「Playground 校庭」
を観てきました。
ストーリーは、
7歳の少女ノラは3歳上の兄アベルが通う小学校に入学するが、なかなか友だちができず校内に居場所がない。やがて同じクラスの少女2人と仲良くなったノラは、ある日、兄が大柄な少年にいじめられている現場を目撃。ノラは兄を助けたいと願うも、兄から拒絶されてしまう。
というお話です。
7歳のノラが小学校に入学した。しかし人見知りしがちで、友だちがひとりもいないノラには校内に居場所がない。やがてノラは同じクラスのふたりの女の子と仲良しになる。これからは順風満帆で楽しい学校生活が送れるかもと考えた矢先、ある事を目撃してしまう。
3つ年上の兄アベルがイジメられている現場を目の当たりにしたのだ。優しい兄が大好きなノラはショックを受け、助けたいと願うが、なぜかアベルは「誰にも言うな」 「そばに来るな」と命じてくる。その後もイジメは繰り返され、一方的にやられっぱなしのアベルの気持ちが理解できないノラは、やり場のない寂しさと苦しみを募らせていく。
ノラはとうとう耐えられずに父親に話すと父親が虐めていた男子たちに「二度とやるな。」と警告してしまう。大人のいなくなった休み時間の学校の校庭の片隅ではもっと酷い虐めをアベルが受けていた。ノラはその姿を見ていたがどうしても先生に告げることが出来ず、虐めは度を越した暴力になり学校内で問題になる。虐めた子の親たちも呼ばれ二度としないようにと謝罪も行われた。
アベルへの虐めは終わったが、今度はノラが仲間外れにされてしまう。兄の問題や父親が迎えに来ることに対しておかしいと言われたノラは反発し、上手く行かなくなったのだ。学校生活が段々とおかしくなってきてしまったノラ。それでも学校生活を続けようとするノラは、ある日、アベルの衝撃的な姿を目撃してしまう。そして…。後は、映画を観てくださいね。
この映画、80分弱の長さなのに中身が濃くて、凄い内容の映画でした。これが虐めなんだということがしっかりと描かれていて、周りが介入しにくい問題なのだということが良く解ります。でも子供たちだけではどう考えても解決することは出来ないということも描かれていました。
子どもは知識も少ないし、本能的に動くことが多いですよね。だから一度気に入らないことがあり、虐めを始めてしまったら終わることが無いんです。もし誰かが”良くないよ”と言ったら、今度はその子が虐めにあってしまう。どこまでも終わらない連鎖があるんです。
大人が介入するしかないのですが、そのやり方も問題ですよね。ただ注意するだけでは、この映画のようにどんどんエスカレートしてしまう。お前のせいでオレが怒られたと言ってエスカレートしてしまうんです。恐ろしいですよね。これもう、虐めじゃなくて暴力ですから。犯罪なのに子供にはその認識が無いので、親や学校が教えるしかないと思うんです。
ノラは人見知りで学校に行くのを嫌がっていましたが、父親に連れられて我慢して通い始めます。きっと小学校1年生は、どの子も不安でこんな感じなんじゃないかな。幼稚園である程度お友達がいた子は良いけど、幼稚園に通っていなければ怖いと思います。でもノラは段々と周りに慣れて、お友達が出来ていきます。
そしてノラが学校に慣れてきたころ、段々と周りも見れるようになり、アベルが虐められているのを見つけるんです。最初は驚いて止めに入るのですが、アベルが”あっちへ行っていろ”とノラを遠ざけます。ノラまで虐められたら大変だと思ったのだと思います。そして虐められていることを言うなと言うんです。恥ずかしい気持ちもあったと思うけど、言ったらもっと虐めがエスカレートすると解っていたんじゃないかな。
ノラがアベルに、反撃しないから虐められるんだと言う場面があるのですが、反撃出来る子には虐めをしないんですよね。虐める方は本当に汚くて、自分に歯向かわない人間を虐めるんです。人間の本能って怖いよね。大人しくしていると、つけあがってやりたい放題するんです。ホント、気をつけないと。
アベルが虐められてお漏らしをしてしまう場面があり、その事をノラの友達たちが笑って、それともう一つ、ノラのお父さんがいつもお迎えに来るのですが「なんでパパが来るの?働いてないの?」とノラの友達が言うんです。ノラはパパが主夫をしているんだと言うと「働かないのは怠け者なんだ。」と言うんです。
これは親の教育だよね。多様性を受け入れられていない親に育てられているんだなと思いました。主夫で妻が働いていて養えるならそれでいいじゃないですか。凄くカッコいいことだと思うけど、まだ小学校1年生じゃ難しいのかな。それでノラが仲間外れにされていくんですよ。
ベルギーの映画なんですけど、まだ男尊女卑が強いのかしら。設定が少し昔なのかもしれません。今どきお迎えがお父さんって言ったら、家事に協力的な夫として羨ましがられますよ。もうそれが当たり前くらいになってないと、おかしいでしょ。だって夫の稼ぎだけじゃ家族全員が裕福に暮らしていくなんて難しい時代なんですから。
虐めはいけないことだけど、もう学校側も”虐め”というのではなく、暴力は犯罪だと教えていくべきだと思います。虐めというと少し遊びも含まれるようなニュアンスでしょ。今の虐めは暴力ですから犯罪なんです。そして言葉の暴力もそうでしょ。自分と異質なモノを受け入れずに仲間外れにしていく。それは差別であり、言葉の暴力です。子供は親を見て育つので、親の知識が広く無ければ偏った子供が出来てしまいます。もっと親が勉強すべきなんです。
そして最後の衝撃的なラストに繋がっていくのですが、これだけはネタバレ出来ないな。子供の気持ちになると、凄くこのラストが解るんです。辛い場面でした。このラストに虐めの本質が含まれているなと思いました。学校の中は恐ろしい密室です。教師がしっかりと見ていなければ恐ろしい犯罪も起きる場所なんです。
私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。日本の虐めだけでなく、ベルギーの虐め知って欲しいです。どの国でも、同じような虐めが起きている。他の国ではどのように対処しているのか。対処出来ていないのか。親の役割、学校の役割、それぞれが子供に対してどのように接していくべきなのかを考えさせてくれる映画だと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「Playground 校庭」