「果てしなきスカーレット」
を観てきました。
ストーリーは、
デンマーク王の父を殺して王位を奪った叔父クローディアスへの復讐に失敗した王女スカーレット。「死者の国」で目を覚ますとそこは力なき者や傷ついた者は「虚無」となって存在が消えてしまう世界だった。そんな場所で戦いを望まない看護師・聖と出会う。一方、クローディアスは「見果てぬ場所」を見つけ出し、我がものにしようともくろんでいた。
というお話です。
デンマーク王である父アムレットは戦いを望まず、話し合いで解決しようと考える平和を望む王だった。しかしそれを良しとしない叔父のクローディアスは王妃ガートルードと共謀しアムレットを陥れ死に追いやる。
王女スカーレットは父の敵への復讐をしようと何年も剣の腕を磨き、いざ復讐しようとするが失敗。「死者の国」で目を覚ます。ここは人々が略奪と暴力に明け暮れ、弱い者は〈虚無〉となり存在が消えてしまうという狂気の世界。
そんな死者の国で現代の日本からやってきた看護師・聖と出会う。戦うことでしか生きられないスカーレットと、戦うことを望まない聖。傷ついた自分の身体を治療し、敵・味方に関わらず優しく接する聖の温かい人柄に触れ、凍り付いていたスカーレットの心は、徐々に溶かされていく。
一方、叔父・クローディアスもまたこの世界に居ることを知る。彼はその国で誰もが夢見る“見果てぬ場所”を見つけ出し、我がものにしようと民衆を扇動し、支配していた。クローディアスはスカーレットが復讐を果たすために自身を探していると聞きつけ、
彼女を〈虚無〉とするために容赦なく刺客を差し向ける。
後は、映画を観てくださいね。
この映画、お話としてはシェイクスピアの”ハムレット”と”マクベス”を足したような内容でした。先王が殺され、亡霊は出てこないけど、その娘スカーレットが復讐を胸に育って行きますが復讐を果たす前に殺されてしまうところから始まります。だからハムレットのラストから始まる感じかしら。
「死者の国」に落ちて、復讐を成し遂げられなかったと悔しがっていると、その死者の国にクローディアスもいるという事を知り、また復讐をしようと動き出すんです。この死者の国にもクローディアスがいるというところが何とも調子良すぎて、何で??と思ってしまいました。
元々は先王アムレットの妻ガートルードが悪い奴なんです。クローディアスをそそのかして殺させるんですから。ガートルードがスカーレットの母親なのか継母なのか判らないので、本当はどうなのか気になってはいます。自分の子でも憎らしかったのかな。マジで毒親でしたね。
ハムレットは悲劇で終わりますが、ハムレットの原型となったスカンジナビア半島の伝説を記した「デンマーク物語」では、見事復讐を遂げて終わるので、この映画はデンマーク物語に近いのかもしれません。私もデンマーク物語を読んでいないので確かなことは言えませんが。
スカーレットは死者の国で出会った聖という日本人との交流により、復讐をして良いのかと考え始めるというお話でした。でも、どうしてもこの死者の国に違和感があるんです。死者の国なのに、戦って死ぬんですよ。いや、もう死んでるよね。2度も死ぬの?最初の死の意味は?本当にここで死んで虚無になるの?もしかしてまた次の死者の国に移動するんじゃないの?だって、先の事は解らないんだから疑うよね。
この場所は時間と空間も関係ない場所なので、現代日本から聖という青年が入ってくるのですが、何故か聖しかいないんです。後はほとんどがデンマークの戦争で死んだ人々やヨーロッパ関係で亡くなった方のようでした。なんで聖だけ日本人??不思議ですよね。死ぬ人は沢山いるのに、なんでこの人だけ?
それでね、少しだけネタバレになるんだけど、一瞬、聖が人工呼吸器に繋がれている場面が映るんです。ということは生きているってことでしょ。死者の国じゃないんですよ。日本でいう三途の川を渡る前の賽の河原にいるってことになるのよ。死者の国じゃないとなると、あれだけの沢山の人が意識不明の重体なの?と思ってしまい、もう頭の中がぐるぐるになってしまいました。
そういう部分がとても曖昧に作られていて、こだわってしまう私にはもやもやが残ってしまいました。それ以外に展開の意味が分からない部分が多くて、途中でモヤモヤ、イライラ、何でそうなった!と叫びたくなったところもありました。細田作品は基本的に好きなのですが、このお話しはどうなんだろう。
基本的にシェイクスピア作品をそのままアニメに持っていくのはダメでしょ。既に実写映画でも十分に満足できるシェイクスピア作品があり、舞台でも良い演出家がそれぞれに作っていて評判になっているんです。アニメでシェイクスピアって、そうとう内容を変えない限り受け入れられません。オリジナルと言っているけどオリジナルじゃないですよね。
酷評が多いので、私はあまり酷評したくありませんが、うーん、皆さんのいうことも解るし難しいなぁ。絵に関して言えば、ダンス部分とかの人間のバランスが悪かったよね。10等身で顔が小さすぎて、まるでマネキンが踊っているようでした。人物バランスは良くなかったけど、風景などの映像は良かったと思います。美しかったです。
言いたいことは理解出来るんです。復讐劇を続けても何もならない。”許す”ことこそ人間には重要で、そのことが人としての成長に繋がり、未来をもたらしてくれるということなんだと思うんです。でもねぇ、それならシェイクスピアである必要もないし、もっと身近な作品を原作に選んだ方が良かったのではないかと思いました。
私はこの映画、うーん、お薦めしたいと思います。欠点は多い作品ですが、映像は美しいし、それなりに許容して観ていくと悪い奴は自滅するんだなぁ”ざまぁみろ!”って思える内容でした。細田監督作品好きなので、今度は良い小説や漫画を原作に作って欲しいなと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。![]()
「果てしなきスカーレット」











