第10回 ORIGINE KOBE講習会 | ボヌール☆花粉 松本由紀子オフィシャルブログ




6月28日、「第10回 ORIGINE KOBE講習会」を開催させていただきました。

ご参加くださいました皆さま、ありがとうございました。


2017年第2回目の講師を務められたのは、
『パティスリー アキト』の田中哲人シェフと

『パティスリー ラトリエ・ドゥ・マッサ』の上田真嗣シェフ。


今回はプロ向きの講習会ということで、普段お店に並べられているお菓子から

なんとタイのお菓子をフランス菓子に昇華させたお菓子まで、

トロピカル素材をふんだんに使用した夏向きのお菓子など、

各シェフ2品ずつ合計4品ご紹介させていただきました。


『パティスリー アキト』田中シェフ
*トロピック
*ヌガー・ド・トゥール


 『パティスリー ラトリエ ドゥ マッサ』上田シェフ
*ヴェリーヌ・カオ・ニャウ・マムアン
*ガトー・ドゥ・ヴォヤージュ






 

田中シェフの1品目は「トロピック」。


お店でも夏(6~9月)限定でだされているアイテムですが、
他のお菓子同様、年々進化を重ねています。
ネーミングから想像される通り、夏にピッタリの
パッションとココナッツのトロピカルな組合せです。

底生地は、ダックワーズココ。
メレンゲはかなりしっかりとたて、粉糖を1度ふって焼き色がつくまで焼成。
ココナッツファインの食感がアクセントになっています。




 

センターに鋳込む一層目は、ジュレ・ド・エキゾチック。

 

エキゾチックピューレにレモン汁を少し加えて。

 少しとろみがつくまで火にかけ、急速冷凍します。




 

先程のエキゾチックジュレを少し残してディスペンサーに入れ、

OPPシートに大小様々なドットを作ります。
これが最終的に一番外側の模様になるわけですね。




 

センターに鋳込む二層目は、クレームパッション。


パッションピューレをレモンカードのように煮て、7分立てのクレームフェッテと合わせたもの。
生クリームは全て35%を使用。
ジュレ・ド・エキゾチックの上に重ね、再度急速冷凍します。




 

外側を覆うムースショコラブランは、アングレーズベースのホワイトチョコレートのムース。

チョコヴィック社のハイネ(カカオ分32.3%)を使用されています。

このチョコレートにはヨーグルパウダーと無水バターが配合されていて、
酸味だけでなく乳味感を加えることで、従来のホワイトチョコレートにはない
キレとコクの両方を生み出しているとのこと。
田中シェフはこのチョコレートがこのお菓子のイメージにピッタリ!とお気に入り♡
ホワイトチョコ特有の香りがマスキングされ、苦手な方でも食べやすい
テイストに仕上げられています。

さて、いよいよモンタージュです!
トヨ型に、ジュレ・ド・パッションのドットを描いたシートを敷き、
ムースショコラ ブランを型の半分まで流します。








 

ジュレ・ド・エキゾチックとクレームパッションを重ねたセンターをカットし、

ムースショコラの中に沈め、再びムースショコラを流し、
最後にダックワーズココで蓋をします。

これを再度固めて、ナパージュヌートルをかけて完成です!




 

ランダムなサイズのオレンジのドットが可愛いビジュアル。

ホワイトのグラデーションで見分けにくいですが、4層構造になっています。
エキゾチックのジュレは薄い層ながら、シャープな酸味がキュン♪
ビジュアルから想像する以上にムースショコラがまったりと濃厚で、
究極になめらかなテクスチャー。
ホワイトチョコレートが使われていながらも、後味はキレよくスッキリ。
パッションの酸味、ココナッツの食感&香りが次々と顔を覗かせる
夏色テイストに仕上げられています。



 

上田シェフの1品目も、トロピカルテイストの「ヴェリーヌ・カオ・ニャウ・マムアン」。


タイのもち米をココナッツミルクで炊いて、フレッシュマンゴーをかけるという
伝統的デザート「カオ・ニャウ・マムアン」をフランス菓子にアレンジしたヴェリーヌ。
 

でも上田シェフ・・・肝心の「カオ ニャウ マムアン」が上手に発音できなくて(笑)

実はこちらのお菓子は、タイに長年住んでらしたマッサのスタッフさんから
教えてもらったものがベースになっているんですが、
その方が発音されてたのはもっと流暢で全くの別物だったことは内緒です^^;

最下層は、ムース・トロピコー。
トロピカルピューレと生クリーム(35%)を合わせたムースに、
さいの目にカットしたマンゴーの果肉が入っています。

 




 

このお菓子の最大のポイント、ココナッツのリ・オ・レ。

ココナッツミルクと牛乳でお米を炊くのですが、
その前に水で炊いては洗うを2度繰り返すという手間のかけよう。
水で洗うのはうどんと同じようにぬめりを取る目的だそう。
最後にホワイトラムをかけることで、一気にフランス菓子に昇華します。






 
トッピングのローストしたパイナップル。
タルトタタンのようにじっくりとローストしていくのかと思いきや。。。

カットしたパイナップルと潰したバナナ、バニラ、ラム酒に
キャラメルをかけて、そのまま180℃のオーブンで30分焼成。
さらにアルミホイルをかけて30分。
写真奥のように焼き上がります。手前はしばらくおいたもの。
外はしっかりとキャラメル色ですが、中はややフレッシュ感が残っています。



 
上にバニラのクレームシャンティを絞り、ローストパイナップルをトッピング。
ココナッツとグロゼイユでデコールして完成です!



 
試食用は横型のカップで。
今考えると、こちらの方が常に等分に全層をいただくことができましたね。

ちょっぴりアルデンテのお米の食感が程よいリ・オ・レ、
単体で食べるとかなりビターなローストパイナップル、
エアリーなムースとバニラのシャンティ。
全層を一緒にいただくと全く違和感のないトロピカルなマリアージュ。
余韻にはバニラやラム酒の香りが広がり、
元がタイのお菓子だったなんて全く想像できません。

ぜひ大元のタイの「カオ・ニャウ・マムアン」も食べてみたくなりました。
 



 
田中シェフの2品目は、「ヌガー・ド・トゥール」。

パート・シュクレにフルーツのコンフィを詰め、マカロン生地で覆った
ロワール地方トゥールのスペシャリテです。

田中シェフは某百貨店のフランス展のお菓子を担当されているのですが、
昨年のバスク地方からは実際に御自身も現地に赴き、
出店されるお店のシェフから直に教えていただいているんです。
今年はテーマがロワール地方だったので、こちらのお菓子に。

現地では年に一度このヌガー・ド・トゥールのコンクールがあるそうで、
今回は金賞を受賞したお店のルセットをそのまま再現されています。





 
えっーーー★っとみんなが引いてしまったこの緑色の正体は、
メロンのマーマレード。

黄・赤・緑のメロンのコンフィを、緑色に着色したアプリコットのナパージュと
キルシュであえているんですが・・・
ここまでグリーングリーンじゃなくても・・・と引いてしまう受講生の皆さん。
現地のルセット通りなので・・・と必死で言い訳する田中シェフ^^;









 
上にかぶせるマカロナード・ドゥ・ヌガーは、しっかりと混ぜ合わせ
ボディのしっかりとした生地に。

絞ったら粉糖を2回ふって、すぐに焼成します。
この状態で冷凍保存が可能なのだそう。




 
焼くと、ちょっと緑色が落ち着いたように見えますが、
私がフランス展で購入した時はもっと褪せた色だった気が。。。
時間が経つと色は次第に落ち着いてくるのだそう。
逆に焼く前のグリーングリーンな状態を見るという貴重な体験ができてよかったですよね!?

サクッと香ばしいタルト生地と、ふんわりとしたマカロン生地の
食感のコントラストが素朴ながら楽しく、
メロンの濃厚な甘みと香りが後から追いかけてきます。
フルーツはメロンではなくオレンジなど、お店によって異なるそうですよ。




 
上田シェフの2品目は、「ガトー・ドゥ・ヴォヤージュ」。
夏向けの冷やして食べて美味しいパウンドケーキです。

ベースとなる粉類に全卵を混ぜていくのですが、かなり重そうですね。





 
さらに溶かしバターを加えていきます。

たてたバターではなく、溶かしバターにする理由は、
しっとりとした状態で長期間日持ちするからだそう。
たてたバターだと、2、3日はふわっとしていているのですが、
その後パサついてきて、美味しい状態での日持ちが短いとのこと。

バターの温度で生地感は変わってきますが、
このようにサラサラ~と流れるような状態に仕上げていきます。




 
この生地に、コアントロー漬けのドライフルーツ(イチジク、オレンジ、レーズン)を
たっぷりと混ぜ合わせ、焼成します。






 
焼きあがったら、コアントローのシロップをアンビバージュして。
ココナッツのグラサージュショコラをかけて冷やします。

ひとつは普通にドライフルーツでデコールを。
もうひとつはガトー・ドゥ・ヴォヤージュということで、
プラチョコで線路を作り、オリジンコウベ愛溢れるデコールに。
こういう細かいこだわりがなんとも上田シェフらしく、
受講者の方々からも愛されるお人柄なんですよね。




 
冷やしても生地が固くならず、フルーツもたっぷりでジューシー。
グラサージュのジャリっ、シャックっとした食感がいいアクセントになっていました。
ショコラですが、夏でもするっと食べられるおいしさ。
ぜひ夏のご旅行のお伴に!・・・ってお店で販売しているのかな!?










 
2017年度第2回目の講習会が無事終了いたしました。
ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました。

上田シェフのオリジンコウベ愛溢れるデコール、ご覧いただけましたか?
なんでセーヌのパンフレットをチョキチョキしているのかと思ったら、
即興でこんなに可愛く仕上げてらっしゃいました。



 
今回は、催事出店中の多田シェフ。
新店オープンを間近に控える大西シェフ。
まだお店をスタッフさんに任せてあけられない村田シェフ。
の3名がいなくてちょっぴり淋しかったですが・・・


講師のお二人の助手を見事に務められた奥田シェフ、

司会進行と皆さんが抱いてらっしゃるであろう質問を代弁してしてくださった林シェフ、

そしてずっと裏で洗いものや試食のカットをしてくださっていた平井シェフ。

お手伝いのスタッフさんもこの日はいなかったのですが、

自然と役割分担がなされ、少人数でもスムーズに進行していくことに

途中でふと気づき、客観的に見て凄いなぁと感心してしまいました。
(自分も主催者側なのに、手前みそですいません^^;)



今後の講習会のスケジュールは下記の通りです。


7月26日(水):大西シェフ×平井シェフ(一般向け)

8月23日(水):多田シェフ×奥田シェフ(プロ向け)


一般向け、プロ向けの区別はありますが

内容的にはプロの方にもご満足いただけるものですので、

若手パティシエの皆さんのご参加を心よりお待ちしています!


すでに7月の講習会の募集がUPされています。

オリジンコウベのFBページからお申込みが可能です。(8月分も可能です)

https://www.facebook.com/originekobe/


今後もオリジンコウベをどうぞよろしくお願いいたします。