「逆火」何が正義で何が悪なのか。いつも正義を追っていたらこの世は面白くなくなっちゃいます。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「逆火」

 

を観てきました。Fan’s Voice独占完成披露試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

家族のことを顧みず、助監督として働く野島。次の仕事は、貧しい家庭で育ちヤングケアラーとなりながらも成功した小原有紗(ARISA)の自伝小説の映画化だった。しかしARISAの調査を始めると小説に書かれた美談とは程遠い、ある疑惑が浮かび上がる。
というお話です。


 

映画監督を夢見る助監督の野島。彼の次の仕事は、貧困のヤングケアラーでありながらも成功した小原有紗(ARISA)の自伝小説の映画化であった。

ARISAは働く母親の代わりに中学の頃から父親の介護をしていた。しかしある日、父親は階段から落ちて死んでしまう。悲しむARISAに母親が父親が保険金を残してくれたと言い、その保険金を足掛かりに、ある保険会社の小説コンクールに自伝を書いて出し表彰され、その後の努力もあり会社を設立し成功を収めていた。



 

ところが、周辺で話を聞くうちに彼女に “ある疑惑”が浮かび上がる。介護などしておらず、早く父親に死んで欲しいと漏らしており、パパ活で稼いで生活費にしていたという。この女は悲劇のヒロインか、それとも犯罪者なのか。

名声を気にする監督、大ごとにしたくないプロデューサーといった撮影を中断したくない面々が、真実を追求する野島に圧力をかけてくる。やがて疑惑の火は、家族をも巻き込み野島の日常が崩れ始める。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、キツい内容でしたねぇ~。自伝小説の映画化をすることになり、助監督の野島が小説の下調べをするんです。そりゃ映画化するんですから、下調べはしますよね。本人の言葉だけをうのみにする訳にはいきませんからね。そしたら、ボロボロと色々な問題が出てきてしまうというお話なんです。

 

はっきり言って、自伝って凄く”盛って”ありますよね。本人を良く見せるための本だし、本人が書いたにしても編集社が凄く手を入れているので元の話から遠くなっていたり、私は信用していません。自伝といいながらフィクション小説だと思っています。映画の中でも言っているけど、それくらい盛って面白くしなくちゃ売れないでしょ。出版社が売れない本を出版する訳が無い。

 

 

この事を万人が解っていて自伝小説があるなら良いけど、時々アホみたいに信じちゃっている人がいるから驚くよね。以前、映画で実話ベースのパニックホラーがありまして、笑ったという感想を書いたら、人が死んでいるのに笑うなんてというコメントをいただいたことがあります。実話で全員死んでいたら誰がその話を伝えたんだっつーの。実話では怪我とかだったのを盛って盛ってパニックホラーに仕上げているだけなのに、実話と信じている人がいることに驚きました。

 

自伝もそうだけどニュースやSNSでも沢山のデマが流されています。例えばちょっと転んだだけでも、暴力を振るわれて押されて転んでけがをしたとかいう風に書かれていたり、メチャてんこ盛りにされてたりするでしょ。百聞は一見に如かずというけど、自分の目で見なければ、そこに書いてある事実は信用に値しないものだと認識すべきだと思います。

 

 

野島はARISAの本当のことを知り、映画化を止めるべきだと言い始めるんですけど、クランクインはあと数日後。今更止められないと誰もが言います。野島が言うことは凄く解るんです。自伝と言いながらフィクションなんですから。でもね、ここまで進んでしまった映画製作を止めることは出来ないでしょ。

 

建築で言えば、既に基礎杭を打っちゃったのに建物のプランが違ってたというようなもんでしょ。そんなの止められないからちょっと変えたと言って以前よりも良い材料にしましたと納得させて進めるんです。じゃなきゃ、どんだけ損失が出るんですか。

 

真面目に正しい事をするなら映画化を止めて、脚本を真実に寄せて書き直してから再度映画化するというのが本当でしょ。でも、人間って真面目な事ばかりしていても、決して幸せにならないんです。柔軟な脳を持って、映画は自伝をベースに自由に作ったフィクション映画ですという声明を出せばいいんじゃないの?映画はニュースじゃないんです。エンタメなのだから楽しめて生きるヒントがあればいい。

 

 

野島が映画に没頭するうちに、彼の家庭が壊れていきます。野島の夢は監督になることで、それに必死になっちゃっていて、妻もあまり子どもに愛情を注ぐような女性ではないようで、娘が悪い方に影響されて行ってしまうんです。娘に愛情を与えないから、娘は他で愛情を得ようとしてしまったんだと思うけど、なんか解るんです。

 

子どもを育てるのに向いている人と向いてない人っていますよね。何かに没頭してしまう人は難しいです。俗にいうオタクはムリよ。子どもを持ったら自分の子どものオタクにならなきゃいけないから、他のオタクは無理なんです。私、自分がオタクだから解りますもん。子どもを育てる間だけはオタクを止められる人でないと子どもが可哀相な事になってしまいます。

 

この映画は2つの点があって、1つ目はARISAという女性の自伝が嘘にもかかわらず映画化して良いのか。2つ目は野島が映画を取るか娘を取るかの選択です。面白いですよ。SNSなどで嘘まみれの情報を浴びている私たちは、これから自分で嘘か真実かを見極めて生きていかなければ行けません。ま、SNSなんて信じなければいいんですけどね。そして自分にとって大切なモノは何なのかの選択です。これは人によるので何とも言えませんが、私は人間を取るかもしれません。でも好きなモノが大切な方もいますからどちらも正解だと思います。

 

 

人生の選択は人に何と言われようと、自分の決めたことが正解だと信じていくべきだと思います。でないと自分が壊れてしまいます。最終的には自分を守ることが一番正解なんですから。自分を大切にしましょう。ネタバレしちゃいけないけど、自分が生きるために誰かを排除したとしても、決して自分を責めないこと。それは仕方が無い事だったんです。

 

うーん、凄く考えさせられる面白くて哀しい映画でした。私はとても好きだなって思いました。北村さんはとても好きな俳優さんですし、円井さんも”Monday”で大好きになったので、今日はお会いできてうれしかったです。

 

私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。この映画を観ながら、自分はどんな選択をしてきたかしらと考え、絶対に成功だったと信じていこうと思いました。もし罪悪感を抱いたら自分が潰れてしまいますから。誰もが私のように強くなれたら良いけど難しいんだろうな。にゃぁ、良い映画でした。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「逆火」