「年少日記」
を観ました。Fan’s Voiceさんの独占最速オンライン試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
高校教師のチェンが勤める学校で、自殺をほのめかす遺書が見つかった。「私はどうでもいい存在だ」という言葉は、少年時代のチェンが日記に綴ったものと同じだった。厳格な父のもとで育った出来の悪い兄と優秀な弟。親の期待に応える弟とは違い、勉強もピアノもできない兄はいつも叱られ、体罰を受けていた。家族に疎外感を抱く兄は、日記をつづりながら自分の将来に不安を募らせる。
というお話です。
チェン・ヤウキットという少年が廃マンションの屋上に立っている。思いつめたような顔をして下を見下ろし、次の瞬間にその少年はそこにはいない。
中学校の教師チェンは、他の生徒を階段から突き落とした聴覚障害のある生徒・ヴィンセントに謝るようにと言いますが、彼は虐められていた側で抵抗をしたせいで加害者の生徒が落ちたんです。謝りませんという彼に校長室へ行きなさいというチェン。それを見た女生徒がご自分の離婚問題を先に解決したらどうですかとチェンに冷たく言い放ちます。
それから数日後、教室のゴミ箱から遺書らしきものが発見される。学校側はそれを書いた生徒を見つけようとするが、他の生徒に内密にすると決め、生徒の命の心配を一切していない校長他にチェンは憤りを感じるが、何も言えずに黙っていた。気になったチェンは女子生徒の一人に協力を依頼して遺書を書いた生徒を探すことに。その遺書には「私はどうでも良い存在なのだ。」と書かれており、チェンは子供の頃に書いた日記に同じ言葉を綴ったことを思い出す。
家に帰りチェンは昔書いた日記をめくり始める。父親は有名な弁護士で厳しい人だった。年子の兄弟がおり、兄のチェン・ヤウキットは成績が悪く、習い事をしても身にならなかった。弟のヤウチュンは勉強も習い事も優れていて何をやってもトップクラスだった。兄はとても努力するのだがどうしても成績が上がらない。父親はそんなヤウキットに体罰を与えてもっと勉強をするようにと怒りをぶちまけていた。
父も母も成績の悪いヤウキットには努力が足りないと言い、弟のヤウチュンに助けを求めても、弟は兄の辛さを理解出来ずに生返事をするばかり。兄は日記を綴りながら自分の居場所がない事を訴えていた。懐かしい日記をめくりながら、チェンは遺書を書いた生徒に想いを巡らす。そして…。後は、映画を観てくださいね。
この作品、良い映画でした。最後に驚くような展開があり、教師のチェンと日記の家族との関係が明かされます。出来損ないと言われている兄と天才と言われている弟。こんな風にいつも比べられていたのでは溜まりませんよね。人それぞれ、得意不得意があるんだから、その子に合った勉強をさせれば良かったのではと思うんです。
兄のヤウキットは、少し障害があったんじゃないかな。明示はされませんが、チェンが聴覚障害の子と関わる場面がありそれを隠していると言っていたので、ヤウキットも文字が認識出来ないとか、ボーダーと呼ばれる障害だったのかもしれない。そういう障害は良い先生が付けば、ちゃんと改善出来るんですけどね。
ただ詰め込む勉強の仕方もあるけど、関連性を認識させて物語のように覚えていく勉強の仕方もあるから、ヤウキットは弟と同じやり方で教育してもダメだったと思うのよ。親が本人の話を聞いて考えてあげるべきだったと思うんです。勉強が出来る子よりも出来ない子に手をかけてあげないと、出来ない子はつぶれちゃいますよ。
両親も弟も、兄が必死で色々と訴えているのに全く話を聞こうとせず、理解しようともしていなかったことに驚きました。勉強していても成績が悪いなら何か理由があるはずでしょ。そりゃ、居場所が無くなりますよ。自分は家族には必要とされていない、邪魔者と思われているんだと思っちゃったんじゃないかな。酷いなと思いました。自分の子供なのに、ここまで非難できるのは何だろう。それこそ虐待です。体罰も与えていたけど、もっと酷いのが心の虐待だったと思いました。
心って、ちょっとしたことで壊れてしまうのに、そういう事が理解出来ない人が多くなりました。この家族は人の気持ちが解らないんですよ。どんな時でも人の気持ちを考えるべきだし、もし勢いで傷つける言葉を言ってしまったら、言い過ぎたごめんなさいとあやまればよい。そういう事が大切なんだけど、そういう事が出来る人が減りましたよね。
中国は謝らない文化なんだろうけど、日本の教育は子供の頃から心の在りようを重んじるものだったと思うんです。人がどう思うのか、人が嫌だと思う事はやらないようにしましょうと教わってきましたよね。だから人を殺すな、モノを盗むな、悪口を言うなというのは基本だったんです。社会を営んでいくのなら、人の気持ちを考えるのは当たり前なのに、外国人も増えてそういう日本人の大切な心構えが崩れてきました。美しい日本に戻って欲しいなと思っています。
映画に戻って、教師のチェンはそんな心の繋がりのない家族のことを知っているので、遺書を書いた生徒ももしかしたら全てが嫌になって強硬手段に出てしまうかもしれないと心配して探し始めるんです。他の生徒の大学受験とか、そんなことは関係なく、生徒を心配してのことでした。そして、日記を読み返したことにより、離婚危機にある妻へ、自分の過去について話をするんです。
チェンは結婚しても家族のことを妻にほとんど話さず秘密を抱えたままで苦しんでおり、子どもに関しても独特な考え方を持っていたので、妻と離婚危機に陥ったんです。でも、父と久しぶりに再会することが出来て、日記を読み終えて、今の自分の考えを日記の続きのページに書き込みます。そしてその日記を妻に見せるんです。チェンの気持ちが書き込まれていて、きっと妻はチェンの本当の気持ちを知り、二人でしあわせな家族を築いていってくれると良いなと思いました。
チェンは良い教師になったと思うし、きっとこれからは生徒のことを思いやることが出来る先生としてやっていけるんじゃないかな。生徒の話も聞かずに虐められていた生徒に一方的に謝れというのは間違ってるでしょ。虐めていた生徒に謝らせなければいけないし、罰を与えるなら虐めていた生徒にでしょ。そういうことは教師が正しい判断をしてあげないと、生徒たちも迷ってしまうし、問題は大きくなっていくばかりだと思います。
この映画を観て、やっぱり学校内に監視カメラを付ける必要があるんじゃないかと思いました。凄いいじめをしていましたもん。生徒たちが口裏を合わせれば、いじめられていた子が悪者にされてしまいます。ちょっとしたいじめ問題でも、立川の小学校のように恐ろしい傷害事件になる可能性もあるので、監視カメラと防犯ブザーやサイレンも必要なんじゃないかな。給食を無料にするより先に、セキュリティー強化の方が大切なんじゃないの?子供の命がかかってるんだよ。
この映画、私は超!お薦めしたいと思います。子どもが傷ついていく様がよく描かれていました。些細な事でも子供は傷つくんです。自分の事ばかりで子どもの気持ちを考えない生き方をしていると、いつか自分に戻ってきます。子ども相手でも、しっかりと話を聞き、正面から向き合わなければ相手のことは解りません。ちゃんと話を聞いてあげてください。それが大切です。この映画、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「年少日記」