「ミッキー17」人間モルモットとして契約しちゃったらそりゃ酷いことされるだろうなぁ。仕方ないよ。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「ミッキー17」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

失敗だらけの人生を送ってきた男ミッキーは“夢の仕事”で一発逆転を狙おうと契約書をよく読まずにサインしてしまう。 しかしその内容は使い捨ての人間。 危険な仕事を引き受け、ひたすら死んではコピーを複製するという過酷なものだ。 ある日手違いにより今のミッキーの前に彼自身のコピーが現れてしまう。

というお話です。

 

 

人生失敗だらけの男”ミッキー”。 借金で首が回らなくなりヤミ金から逃れるため、氷の星ニヴルヘイムへの移住船に乗り込もうとする。その船に乗るために何か仕事に就かなければならず、何も出来ないミッキーは「エクスペンダブル」として契約することに。この一発逆転のための仕事は、何度でも生まれ変われる”夢の仕事”のはずだった。

 

よく読まずにサインした契約書には、過酷な任務で命を落としては何度も生き返る、まさにどん底の”死にゲー”への入り口だったという記憶。ミッキーの脳データを記憶し、彼が死んだら新しいミッキーを造る=クローンを造ることとし、記憶を移して出来上がり。体の良い実験動物なのだ。

 

 

ニヴルヘイムに着くと空気が悪かったりウィルスが住んでいたりと問題は山積です。ミッキーは実験動物のように扱われ、未知のウィルスを身体に打たれ、どの血清が効くのかという実験台にだれて、何人ものミッキーが亡くなり複製が製造されていきます。

 

ある日、この星に住んでいる原星民族がに基地に迫ってくる。ダンゴムシのようなこの星のクリーパーは、ミッキーが星の調査にでて崖から滑落した時に、彼を助けたのだ。助けられたミッキーは17番。そして17番が部屋に帰るとそこには18番が住んでいた。17番の生死の確認をせずに、既に自分の複製が出来上がっていたのだ。

 

使い捨てワーカー・ミッキーは手違いで2体存在することになってしまった。そんなところへクリーパーが迫ってくる。仲間を殺された報復らしいのだが、ミッキーは何故か彼らの言葉が理解出来るような気がして…。後は、映画を観てくださいね。



 

この映画、面白かったです。ダメ男のミッキーは借金取りから逃げるために移住船に乗ろうとするんだけど、移住先で何か出来ることと言われても何もなかったため、”エクスペンダブル”という仕事なら出来るかなと思って応募します。すると、本当に応募するの?契約書を読んだ?と聞かれるんだけど、読んだところで他に何も出来ることが無いし、もし移住出来なければこの星で殺されることになるからと思って、そのままその仕事に就きます。

 

その仕事とは実験動物です。人間モルモットってことですね。色々な実験に身体を使われて、死んでしまったら次のクローンを造り記憶を入れるということなんです。実験用だけでなく、危険な仕事にも使われます。未知の惑星なので最初の調査はミッキーにさせて、大丈夫なら他の人が行くという感じかしら。そんな調査中に滑落して死ぬ寸前になるんだけど、何故かクリーパーちゃんが助けてくれます。

 

 

このクリーパー、ナウシカの王蟲からインスピレーションを与えられたらしく、見た目はそのまま王蟲でパクリです。立ち上がるとちょっと芋虫の裏側みたいで”もよもよ”していてキモいです。眼もありました。最初はキモッと思ったんだけど、段々可愛く見えてきちゃって、最後の方は飼いたくなっちゃいました。

 

何故クリーパーがミッキー17を助けたかというのが、この映画のキモなので、映画で確認して欲しいのですが、そんなに狂暴なヤツらではないようでした。やっぱり宇宙で一番狂暴なのは人間なのかもしれません。今回、司令官のマーシャルと妻のイルファが一番の悪役なんだけど、イルファをトニ・コレットさんが演じていて極悪なのよ。クリーパーの尻尾を切ってミキサーで調味料と粉砕してソースとして食べるんです。ゾッとしちゃった。ちょっと”ヘレディタリー”を思い出しちゃった。

 

 

マーシャルを演じたマーク・ラファロは今回もおかしな役で、”哀れなるものたち”からこの路線が増えちゃったのかしら。ハルクの時は真面目な科学者タイプなのにね。今回は少しイッちゃっている司令官という感じでした。クリーパーちゃんを虐めている時は許せないっ!って思ったわ。それくらいクリーパーが可愛く見えてくるのよ。

 

職場環境がブラック企業と一緒とか公式HPに書かれていたけど、契約書に”エクスペンダブル”はこうなりますって書かれていて契約したんだから、どんなに文句を言っても無理でしょ。最初から殺すのはダメだけど、実験動物として働くというのは承知の上でしょ。パワハラはダメだけど、ガス浴びたり、極寒だったりは文句言えないと思うよ。だって、誰かが犠牲にならないとワクチン開発も出来ないし、危険地域も解らないでしょ。ま、人道的に問題はあるけどね。

 

この作業用の人間を造るというのってブレードランナーのレプリカントの発想よね。レプリカントも人間では危ないところでの作業を彼らにやらせるということで造られたのよね。でも意思を持っているから段々と耐えられなくなったでしょ。ミッキーも同じなんです。使い捨てと解っていて契約したんだけど、やっぱり毎回死ぬのは怖いし苦しいんですよね。

 

 

そういう何度も繰り返す苦しみが、実はどんどんミッキーの中に蓄積していったのではないかと思いました。だから大人しく従っていたミッキーが18番になるととうとう反撃に出るんです。同じ人間なのに性格が違ってるなと思うかもしれないけど、ミッキー17は死ぬはずが生き残れて一度でも生き延びれたからもういいやという諦めのような気持ちを持っているけど、18番はそれまでのミッキーの無念が全部記憶に残っているから、さすがに許せなくなったんじゃないかな。それくらい17番と18番は性格が違います。

 

この何度もクローンで生き返らせるという話は、萩尾望都先生の「A-A’」と同じなんですよね。萩尾先生の作品は1981年なので、色々な方が読んでインスパイアといえば良い言い方だけどパクリだと思うんですよ。この作品で、同じ記憶で再生されたとしても、その記憶を保存した後の記憶は無い訳で、死んだ瞬間の記憶は無いんです。なのでどんなに帰ってきたと言っても、同じじゃないという事が描かれていて、このミッキーでも、同じ人間のクローンで記憶も同じはずなのに、性格が違ってくるというのが面白いなと思いました。

 

ドキドキハラハラする展開で、凄く楽しめたのですが、やっぱりこの映画でNo.1なのは、クリーパーちゃんかな。最初はキモッと思ったのに、そのしぐさがかわいらしくて、特に子供のクリーパーは抱っこすると、まるでウォンバットみたいに丸くてかわいいんですよ。頭をなでるとよろこぶし、うーん、ぬいぐるみを造って欲しい。販売して欲しいっす。

 

 

私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。私はSF好きなので、この映画も凄く楽しめました。とくにクリーパーがお気に入りです。ミッキーは可哀相だなーと思ったけど、でも自分で契約したんだもんね。それくらい契約書って大切なモノなので、ちゃんと読んでから契約しましょうね。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ミッキー17」