「パティスリー モンプリュ」の林周平シェフと
「パティスリー アグリコール」の奥田義勝シェフ。
憧れの師匠とのコラボ講習会。
さぞかし奥田シェフは緊張していることと思いきや・・・(笑)
今回は一般向け講習会ということもあり、
ご家庭でも作っていただけるよう分かりやすく丁寧に。
ご質問も沢山していただき、和気藹々とした講習会となりました。
モンプリュさんのお菓子教室に10年以上通っている私ですが、
ジェノワーズは生徒さんから何度もリクエストのあるアイテム。
プロ向けの講習会でも、よくリクエストされるそう。
今回は一般向けということで、ハンドミキサーを使った作り方を教えてくださいました。
全卵とグラニュー糖を湯煎で40~45℃(人肌より少し熱めに)まで温め、
最初は高速でたてていきます。
その後中速におとして、キメを整えていきます。
*高速でたてたのと同時間ぐらい中速で整えるのがポイント!
薄力粉を入れて7~8割ほど合わせたら、直前に沸かした牛乳とバターを加えて
しっかりと混ぜ合わせてていきます。
*しっかりと混ぜ合わせるのがポイント!
さっくりと混ぜ合わせると書かれている本も沢山ありますが、
かなりしっかりと、一文字に混ぜ合わせていくのが林シェフ流。
型に生地を流し入れ、最後の生地も綺麗になじませるように
表面をゴムベラでならし、高さ10㎝から1回だけ落として泡抜きをします。
*回数は1回だけがポイント!
何回も落とすと、せっかく含ませた空気が抜けていってしまうからとのこと。
焼成後は一回だけトンとたたき落し、 紙をつけたまま逆さにして5分間冷まし、
その後は上向きに戻して冷まします。
ジェノワーズを1.5㎝×3枚スライスし、30°ボーメシロップに
イチゴのリキュールを加えたシロップをたっぷりとアンビベ。
さらにたっぷりめのクレーム・シャンティと
スライスしたイチゴををサンドしていきます。
イチゴは適量の粉糖とイチゴリキュールでマリネされています。
*このたっぷりめのシロップとシャンティがしなやかな口溶けのポイント!
皆さん試食されて、びっくりされていました(*^-^*)
ガトー・オ・フレーズの最大の難関、クレーム・シャンティのナッペ。
*最初に固めのシャンティで土台を作り、最後に柔らかめのシャンティを塗るのがポイント!
フォークを入れた瞬間のふんわり感は、このポイントの成せる技なんですね♡
シロップがたっぷりとアンビベされているので、
ジェノワーズ、シャンティ、イチゴが渾然一体となって口溶けていきます。
ほわっとお口の中でほどけて、余韻にイチゴの香りがふうわり。
もうっ♡ このほろほろ感の口福といったら♡♡♡
洋菓子のイチゴのショートケーキとは一線を画する
フランス菓子の技を駆使したガトー・オ・フレーズ。
でもお子様からの人気も高いんですよ(*^-^*)
私はなんの御祝いでもないのに、ホールで食べたことも2度や3度ではありません(笑)
なんだか不思議と心もほどけて、幸せな気分になるんですよね♡
普段はショーケースに並びませんが、オーダーで予約が入った日は
プティガトーでも登場するので、週末は登場確率が高いですよ!
イチゴのおいしい時季が終わったこれからの季節は、
白桃やアプリコットバージョンも登場します。
イチゴ同様、シロップにつけるなどのひと手間がほどこされているので、
未体験の方はぜひアントルメをオーダーしてみてくださいね!
奥田シェフの1品目は、「ザッハトルテ風」。
ビスキュイ・サッシェは、以前に習ったのは共立てだったそうですが
奥田シェフは別立てで作っていきます。
バターと粉糖を混ぜたところに、溶かしたチョコレート+バター、
卵黄を入れ、メレンゲと合わせます。
今回はカカオバリー社のイナヤ(カカオ分65%)を使用。
カカオ感が非常に強く、クセになる個性的な味わいです。
*合わせ終わりの生地温度がポイント!
合わせ終わりは22℃以上で。
のび良くしっとりとした生地に仕上げたい場合は、
少し温度を上げて24~25℃を目指します。
型のサイズが大きな方は1cm厚に。
生地にラム酒とオレンジをアンビベし、 アプリコットジャムを塗ります。
好んで使われるシェフの皆さんも多いですよね。
まずガナッシュを作り、密着ラップをして24時間ねかせてから、
生クリーム(35%)と合わせてたてていきます。
とても安定しているので、ナッペしてもボソボソせず扱いやすいとのこと。
このガナッシュ・モンテを薄くマスケして、冷やします。
日本人はあの究極に甘く、ジャリジャリした食感が苦手な方も多いですよね。
シロップを110℃まで煮詰めて結晶化させたのちにチョコと合わせ、
このシャったチョコレートを水でのばしていきます。
さらにこれを濾して。
ちょっとパレットでのばして、あとは自然に落ちていく感じ。
一体化させるために、ここから一週間ほどねかせる方もいらっいますが、
今回奥田シェフは一晩だけねかせて。
一晩だけしかねかせていないため、かなり軽やかなテクスチャー。
アプリコットジャムがフルーティーに香りたち、
アンビバージュのラム酒の華やかなアロマが余韻に長く続き、
最後にグラズールがシャリッ♪
重厚すぎず、ザッハトルテ初心者の方にもおいしく食べていただける
まさにザッハトルテ風なチョコレートケーキです。
某オリジンシェフ曰く・・・暴れん坊なテイスト(笑)
チョコレートの中から、ラム酒、オレンジ、アプリットが
ぴょこぴょこ顔をだしていました。
林シェフの2品目は、「カトル・カール・オ・シトロン」。
基本四同割ですが、今回のルセットは全卵が多めで、
粉は混ぜる回数を減らすために、薄力粉と全粒粉を同割にしてらっしゃいます。
型にはポマード状のバターをしっかりと塗り、冷やしておきます。
まず卵にグラニュー糖を加え、フエで混ぜなが湯煎で25℃ぐらいまで加熱します。
これを高速のミキサーでしっかりと泡立て、粉を少しずつ加えながら
ゆっくりと混ぜ合わせていきます。
次に70℃に温度調整した溶かしバターにレモン果汁とゼストを加え、
生地にゆっくりと混ぜ合わせていきます。
バターを塗った型に流し入れ、泡抜きはせず、このまま焼成。
このままでもおいしそ~(*^-^*)
アプリコットジャムは、沸騰してから1~2分煮詰め、
生地にかけてから1時間ほど放置して乾燥させます。
レモン果汁にグラニュー糖を加えたグラス・オ・シトロンをかけていきます。
レモン果汁のみだと、時間が経つとやや曇ってはくるけれどもパリッとした仕上がりに。
水を加えると透明感はでるけれども、パリッと感は軽減してしまうそう。
どちらを選ぶかはお好みで。
にしてもおいちゃん・・・かけ損ねがないように
いつもよりかなり多めにかけてないですか~?
210~220℃のオーブンに30秒ほど入れ、触ってみて表面がパリッとしたらOKです!
それを超えると全部流れ落ちてしまうので要注意。
秒単位での見極めがポイントですね!
シャリッ♪と崩れるグラスの中から爽やかなレモンの香りがほわっ♪
ふんわり生地を噛みしめると、さらにレモンの香りが重層的に追いかけてきます。
シンプルながらもはまってしまうおいしさで、ウィークエンドと並んで人気商品なのだそう♡
うんうんと、人気なのも頷ける味わい深さ。
シンプルだからこそ、生地の食感、グラスの厚みにシェフの技が光るわけですものね!
奥田シェフの2品目は、「ヴェリーヌ ピスタッシュ トマト」。
オリジンコウべの講習会では、必ず2品中1品は野菜スイーツにしようと
ご自分で決めてらっしゃるそう。
クレーム・ピスタッシュ、赤いソース、赤いジュレという3層構造です。
ピスタチオペーストは、バビを使用。
35%の生クリームを使い、水で薄めるという面白いルセット。
薄めるのであれば、乳脂肪分の低い生クリームを
はじめから使えばいいのでは?!と思われるかもしれませんが・・・
高脂肪を水で薄めたものと、低脂肪のものでは「乳」の感じ方が異なるのだそう。
元々は林シェフがモンプリュさんでされている手法で、
林シェフはフランス時代ジャン・ミエで教わった手法。
当時フランスには今の日本ほど生クリームの種類がなかったため
必然的になされていた手法なのかもしれませんが、
結果的に「乳」の感じ方が異なるというのが面白いですね。
中層はフランボワーズピューレに、赤い実のフルーツを浮かべた赤いソース。
さらにその上にトマトピューレの赤いジュレを重ね、ミニトマトをトッピング。
凝固剤は全層カンテンウルトラを使用。
作業性がよく、お好みの食感なのだそう。
ピスタチオグリーンに、ビビッドなレッドが映えて
美しいコントラストのヴェリーヌの完成です☆
果たしてピスタチオとトマトが合うのか、他のシェフ達も興味津々のご様子。
でもフリュイルージュがつなぎ役となり、想像以上に好相性でした。
上の2層のみを食べると酸味の効いたさっぱりとした野菜スイーツですが、
下層の濃厚でコクのあるクレーム・ピスタッシュの存在感が大。
全層一緒に食べるとナッティ感が勝り、でも酸味で後味がきれる
まさに初夏にピッタリのヴェリーヌに仕上げられています。
ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました。
林シェフの即興プレゼンは、相変わらず素敵ですね☆☆☆
いつも布やお皿ではつまらないと、グラニュー糖を敷き詰めちゃいました^ ^;
でも実は下にラップが敷かれているという、お片付けへの心遣いも♡
最後にシェフの皆さんでご挨拶を。
お互いの講習会を見て、シェフ達自身が互いに勉強できるというのも
このオリジンコウベ講習会の魅力のひとつ。
疑問がうまれたら、それぞれのシェフが自分の考えを披露して
ディスカッションをするというライブ感があります。
今後のスケジュールや講習アイテムを教えてほしいというご要望が多かったので、
今回は残り3回のスケジュールを早めにお知らせさせていただきますね。
6月28日(水):田中シェフ×上田シェフ
7月26日(水):大西シェフ×平井シェフ
8月23日(水):多田シェフ×未定
一般向け、プロ向けの区別はありますが
内容的にはプロの方にもご満足いただけるものですので、
若手パティシエの皆さんのご参加を心よりお待ちしています!
次回田中シェフは、ホワイトチョコ×パッションのムース「トロピック」と、
今年3月に阪急百貨店さんのフランスフェアで披露された
ロワール地方・トゥールの伝統菓子「ヌガー・ドゥ・トゥール」を作られます。
日本では珍しいメロンのコンフィが沢山使われていておいしいですよ!
すでに6月の講習会の募集がスタートしています。
オリジンコウベのFBページからお申込みが可能です。
https://www.facebook.com/originekobe/
今後もオリジンコウベをどうぞよろしくお願いいたします。