WPTC2008記念講習会 ☆ チョコレート細工編 -2 | ボヌール☆花粉 松本由紀子オフィシャルブログ
チームJAPAN ☆ WPTC2008 記念講習会
WPTC2008記念講習会 ☆ introduction編
WPTC2008記念講習会 ☆ アメ細工編 -1
WPTC2008記念講習会 ☆ アメ細工編 -2
WPTC2008記念講習会 ☆ チョコレート細工編 -1
(WPTCオフィシャルサイト・PCG参照 )

  
  
  


  
チョコレートをフードプロセッサーで混ぜて、粘土状にしたものを形作る「モデラージュ」という手法。
前回大会で、和泉シェフがこの手法を全面的に押し出した作品を作り、
ベストチョコレートピエス賞を獲得し、話題になりました。








  
一瞬、カレー屋さんに見えてしまいまったのは、私だけでしょうか(笑)
このセルクル型のパーツが、土台部分に。
このパーツで、あの大きなピエス全体を支えるんですね。









 
エアーを吹き付けたり、チョコレートを塗ったりして接着。
真剣な眼差しで、寸分の狂いもないように何度も確認されてから
慎重に接着されていました。

  
各パーツには、何%のショコラを使っているのですか?という質問も飛んでいましたが、
大きなパーツには、カカオのパーセンテージ(%)が高いもの使って硬い土台を作り、
逆に流動性の高さを必要とする細かいパーツには、
カカオのパーセンテージ(%)が低いもの使うという使い分けが必要になってくるとのこと。

  
しかしWPTCレベルのピエスを作るシェフには、さらに突き詰めた
チョコレートの知識が必要とされてくるのだそう。
それらの知識は、チョコレートを使ったお菓子にも反映されてくるでしょうから、
今後藤田シェフのショコラ系のお菓子をいただくのが一層楽しみになりますね♪ 
















   
厳しいルールの枠内で、いかに前大会の作品を革命的に超えるような作品を作るか
を課題とし、練習を重ねられたという藤田シェフ。

  
軽量化したうえで、どれだけ大きく迫力のある作品が作れるか!
複数のパーツを組み合わせて大きなピエスを作る場合には、
単純に複数のものが組み合わさっているように見えるのではなく、
それぞれが流れとしてつながっていることが重要。
そして、その流れのあるピエスの中でも、
特に中心に最も目を引く部分をもってくるようなデザインにされるとのことでした。

  
技術的な面では、アメ細工のような大輪の花を咲かせたかったので、
ひとつひとつのパーツを大きくするために、
花びらを2か所で支える技法を編み出されたのだそう。
そこでこれまでは軽いパーツしか付けられなかったものが、
この技法により強度を高めることで、より大きなパーツを付けられるようになり、
あのようなインパクトのあるピエスに仕上げることができたんですね。











 
チョコレートのピエスも仕上げ段階に入ると、デモ台から下ろされてしまいました。

マットなチョコレート色1色だったピエスが、ピストレで染められていきます。
ややメタリックな赤色に・・・今回は7色ご用意されていたとのこと。
一瞬にして立体感がでて、今にも天に舞い上っていきそうな表情に見えてきました。










 
ピエスを作る合間合間に、ガトーのピストレも担当される藤田シェフ。
 
















  
そして、ボンボンショコラも・・・

ボンボンショコラは、各チーム規定に沿った3作品を提出します。
ボンボンショコラに課せられた規定とは
 a. 1種類は手で上掛けすること。
 b. 1種類は型取りをすること。
 c. 1種類はチョコレート以外のフィリングを使いつつ、最低75%のチョコレートで覆われていること。

  
このMur mur(ミュー・ミュー)は、手で上掛けされたボンボンで、
アプリコットのパート・ド・フリュイと、ガナッシュ・アブリコ・ジャスマンを層にして、
66%のダークチョコレートでコーティングをされています。(1.2×3cm)

これを1.2cm幅にカットするために登場したのが、その名も“スーパーギッター”
藤田シェフのお手製ギッターです。
凄い・・・本当に工作もお得意でらっしゃるんですね。
さらにぺティナイフで3cm幅にカットして、
コーティング用のフォークを忘れられたそうで、普通のフォークで上掛け(笑)

  
実はこのアブリコ×ジャスミンは、昨年のサロン・ド・ショコラで
アルノラエール氏もされていた組み合わせなんですって。
このMur murに使われているジャスミン茶葉は超高級茶葉だそうで、
アブリコの酸味とジャスミンの芳香が、ショコラの風味を引き立てていました。
ボンボンショコラ部門で1位を獲得したのはUSAだったのですが、
実際に審査員をされた中島シェフのお話によると、
USAのマスカルポーネといちごのボンボンショコラは特に隙のない出来栄えだったそう。
カットしたときの断面の赤と白の美しさにしても、
それぞれの味のシンプルではっきりとした表現にしても、
コーティングしたチョコレートの薄さにしても、
すべてが完璧で「隙がなかった」と称賛されていました。
マスカルポーネ×いちごというのは、一見珍しくない組み合わせですが、
やはり評価されるのは、シンプルな中にも、おっと思わせるインパクトがあることなのだそう。

   
  
  





  
あれっ・・・初めは順調に見えていた藤田シェフがやや遅れ気味に・・・
川村シェフのアメ細工は既に完成されたようです。

ここでもサッと話し合われて、それぞれの分担を決め、
きちんと時間内に完成されていました。

本当にお三方のチームワークが素晴らしいんです!
今回は本番ではないので、殺気立った中でのチームワークというのは
拝見できませんでしたが、本当に息の合った信頼関係が伝わってきました。
まるでずっと以前からの仲間であるかのような雰囲気ですよね。










「イマジネーション」というテーマに合わせ・・・
正面からは花に導かれてきた蝶を蠍が狙っている様子を。









  
横からは、頂点を目指す男性の心の奥底から燃え上がる
魂をイメージしたものを鳳凰で表現し、それを支える女性像を下に。
後方からは、その男性を魅了する女性の誘惑性をイメージ。

パープルのメタリック感がとても神秘的・・・
闘志を燃え上がらせる男性とそれを支える女性・・・
横から見た時のラインも、とても美しいですね。

  
WPTC本番終了後、藤田シェフはこの大会に出場した感想を
「信頼できる仲間と戦った貴重な体験」と語ってらっしゃいます。
元々顔見知りでらした川村シェフと和泉シェフの中に
どれだけ打ち解け、溶け込んでいけるか・・・
最初はとても不安だったとおっしゃいます。
  
チームワークがとても重要視されるこの大会において、
お互いの信頼感を育てていくことの大切さ・・・
それはこの2日間の講習会を拝見していただけでも、十二分に伝わってきました。
そして大会終了後も、3選手の中にはその信頼感が固い絆として持ち続けられていることも・・・

藤田シェフが主に担当してらしたチョコレート細工が
ベストチョコレートショーピースを獲得したことに対しても、
“ふたりがいたからこそ手にできた賞”であると喜びを表現されています。
本当に素晴らしきチームワークだったことが、このお言葉からも。

  
関西から唯一出場された藤田シェフ。
お会いできるのを私も本当に楽しみにしていました。
暫くはお忙しい日が続くと思いますが、いつかお店の方で、
WPTCに出場して・・・の本音をゆっくりおうかがいできればと思っています。

ガトー編につづきます・・・