「アンデッド 愛しき者の不在」今までのゾンビ映画とは全く違う愛する人のゾンビ化を描いた作品です。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「アンデッド 愛しき者の不在」

 

を観ました。Fan’s Voiceさんの独占最速オンライン試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

現代のオスロ。息子を亡くしたばかりのアナとその父マーラー。ある日、墓地で何かを感じたマーラーは墓を掘り起こし孫の身体を家に連れて帰る。アナは生気を取り戻すが、還ってきた息子は瞬きや呼吸はするものの全く言葉を発しない。やがて、招かれざる訪問者が。同じ頃、別の家族にも悲劇と歓喜が訪れていた。

というお話です。

 

 

現代のオスロ。息子を亡くしたばかりのアナとその父マーラーは悲しみに暮れていた。ある日、突然に街の電気関係がおかしくなり一気に落ちるという現象が起こる。真っ暗になりしばらくして電気は点くが、そのせいで交通事故が起きたりと色々な現象が起こる。

墓地で何かの音を聞いたマーラーは墓を掘り起こし、棺桶から孫の身体を取り出して家に連れて帰る。乾いた孫の目に目薬をさし、浴室で身体を洗う。腐敗部分も取り除き、服を着せて生きているままにアナに逢わせようとしていた。



 

一方、別の場所でも不思議な現象が起きていた。交通事故に遭った女性が奇跡的に蘇生したのだが、まるで生きているとは言えない身体の状態なのだ。病院も困り果ててしまい説明のしようがない。また別の場所では、教会で葬儀を終えたはずの死者がふらふらと歩いて家に戻ってきたのだ。驚いたパートナーが生きていた頃と同じように接しようとするが、全く意思の疎通が出来ない。

アナは愛する息子と再会し生気を取り戻し、人目に付かない山荘で暮らし始めるが息子は瞬きは呼吸はするものの意思の疎通は出来ない。そんな山荘へ招かれざる訪問者が訪れて…。愛する人の生還に喜ぶ家族だが、彼らは明らかに生前とは違っていた。歓喜に沸いたものつかの間、悲劇が訪れる。後は、映画を観てくださいね。

 

 

原作・脚本が「ぼくのエリ」「ボーダー 二つの世界」のヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストさんです。2005年に発表した小説を映画化したものです。監督は長編映画デビューのテア・ヴィスタンダルさんです。

 

この映画、ゾンビが出てくる映画ではありますが、今までのゾンビ映画とは全く違うものです。ファンタジーホラーと言ったらよいのかしら。愛する人が帰ってくるのは嬉しい反面、死んだはずなのにという価値観が既に脳に刻まれているので、生前とは違う、何か怖さのようなものをそれぞれの人物が抱えながら関わっていくという姿が描かれていて、なーんとも不気味な雰囲気が漂う内容でした。

 

 

フランケンシュタインでもあるように、ある日、その町に大きな電力が流れ込んだんじゃないかな。電灯がピカピカして電波が乱れてという事が起きます。その電力のせいで死体が動き出してしまったのかなと思わせる現象が起きるんです。その事件の後、死んだと思われた人々が生き返り始めます。

 

分かりやすく言うと、電気ショックで心臓は動き出したけど脳死した状態みたいな感じかしら。そして身体も動き出してしまうんです。アナの息子も動いていますが意思の疎通は出来ません。アナはそれでも息子が可愛いですから、必死で息子を守りこっそりと生活を続けます。でも、段々とこれは自然の摂理に反しているということを感じ始めたんじゃないかな。

 

 

この映画、3つの家族が出てきまして、メインは息子を亡くしたアナとその父マーラーのお話です。その他に、電気の異変の時に交通事故を起こした妻エヴァを心配する夫ダヴィッドとその子供たちフローラとキアン。もう一つの家族が富裕層の老婦人トーラとその亡くなったパートナーであるエリーザベトです。この3つの家族の話が交互に入ってくるので、最初はあれ??と思いましたが、直ぐに解ってきます。

 

アナはシングルマザーで父親のマーラーと暮らしています。よくある家族の光景だったのだろうと思いますが、原因は解りませんが息子が亡くなってしまいます。喪失感に苛まれてアナは自殺未遂をし、父親が助けるという事が続いていたのだと思います。そんなアナに祖父が孫の遺体を掘り出してきます。最初は嬉しそうですが、段々とアナの表情が変わっていくんです。

 

 

人間って、やっぱり意思の疎通が出来てこそ関係が築けるのであって、それが無ければ関係は難しいんじゃないかな。だって、私の飼っている亀だって名前を呼ぶと振り向くんですよ。その意思の疎通があるからこそ愛が生まれるのであって、それが無かったら人形と同じなので、その愛情は生きている者とは違います。

 

そして交通事故で死んだエヴァは、病院のベッドで目を開けますが生きているとは思えない心拍数だし呼吸量なんです。ダヴィッドが妻の状態はと聞いても医師は答えようがないんです。だって死んでいるのに動いているんですから。子供たちも母親は恋しいけど何かおかしいと感じていて、母親が目を開けていることを喜んでいいのか分からないんです。そりゃ、そうですよね。子供たちは可哀相でした。

 

 

そして老婦人の家族です。この二人は同性のパートナーだったのかな。エリーザベトが亡くなり、その葬式を済ませたトーラは一人寂しく豪邸に戻ります。一人の豪邸は閑散としていて、これからどうするのかと思わせる雰囲気でしたが、ある時、家の中で物音がして行ってみると、そこのエリーザベトが立っているんです。埋葬される前に起きてきたんでしょう。そして2人は以前と同じように暮らし始めるんですが…。うーん、何とも言えない結末でした。この2人に関しては、ここで止めておきましょう。

 

どの家族も、一瞬、還ってきてくれたと喜ぶのですが、その後によく考えてみると摂理に反することだと理解し、どう対処したらよいのか分からなくなっていくんです。ゾンビ映画なら、はいっ、脳天かち割ってくださいってなるけど、家族だとそうは出来ないでしょ。それに法律的に死んだことになっているのか、生きているのか分からないですよね。

 

 

よくあるゾンビ映画なら、みんなで頭を撃ちまくるで楽しめるんだけど、そういう映画ではないので後味が悪いことになります。だって、どうにも出来ないんですもん。ま、私が思うに、この現象があって、数か月のちにいつものゾンビ映画のようになって行くんじゃないかなと思いますけどね。

 

私、ゾンビ映画を観ていつも思うんだけど、ゾンビって死体でしょ。ということは日が経つにつれて腐っていくんだよね。だから動けなくなっていくと思うんです。どこか乾燥した場所にじっとしていればミイラみたいになるだろうけど、通常の外気で動いていたら腐るでしょ。夏は1週間も持たないんじゃないかな。という事はゾンビがあんな風にうろうろと動いているってあり得ないよね。

 

 

この映画では、ちゃんと息子の死体は腐敗していたようなので、そこら辺はよく考えてあったと思います。そうそうゾンビに食事を与えようとする場面があって、あれ腐敗を早めるんじゃないかなぁと心配しちゃいました。水分を与えるなら頭からかけてあげるのが一番だよね。内臓にいれちゃうと中から腐っちゃう。色々と心配になってしまいました。普通はゾンビ映画でそんなこと考えないっつーの。皆さんは素直に観てくださいね。

 

今までのゾンビ映画とは違う、愛する人が死んで戻ってきたらという考えから、ゾンビとなった家族をどう扱うのかということを考えている映画です。恐ろしい怪物のゾンビという存在を、家族だった人と認識を変えた内容なので、観ていて面白かったです。今までとは違う面白さがありました。

 

 

私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。本当は2つ超を付けてもいいかなと思ったけど、やっぱり1つにしておきます。ウサギちゃんが可哀相だったのでその分マイナスです。動物には優しくしてね!凄く面白い映画です。これは沢山の賞を貰うだろうなというような内容でした。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「アンデッド 愛しき者の不在」