ガレット・デ・ロワ講習会2009@東京 - 寺井則彦シェフ編 | ボヌール☆花粉 松本由紀子オフィシャルブログ
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エーグルドゥースの寺井シェフは、パン・ド・ジェーヌを紹介してくださいました。
パン・ド・ジェーヌというと、マンケ型やケーク型で焼かれることが多いですが、
寺井シェフが持たれている型は、オリジナルの型なんだそう。
真ん中の厚みのある部分を多くし、中心が黄色くならないように工夫されているとのこと。
 
エーグルドースさんは、ケークの型もスリムロングなオリジナルの型をお使いですものね。
型の微妙なバランス(大きさ・深さ、厚みなど)によって、
仕上がりの食感や味わいが全く違ってきてしまうので、
寺井シェフはとてもこだわられてらっしゃるんでしょうね。



 


 
型に、ポマード状のバターと強力粉を4:1で混ぜたものを塗っていきます。
粉を後づけすると失敗することも多いので、このような方法をとられているんだそう。
塗り終わったらすぐにスライスアーモンドをつけて、冷蔵庫で冷やし固めていきます。

 




 
パン・ド・ジェーヌは、ジェノヴァのパンという意味の
アーモンドをたくさん使ったリッチなお菓子です。
 
このお菓子はサント・ノーレ通りにあった名店「シブスト」のシェフ・パティシエ、
フォヴェルの創作によるものだと伝えられています。

元々は、アーモンドにラムあるいはキルシュを加えて作ったビスキュイを
「シブスト」ではアンブロワジー、“神々の食べ物”と名づけていたそう。
ところが1800年、イタリア・ジェノヴァがフランス軍に包囲された時に、
街に立て篭もった兵士たちが、残された食料のお米とアーモンドを
食べて生き延びたというエピソードから、
“神々の食べ物”から“ジェノヴァのパン”に名称が変わったのだとか。

 
寺井シェフは、とにもかくにも、アーモンドの美味しさを存分に味わってもらいたいので、
スパイスなどを加えて個性的な味にするのではなく、
アーモンドの自然な美味しさを堪能できる、
上質な味のパン・ド・ジェーヌに仕上げられているんだそう。

そして上質なアーモンドの美味しさはビター臭ではないと考えられているので、
ローマジパンに使うアーモンドの0.5%のビター・ダマンドを加えて
ビター臭をつけたマス・ダマンドを使われていました。

アーモンドは、スペイン産のマルコナ種を使用。
皮付きのアーモンドを湯むきし、砂糖、ビター・ダマンドを加えて
ブリクサーにかけ、マス・ダマンドを作っていきます。







 
さらに、卵を少しずつ加えブリクサーで混ぜ、
ミキサーボウルにうつして、泡立てていきます。
ジェノワーズのように、ふかふかになるまで泡立てたら、
溶かしバター、アプリコットピューレ、ラム酒を加え、
最後にふるった粉系を加えていきます。







 
180℃で30分、さらにダンパーを開けて15分焼成します。

型から外して冷めたら、アプリコットジャムを塗り
(市販のものにピューレを足して酸味をだし、煮あげたもの)
裾にココナッツをまぶしていきます。

実はこのココナッツにもひと手間がかかっていて・・・
ココナッツに30度ボーメシロップを加え、ココナッツの表面がしめるようによく混ぜ、
そこに粉糖をまぶし、天板にのせ150℃で焼いていきます。
このひと手間を加えることで、ココナッツそのままよりも、
やや甘く、美味しい状態のココナッツができあがるのだそう。

一見とてもシンプルに見えるお菓子、パン・ド・ジェーヌですが、
寺井シェフは、アーモンドの美味しさを表現すべく
本当に色々なことにこだわり、作り上げてらっしゃいました。

 
一瞬だったので、ちょっと写真が見にくいかもしれませんが・・・
寺井シェフの道具セットにマカロンのチャームを発見!
まさか寺井シェフが付けられているなんて!?
こちらはお店で販売されているもので、今後カラーバリエーションも増えるそうですよ。
ストラップも作ってほしいなぁ・・と軽井沢のコンクールの時にお願いしたら、
フェーブのような陶器製なので、無理なんだそう。
欲しいけど・・・まずチャームを付けられる場所を考えなくっちゃ^^;



 








しっとりとアーモンドの香り高く、上質な美味しさが伝わってくるパン・ド・ジェーヌ。
ココナッツの香味&食感も効いています!

とてもシンプルに見えるお菓子ながら、ここまでアーモンドにこだわって
手間をかけて作られているなんて・・・
アーモンドはとても奥深い素材であるとともに、
やはりお菓子作りって、際限なく奥深いものなんだなぁ・・・と改めて感じました。

エーグル・ドゥースさんには、アーモンドの風味を焼き加減で表現したお菓子が
3種類あるそうなので、今度ぜひそちらもいただいてみたいなぁ・・・

つづきます・・・