伝統のラムとオーボンビュータンの世界 -2 | ボヌール☆花粉 松本由紀子オフィシャルブログ
伝統のラムとオーボンビュータンの世界 -1

 
 
 


 
もちろん解説は、ノリエットの永井シェフです。
河田シェフに向かって、そんなこと言っちゃっていいんですか~?!
というような発言は多々ありましたが(笑)それは深い信頼関係があればこそ!
 
永井シェフが河田シェフのお菓子作りに対する姿勢の理解者であり、
非常に尊敬されている様子が、言葉の端々からうかがえました。
そして河田シェフも、永井シェフがお菓子の作り方でだけではなく、
自分のお菓子作りに臨む姿勢、考え方を代弁してくれるのをお分かりだからこそ
安心して、黙々とお菓子作りに専念することができるんですね。

それにしても永井シェフと河田シェフの掛け合いは、いつ拝見しても面白いです♪
関西のお笑いとは全然違う種類の、この業界の方にしか分からない‘笑い’ですが、
永井シェフのマシンガントークに、言葉ではなく表情で答える河田シェフ。
その表情のひとつひとつがなんとも言えず印象的でした。

 
 
 
 


 
そして永井シェフと同じく、オーボンビュータンのオープニングスタッフを
務められたメゾン・ド・プティフールの西野シェフ。
西野シェフもあまりお話しになる方ではないので、
いつも河田シェフと永井シェフの掛け合いを後ろから温かく見守ってらっしゃいますが、
河田シェフの妥協しない菓子、精神の強さにいつも感動しているといいます。

日本で初めて焼き菓子専門店をオープンされた西野シェフ。
「おいしい」は人を「しあわせ」にする。。。
そんな西野シェフの想いのこもった温かい焼き菓子が私は大好きです♪

お二人とも2年ほどしかオーボンビュータンにはいらっしゃらなかったのに、
こんなにも師のお菓子作りに対する姿勢を理解し、そのエスプリを受け継ぎ、
そしてまた伝えていこうとしている・・・
自分も含め、今の時代の人は、これだけの短期間でこれほどのことを
理解し、吸収することができるのか・・・と考えさせられました。
それだけ密度の濃い数年間だったんでしょうね。
本当に素晴らしい師弟関係、信頼関係を拝見させていただきました。

 
 
 


 
今回作っていただいたお菓子の中で、私が一番興味深かったのが
このアントルメサイズのファーブルトン、ファー オ フリュイセック
ネグリタラム(ダブルアローム54°)に2時間ほど浸された
レーズン、セミドライフィグ、ドライアプリコット、アジャンプルーンが
贅沢にごろごろと敷きつめられています。

ネグリタラム44°に比べ、約2倍程の香気と高めのアルコール度数をもつダブルアロームは、
焼き菓子などのお菓子の香り付けにその威力を発揮する香気高いラム。
河田シェフの焼き菓子は、ご存じのとおりしっかりと焼きこまれますが、
それでもきちんとその芳醇な香りが残っていました。

もちろんアパレイユにも、ダブルアロームと私の大好きな
モンレニオンヴァニラが入れられていました。
ヴァニラの女王であるブルボンバニラの100%天然濃縮原液である
このモンレニオンヴァニラは、本物のヴァニラならではの馥郁たる香りが特徴。
優しい香りで、持続性があり、いつまでもふくよかに香り続けます。
河田シェフも「味がのび、落ち着く」とおっしゃっていました。

生地を一日寝かせ(均一化されて安定する)、バターをちぎってのせ焼成し、
ミ・キュイになったらアーモンドを散らし、さらに焼成。
バターをちぎってのせることで、河田シェフがだしたいとイメージされている
食感をだすことができるのだそう。

 
 
 


 
通常の小さいサイズのファーブルトンは、表面の脂っぽくなった部分が少し苦手なんですが、
このアントルメサイズだと、アパレイユ部分が多くなるので、
私的にはとても好きなバランスでした。 
 
またプティ・サイズだと、プルーンやアプリコット1個だけが入っているものが多いですが、
このサイズだと、色々なフリュイセックが楽しめて、断面も豪華に!
これはぜひ皆さんに作っていただきたいなぁ。。。

 
焼成温度や時間を聞くと機嫌が悪くなるので、聞かないでくださいね!
と永井節でおっしゃっていましたが、河田シェフ曰く
「焼きものは、作る人の感覚」とのこと。
自分の作りたいお菓子の方向性に合わせて、自分の五感で判断するしかないですものね。

 
 
 



こちらのバトン グリオッティ-ヌは、私は初体験で、
シェフの皆さまも面白いなぁとおっしゃっていたお菓子です。

グリオッテーヌ入りのクレーム・ダマンドを春巻きの皮で包んで焼成したお菓子。

ヴァルダジョールグリオッテーヌを、真空調理機で糖度46°→55°に上げ
ミ・コンフィ状態に。

クレーム・ダマンドには、自家製のタンプルタンを使われているんですが、
お店の機械ではやや粗めに挽けるそうで、胡麻のように
後から2度楽しめる食感がお気に入りだそう。

焼き上がったらカリブ(100%サトウキビ天然糖液)を塗って。
「このカリブは純度が高いのでシャラず、雑味がなくスッキリとした味わいで
とても使いやすいです」とおっしゃっていました。

以前はパートフィロで作られてたそうなんですが、
今は厚みのある春巻きの皮の食感がお気に入りなんですって。

 
さらにつづきます・・・