第3回 ORIGINE KOBE 講習会 2016 | ボヌール☆花粉 松本由紀子オフィシャルブログ



去る7月25日、2016年「第3回 ORIGINE KOBE 講習会」を開催させていただきました。

ご参加くださいました皆さま、ありがとうございました。


2016年第3回目の講師を務められたのは、

「パティスリー AKITO」の田中哲人シェフと、「パティスリー アグリコール」の奥田義勝シェフ。


今回は一般向けということで、和気藹々とした雰囲気の中

大変興味深いフランス伝統菓子を中心にご紹介くださいました。

夏なのに、このがっつり焼き菓子感・・・素敵ですね♡

試食も今までで最高にボリューミーで(笑)

見て聞いて食べて、五感でご満足いただける講習会になったと思います。






田中シェフの1品目は、「ガトー・バスク」。


まだ記憶に新しい方も多いと思いますが、今年3月の阪急のフランスフェアで

田中シェフが一生懸命に焼いてらしたあのお菓子です。

このフェアのために、現地バスクまで赴き、作り方を学び、

その背景にある歴史や文化も学んでこられた田中シェフ。

歴史大好き人間なので、非常に刺激を受けられたようで。。。


秘かに、『ガトー・バスクをミルクジャムに次ぐ第2のスペシャリテに!』

と目論んでらっしゃいます。


現在お店では、シェフが現地で食べてその美味しさに感動した

ノワゼットプードル入りのガトー・バスクを販売されていますが、

今回は阪急のフェアで販売されていたものと同じ、

ガトー・バスクの伝統を守るべくつくられた「ミュゼ・ド・ガトー・バスク」の

ルセットで教えてくださいました。





パータ・バスクには、奥本製粉の仏産フランスパン用準強力粉


‘ラ・トラディション・フランセーズ’を使用。

卵が少なめ、塩味が強めの配合になっています。

塩もバスク産のサリスドベアヌルを使用。

5mm厚にのばして、直径15cmのセルクルで抜きます。


ここに至るまでに何種類もの粉で試作を重ねてらした田中シェフ。

現地で作るものとは材料もオーブンも異なるため、ルセットは同じといえども

やはり細かなニュアンスに違いが出てしまうもの。

ミュゼのシェフが来日されてからも、微妙な修正作業を何度も重ねてらっしゃいました。


現在AKITOさんで販売されているガトー・バスクは、

この粉の2割をノワゼットプードルに置き換えられています。






伝統的なガトー・バスクは、バスク地方のイッツァス村の名産物

黒さくらんぼのジャムを入れるのが主流でしたが、

今ではクレーム・パティシエール入りのものが多く売られています。


今回はコンフィチュール・スリーズとクレーム・パティシエール2種類をご紹介くださいました。


コンフィチュール・スリーズは本来黒さくらんぼを使うのですが、

日本では手に入らないので、グリオット種の冷凍モレロチェリーで代用。
ピューレは、黒さくらんぼ(スリーズノワール)使用しています。
黒さくらんぼを加えることにより、味に深みが増すそう。

地元産の素材を活かすということが、地方菓子本来の意味合いですものね。


さくらんぼの粒感を残しながら、糖度55~60度まで煮詰め、水分のみを濾します。







生地の縁ギリギリまでジャムをたっぷりと入れ、ドレは余白を残して塗ります。


ぎゅ~っと押し付けなくても、焼くことで自然に上下の生地がくっつくのだそう。








表面の仕上げは、ローブリューと呼ばれる「バスクの十字架」の飾りをつけて。


残りの生地をそのままの厚みで使い、型紙を使って十字架の形を切り取り、

ドレの上にのせ、セルクルをはめてそのまま焼成していきます。









クレーム・パティシエールにはたっぷりのヴァニラと、

アルコール度数が54°と高めのSAINT JAMESラムを加えて。
ヴァニラとラムが芳醇に香り立つリッチなクリームに仕上げられています。


表面には、セルクルをはめたままで格子模様を描いて。






試食は1/6カットずつを。

フィリングたっぷりの贅沢なガトー・バスクです。


サクッと香ばしく、後味にほんのりと塩みを感じる生地に、

滋味深いさくらんぼの酸味がじゅわ~っと広がるジャムと、

アロマリッチなクレーム・パティシエール。

噛みしめるほどに美味しさが広がる、素朴ながらも奥深い味わい。


作り方はとても簡単で、オリジナルに色々とアレンジが可能なお菓子なので、

ご家庭で作られても、バリエーションが広がって楽しいでしょうね!









田中シェフの2品目は、「タルト・フロマージュブラン」。

こちらは昨年の阪急百貨店のフランスフェア“アルザス特集”で、

オーナーパティシエールのソフィー・ロジェルさんから直伝されたもの。

そのままのルセットで販売されることを許され、現在お店では

「タルトフロマージュ・ソフィー」という名前で販売されています。


構成はいたってシンプル。

パート・シュクレに、北海道産のフロマージュブランをメインにしたアパレイユのみ。


直径18cmの深めの型に生地をフォンサージュして、タルトストーンを置き、

180度で20分空焼をします。





アパレイユを縁までほぼいっぱいに入れ、ゆっくりと焼成していきます。


ここでプロの技が登場!

この程度まで膨らんできたらオーブンから取り出し、

パート・シュクレとアパレイユの間にナイフをぐるりと一周入れると

表面がひび割れしにくくなり、綺麗に仕上がるのだそう。





ほらっ!

こんな風に、こんもりと綺麗に焼き上がりました。





一見濃厚なベイクドタイプのチーズケーキに見えますが、

お口に運ぶとかすかにシュワっと弾け、爽やかな酸味が広がります。

ベイクドタイプのチーズケーキでありながら、メレンゲの力でスフレタイプの軽やかさも加わり、

両者のいいとこどりの口溶け感に。


フロマージュ・ブランが使われているというのがなんともフランスっぽく、

普通のチーズでは感じられない、フレッシュでほのかな酸味が活き、

軽やかな口溶けと相まって、一般的なタルトフロマージュとは一線を画する

個性的なテクスチャーに仕上げられています。


夏でも美味しく食べられる、ベイクドチーズケーキですよ!

私はこの焼き立てを、スプーンですくって食べてみた~い♡

と懇願してみましたが、バッサリ却下されました(笑)





奥田シェフの1品目は、「アスパラのヴェリーヌ」。


野菜男爵の異名を持つ(?!)奥田シェフ。

オリジンメンバーの中で唯一野菜スイーツを普段から販売されているので、

毎回野菜アイテムが求められてしまいますね。


今回は今が旬のアスパラを使ったヴェリーヌを。

契約農家さんからお野菜を仕入れることも多い奥田シェフですが、

このアスパラは、緑色が濃く細長いものを選んでスーパーで購入。

太くていいアスパラだと中の白い部分が多くなってしまい、

今回のアスパラの青臭さを活かしたいお菓子には合わないのだそう。

袴を綺麗にお掃除される手さばきは、主婦顔負けですね(笑)





 

まずは、アスパラのクリーム作りから。

生クリームや牛乳と一緒にミキサーにかけるのですが、

えっ?!そのままの長さでかけちゃうの?と主婦陣からツッコミが(笑)

どう考えてもカットしてから入れた方が、早くピューレ状になると思うのですが・・・

まぁ、結果オーライということで!





アスパラのクリームの上にヴァニラのクリームを重ねて固め、

茹でたアスパラの穂先を浮かべ、ほうじ茶のジュレを流していきます。

凝固剤は全てカンテンウルトラを使用。

ほうじ茶のジュレには、キビラ糖を使われています。





見た目は、もずくにジュンサイを浮かべた感じで・・・ですが、

いただいてみると、あらっ、意外にも(←失礼な^^;)美味しい♡


こだわられただけのことはあり、アスパラの青臭さがしっかりと活きています!
ほうじ茶の苦味&香ばしさとの相性も抜群。

ヴァニラの甘みがなかったら、お料理の前菜にも使えそうなお味でした。







奥田シェフの2品目は、「コロンビエ」。


コロンビエは、復活祭の7週目の日曜日「Pentecoteパンテコート」

(聖霊降臨の日)に南仏食べるお菓子。

アーモンドたっぷりの生地にフルーツのコンフィを入れ、

表面にアーモンドを散りばめて焼きあげます。

中に鳩のフェーブを入れ、それが当たった人は、

1年以内に結婚するという言い伝えもあるお菓子です。


コロンビエのColomb(コロンブ)は鳩の意味。平和の象徴としての鳩を指します。

一方食用の鳩はPigeon(ピジョン)ですね。


などと説明をしながら・・・実は本場のコロンビエを食べたことがないという奥田シェフ。

今回は自分なりの想像で構築されたコロンビエをご紹介くださいました。





ルセットを色々探してみたところ、どれも糖質と水分が少なく

生地が少しぱさついた感じだったので、もちっと重厚な食感を目指したとのこと。


ローマジパンがたっぷりと入った生地に、澱粉とくず粉が加えられているが奥田流。

くず粉により、ほろっとした食感と保形性が生まれるのだそう。

また生地を綺麗に繋げすぎず、ボロツキ感を出した方が

雑味がでて、粗さの中においしさを感じるとのこと。

これは師匠である林シェフもよくおっしゃっる台詞ですね。


さらにたっぷりのユズのコンフィも練りこみ、

周りにアーモンドダイスを貼り付けた型で焼成します。


私の中でのコロンビエのイメージは、もう少し平たく、本来は楕円ですが、

今回は直径12cmのデコ缶で。

ローマジパンたっぷりのしっとりとしたケークのような焼き上がりですね。









仕上げにも、ユズのピューレを加えたグラスをかけて。


赤いアーモンドのクラックランと、鳩のマジパンを飾って完成です。





奥田流の完全に美味しい、アーモンドたっぷりのユズのケークに仕上がっています。

本来のコロンビエとは全く異なるリッチすぎる生地かもしれませんが、

このように基本を踏襲したうえでオリジナリティを加え、

伝統菓子を再現し、伝えていくことが大切ですね。


くず粉を加えると、しっとり、もっちりとふくよかなこういう独特の食感に!?

ユズの丸い酸味との相性も良く、個人的に好きなテクスチャーでした。













最後に素敵なプレゼンテーションを!


今回は一般向けということもあり、ご家庭でも作れそうな

割と簡単な工程のお菓子ばかりだったと思います。

田中シェフは以前から、講習会でミルクジャム以外のことを

話すのは苦手とおっしゃっていましたが、

今回は驚くほどスムーズに話されていて、逆にビックリ!?

ミルクジャム同様、こちらの2品もすっかり自分のモノにされた

‘自信満々アイテム’ということの証ですね。


今年最後の講習会は、下記のスケジュールを予定しています。

8月30日(火) プロ向け講習会 林シェフ×上田シェフ


林シェフはなんと最強兵器の‘アレ’を作り方をご披露くださるのだそう。

プロの皆さま必見です!!!

モンプリュさんのお菓子のおいしさの秘密の一つが

紐解かれる瞬間に、ぜひお立会いください!



1ヶ月前ぐらいに、ORIGINE KOBEのオフィシャルFBで告知いたします。

現在様々なイベントの告知やお申込みは、

ORIGINE KOBEのオフィシャルFBからのみとなりますので、

まだいいね!をされていない方は、ぜひこの機会によろしくお願いします。

https://www.facebook.com/originekobe

 





講習会が終わって、脱力ムードのお二人・・・お疲れさまでした(*^-^*)

 
暑さ真っ只中ではありますが、百貨店さんのクリスマスケーキカタログの撮影が始まり
ヴァレンタインの打ち合わせもスタートしています。

オリジンコウベがスタートして2度目のシーズン。

今回は、「オリジンコウベ」という括りで、参加させていただく案件がいくつか決まり、

内容やパッケージ選びに頭を悩ませています。

まだ先のことになりますが、楽しみにアナウンスお待ちくださいね!