ブルーボーイ事件 性同一性障害を問題とした裁判が描かれた作品。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「ブルーボーイ事件」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

1965年、東京。警察は売春取り締まりを強化していたが、性別適合手術を受けた者たちの存在に頭を悩ませていた。戸籍は男性のまま売春をする彼女たちは、現行の売春防止法では摘発対象にならないのだ。性別適合手術が「優生保護法」に違反するとして、医師・赤城を逮捕し、適合手術を事実上出来なくする方策を取るのだが…。

というお話です。

 

 

1965年、オリンピック景気に沸く東京で、街の浄化を目指す警察は、街に立つセックスワーカーたちを厳しく取り締まっていた。ただし、ブルーボーイと呼ばれる、性別適合手術[*当時の呼称は性転換手術]を受け、身体の特徴を女性的に変えた者たちの存在が警察の頭を悩ませていた。戸籍は男性のまま、女性として売春をする彼女たちは、現行の売春防止法では摘発対象にはならないのだ。

そこで彼らが目をつけたのが性別適合手術だった。警察は、生殖を不能にする手術は「優生保護法」[*現在は母体保護法に改正]に違反するとして、ブルーボーイたちに手術を行っていた医師の赤城を逮捕し裁判にかける。



 

同じ頃、東京の喫茶店で働く女性サチは、恋人の若村からプロポーズを受け、幸せを噛み締めていた。そんなある日、弁護士の狩野がサチのもとを訪れる。実はサチは性別適合手術を行った患者のひとりであり赤城の弁護を引き受けた狩野は、証人としてサチに出廷してほしいと依頼する。

今の生活を壊したくない、と証言を拒んだものの、赤城の逮捕で残りの手術ができなくなり途方に暮れるサチ。ゲイバーでの同僚アー子と再会すると、すでにアー子やメイは裁判での証言を決めていた。

ついにアー子が証言に立つ日がやってきた。手術の正当性を証明したい狩野は、アー子たちは「性転換症という精神疾患」を抱えた人々であり、手術はその治療の一環であると主張。その言葉にアー子は猛然と怒り、自分は「女として普通に生きたいだけ」だと声を荒げる。そんなふたりを、傍聴席のサチは不安げに見つめていた。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、驚きました。この裁判が起きたのが1965年と書かれていて、そんな昔に既にゲイの方がお店をやっていて、性転換手術も日本でやっていたと聞き驚きました。私、学生の頃から三島由紀夫の小説が好きで、彼のことを色々と調べていて同性愛やゲイを認識し、美輪明宏さんなどを知りました。まさか生まれる前に、既に性転換手術を日本でしていたという歴史があるという事にビックリしました。

 

売春取締りを警察がして逮捕をするけれど、戸籍上男性であるゲイの売春を逮捕しても”売春婦”ではないので罪に問えないということらしいんです。それで何とかそれを阻止したい警察は、検察と組んで、性転換手術(現在では性適合手術)をしていた医師を優生保護法(母体保護法)違反として逮捕するんです。

 

罪状は生まれ持った生殖機能を手術で不能としたというものでした。理屈を付けるのならそうだろうなと思いますが、本人の意思で不能として貰っているのだから罪じゃないですよね。映画の中でも治療だと言っているのに上手く伝わりません。それにこの時代、同性愛は病気だからと思われていたようで、治療が出来ると考えられていたんです。

 

 

現代では多様性と呼ばれて、性別は男女だけじゃないという理解が深まっているので、性適合手術は合法となり日本でも行われていますよね。でもあまりやっている場所は多く無いので、半分以上はタイで性適合手術をしているんじゃないかな。私の友人で男だったのに女性になっちゃった人もタイで手術をしてきました。

 

友人は何年か精神科で診療を受けて、性適合手術を受ける前に戸籍は女性に変更して貰えていました。日本での手術も考えていたようですが、やはり随分と待つことと金額が高いということがあり、タイに行って手術をしたようでした。戸籍も身体も女性に変わって、これで普通に生活が出来るのかなと思っていたら、ホルモン剤の影響だと思うけど鬱病になりました。

 

 

そんな友人を見ていて思ったのですが、トランスジェンダーなので女性として見て欲しいというなら性適合手術までしてから女性として生きなければダメですよ。レ〇プ目的でそう言う方もいるようなので、身体の機能を全て女性にしてからでないと信用してはいけません。

 

私の友人は男の身体では耐えられないと言って、苦しんで苦しんで女性として生きていくと決断したのです。それまでの男としての生活を全て捨ててです。それくらいの覚悟を持った人間だけ国も補助を出すべきだし戸籍も変えるべきなんです。口先だけ精神科医の診断書のみで性適合手術も受けないという方は信用出来ません。女性としては認識出来ませんよ。

 

 

話を戻して、この映画に出てくるゲイの方たちは本当に真剣に性の不一致に苦労してきているんです。幸せになりたいと思っても、身体が自分の気持ちと違うのでいつまでも違和感があって苦しいんです。そして映画の中でも言っていますが、やっと身体が精神と同一になっても周りの人間の意識が変わらないので、いつまでも”ゲイ”だとか”おかま”だとか言われて、幸せを感じられないんです。

 

この時代は酷かったんでしょうね。現代になってやっとそういう感覚は少なくなってきているけれど、それでも年配の方々は”おかま”とか”ゲイ”とか言って白い目で見ていることもあると思うんです。振り切ってしまえる方は良いけど、そう簡単には家族を捨てるなんて出来るもんじゃありませんからね。どんな人にでも優しい世界になると良いなぁ。

 

 

ブルーボーイ裁判は3年ほど続き、色々な問題を浮き彫りにしていきます。日本の高度成長期、こんなことが起こっていたんですね。古い時代のお話なのですが、ちょっと背景が現代風になっていたような気がしました。まぁ、昔のことは知らないんですけどね。

 

結局、弁護士も彼女たちの本当の気持ちを理解することが出来ず、裁判官も検察も、それぞれに性の不一致についてしっかりとした説明が出来る人間もおらず、難しいんだなと思いました。そんな時代を経て、日本は現代の性同一性障害の理解まで進んできました。病気ではないので簡単な治療などでは治りません。それを知って欲しいです。

 

 

私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。日本にはこんな時代があったのだということを知って欲しいし、彼らがどういう気持ちで女性になりたいと言っているのかも知るべきなんです。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ブルーボーイ事件」