「フランケンシュタイン」
を観てきました。完成披露試写会がFan’s Voiceさん枠で当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
北極点を目指す1隻の船が氷に閉ざされて立往生をしている。何とか脱出するために眠らずに作業をするようにと叫んでいると、近くで爆発が起きる。そこには一人の男が横たわっており、救助をして船に連れてくる。その男はヴィクター・フランケンシュタインと名乗り、自分が体験した不思議な話をしだすのだった。
天才だが傲慢な科学者ヴィクター・フランケンシュタインは、禁断の実験を続けていた。死体を集めて新しい人間を創り出そうとしていたのだ。弟のウィリアムの婚約者であるエリザベスの伯父ハインリヒ・ハーランダーがパトロンとなり、苦労の末、実験を成功させる。
しかし、彼によって生み出されたのは怪物だった。知能も低く、ヴィクターの名前以外は話さず、同じことの繰り返しでヴィクターは疲れてしまう。そんな時、実験場にしていた別荘にウィリアムとエリザベスがやってくる。ヴィクターの様子を見に来たのだ。そしてエリザベスは地下に繋がれている怪物を見つけてしまう。
ヴィクターの話は続き、怪物が現れたら自分を引き渡せというヴィクターと船長の前に、とうとう怪物が現れる。そして自分の話を聞いて欲しいと今度は怪物が奇妙な話を始めるのだった。後は、映画を観てくださいね。
この映画はギレルモ・デル・トロ監督の最新作で、ネットフリックスで11月7日から配信予定です。一部劇場公開されるようで、10月24日よりイオンシネマ系などで観れるようです。
フランケンシュタインって何度か映画化もされているし、私はナショナル・シアター・ライブのフランケンシュタインを何年か前に観ましたが、ここ10年くらいはフランケンシュタインの作品は作られていなかったんじゃないかな。今回のフランケンシュタインは、最初の方は原作に近いお話になっていますが、途中からちょっとオリジナルになって行きます。
ヴィクターが北極海で船に助けられて自分の話をし始めるのは原作に近いです。まず助けられるのが序章で、ヴィクターの話が1章、怪物の話が2章となっていて、それぞれの側面から見たこのお話を描いていきます。そりゃそうよね。どちらの面からも観てみないと、何が真実なのか解りませんから。
最初はヴィクターの話から始まります。ヴィクターは死体から生きた人間を造ろうとするんです。なぜ死体から生きた人間?と思うかもしれませんが、この時代酷い戦争があり、もし死なない兵隊がいたらいいなという考え方からヴィクターは人間を造ろうと思ったんじゃないかな。
ヴィクターは造ったは良いけど知能が全く追いつかず見た目もグロテスクで、どうしたもんかと考え始めるんです。その上、色々な事件も起きてしまうし、怪物の欲求も叶えなくてはならず、もう嫌になってしまい、殺しちゃおうとするのですが、もちろん簡単には死なずにずーっと後引きします。
ヴィクターは天才的な頭脳を持っているのですが、性格は悪いんですよね。傲慢なんです。自分は凄い頭脳を持っているから、周りは自分を崇めなきゃおかしいだろというような考え方なんです。彼の父親もそんな感じの人間で、父親そっくりになっているんですよね。
学会などに出て死体を蘇らせる実験を見せたりして、周りを驚かせるんです。でも死体を生き返らせるって倫理的におかしいでしょ。学会は反発して、彼の研究にはお金を出さないのでハーランダーがパトロンとなり実験の費用を出していくんです。もちろんハーランダーにも思惑があるんですけどね。
そして巨大な実験台を作って雷の電流を使って人造人間を創り出すんです。確かに人間の体が動くのは脳からの電気信号だから、その信号が出せるようにすれば身体は動きます。でも考える脳が無いと敵も味方も解らないから使えないでしょ。これは”廃棄”かなと考えているところにウィリアムとエリザベスが現れて、怪物に変化が訪れるんです。
思ったんだけど、人間の子どもだって生まれてすぐに話せるわけじゃないでしょ。親が教えるから話せるし歩けるし考えるようになって、色々な経験によって心が形作られていくのに、最初から頭が悪いなんて言うもんじゃないよね。ヴィクターに親としての自覚が無いのが悪いんです。
その点、エリザベスは怪物に優しい心が宿っていることに気が付いて、怪物を守ろうと動くのですが成功はしません。怪物、一度は廃棄されます。あー、やっぱり廃棄するんだーって思っちゃった。これ子供が親に捨てられると一緒でしょ。酷い話ですよね。ヴィクターに親らしいことを期待は出来なかったけど、それでも子供に対しての愛情が少しでもあって欲しかった。まぁ、話は続くので変わっていくかもしれませんが。
そんな始まりから長い長い話が続きます。怪物の話は感動でした。生き延びて山に入ったりしていくのですが、森の中だとまるで”白雪姫”なのよ。動物が寄ってきてネズミちゃんとかが肩に乗ったりして、動物は心が解るんだね~って感じなんです。山小屋では盲目のお爺さんに出会い、本を読んだりして知識を付けていきます。
ここからは原作とは少し違ってくるので、観て欲しいかな。この映画、本当は大画面で観る方が楽しめる作品です。細かい部分までこだわっているような画面構成だったし、原作には書かれていないけれど、きっとこう思って欲しかったんじゃないかという解釈で作られていたような気がしました。とても優しい映画になっています。
憎しみだけじゃ生きていけませんもんね。優しい心を取り戻せば、もしかしたら許し合えるのかもしれない。でも憎しみって簡単には消えませんよね。苦しみと悲しみを長い時間で昇華させるしかないのかもしれません。必死で心の葛藤を抑えたとしても、憎しみを消すには相当な時間が必要です。
なので怪物は現代にもひっそりと生きているのかもしれません。現代では簡単に厚いメイクが出来るし、髪型も良いカツラが沢山ありますから。もしかしたら自分の横にいる人が怪物なのかもしれない。まだまだ人間を許すために人間のそばで生きているかもしれません。
そういえば、エンドロールに”ティファニー”の文字を見つけました。レトロなアクセサリーなどなどを提供してくれていたのかしら。とても美しいです。
(ギレルモ・デル・トロ監督のサインをいただけました。)
ヴィクター役のオスカー・アイザックと怪物役のジェイコブ・エロルディは雰囲気が良かったし、カッコ良かったです。エリザベス役でミア・ゴスが出演していまして、凄く美しかったです。これは怪物も好きになっちゃうよね。とても優しい女性役でした。
私はこの映画、超!超!お薦めしたいと思います。大画面で観たからなのか感動しちゃって、怪物がヒーローに見えてきてしまいました。素敵な映画です。出来れば大画面で観て欲しいけど、11月にネトフリで配信されますので、ご期待ください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
P.S:写真は完成披露試写会のディスプレイです。最後のポスターにはデル・トロ監督のサインがいただけたので載せました。
「フランケンシュタイン」