「バグダッド・カフェ 4Kレストア版」時代が変わっても良い作品は良い!今観ても新鮮な映画です。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「バグダッド・カフェ 4Kレストア版」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

ドイツから夫とともにアメリカ旅行に来たジャスミンは、夫婦ゲンカの末に1人で車を降り、モハーベ砂漠にあるモーテル兼カフェ「バグダッド・カフェ」にたどり着く。バグダッド・カフェには不機嫌な女主人ブレンダらが集い、いつも気だるいムードが漂っていた。

というお話です。

 

 

ドイツから夫とともにアメリカ旅行に来たジャスミン。ハリウッドなどを楽しみにしていたが、途中で夫婦ゲンカの末に1人で車を降りてしまう。モハーベ砂漠をとぼとぼと歩き、幹線道路沿いにあるモーテル兼カフェ「バグダッド・カフェ」にたどり着く。

 

オーナーのブレンダは家庭も仕事もうまくいかずいつも不機嫌。夫は壊れたコーヒーメーカーを買い替えに出かけていくも、何も買わずに帰ってくる。息子は勉強もせずにピアノを弾いている。娘は毎日違う男と遊びまわっている。ブレンダはこんな毎日に我慢が出来ず、いつもヒスを起こしている。

 

そこへ砂漠を歩いてきたジャスミンが宿泊しに訪ねてくる。持ち物は全て男物、勝手に掃除を始め店を手伝おうとする得体の知れぬ訪問者ヤスミン(ジャスミン)を不信に思い警察を呼ぶが、彼女のパスポートなどには何の問題も無い。朗らかなヤスミンはブレンダの娘や息子と仲良くなり、他の客とも交流を持ち始める。

 

 

カフェに集うのは、近くのトレーラーハウスに住む老画家ルディ、アンニュイなタトゥーイストのデビー、モーテルの隣にテントを張って住み着いているエリックなど個性的な面々。訪れるのも立ち去るのも自由、誰をも受け入れる場所、それが「バグダッド・カフェ」。

 

ヤスミンを信用していなかったブレンダだが、周囲の人々が明るくなり店が活気付いていく様子を見て、次第にブレンダはヤスミンを信頼していく。そしてお互いを認め合うほどかけがえのない友情で結ばれていく。店も大繁盛するようになり、順風満帆に思われたのだが…。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、1987年の作品なんですね。そんなに昔の映画なのに、今観ても、全然色褪せていない凄く面白い映画でした。私は、2010年に初めてDVDを借りてこの映画を観ました。大画面で観たいなぁと思っていたら、やっと4Kレストア版での劇場公開が決まり、やっと大画面で観ることが出来ました。

 

改めて観て、やっぱり面白くてよい作品だなと思いました。この映画って、セリフで説明する部分が少ないんですよね。ヤスミンが夫と喧嘩別れした部分もセリフは一切なくて、車からヤスミンが降りて、車が行ってしまうというだけで表しているんです。

 

そして砂漠を歩いているところで、ブレンダの夫の車が止まって乗せましょうかと聞くんだけど怖がって乗らないという部分も、ヤスミンが上流の生活をしてきていたという事を表しているし、言葉が通じないこともここで解るんですよ。重要な事はセリフでは言わないけど全部観ている方に伝わってくるんです。

 

 

ヤスミンが男物の服やグッズしか持っていなかったのもトランクを間違えて持ってきてしまったせいだと言うのも解るし、子供が”いないの”というセリフだけで、彼女が子供を持てなくて苦しんだ過去の思いがにじみ出ていて、こんなにも演技と映像だけで伝わるのだということに驚きました。

 

邦画って、多くの映画がセリフで説明する部分が凄く多いでしょ。若者向けは特にセリフで説明しているところばかりで、通常の会話でそんな事説明しないでしょっていう事が多いんです。漫画だとコマとコマの間を自分で想像するでしょ、でもコマとコマの間に説明を入れちゃっている感じなのよ。だから映画としてとても幼い気がするんです。

 

 

それがこの映画を観ると、観る側の人間に想像させる部分が多くて、凄く嬉しくなりました。これこそ単館系の映画という感じで大好きになりました。以前観た時も感動したんだけど、今回は大画面でより感動が大きくなったのかもしれません。ヤスミンも綺麗だったし、ブレンダもカッコ良かったし、風景も美しくて映像が良いですよね。

 

それにしても、ジャスミンが一人で車を降りた後、夫は一度は探しに来たけどその後探さなかったのかしら。コーヒーポットを置いていったのは一応砂漠だから水分を心配してのことだと思うけど、それだけでジャスミンはほったらかしなの?ジャスミンはカフェに滞在中に電話かなんかの連絡をしたのかしら。まったく探しに来ないことに驚きました。もちろん、帰って直ぐに離婚したんだと思うけど。だから時間がかかったんでしょ。

 

 

ヤスミンは旅行に来て、やっと自分が安心できる場所を見つけたんでしょうね。ドイツでの暮らしは解らないけど、夫の態度を見ると男尊女卑的な考え方をしているように見えたので、ヤスミンは妻として窮屈な日々を送っていたんじゃないかな。子供もできずに責められていたのかもしれない。カフェにいれば、自分が出来ることをしてあげれば感謝されるし、楽しいし、みんな家族として迎えてくれてしあわせだったと思うなぁ。

 

気になったのがコーヒーの淹れ方。ドイツは濃いコーヒーを飲むのにアメリカは薄いコーヒーなんだろうから、随分と味が違ったんでしょうね。その違いがドイツとアメリカの生活の違いというような気がしました。ドイツはきっちり固い生活だけど、アメリカは適当でカフェなのにコーヒーが出せなくても平気という、そんな風潮が、このコーヒーの濃さで描かれていたような気がします。

 

 

もう一つ気になったのがブレンダの夫。笑っちゃいました。ブレンダに役に立たないから出ていけと言われ、すごすごと車で出て行ったけど、双眼鏡で見れる場所からずーっと妻を心配してい見ているんです。ヤスミンの夫は一度探しに来ただけで二度と来なかったけど、ブレンダの夫はずーっと心配して観ているというのが、男性の違いかなと思いました。ヤスミンは別れてよかったよ。愛してくれる男性と一緒にいた方が良いよ。ハリウッドの絵描きさんだったルディはヤスミンにとって良い夫になりそうでした。

 

最後には、ホテルに住んでいるタトゥ師のデビーやカフェの敷地にテントを張って住んでいる青年、たくさんのトラッカーの方たちなどなど、楽しい人々がカフェに集っていて、ヤスミンとブレンダのショーを見ながらカフェで寛ぐという日々に変わり、バグダッド・カフェは人気のカフェになっていました。最初のカフェとはまるで変って、誰もが幸せそうでした。うーんこういう映画は良いなぁ。観ているこちらもしあわせになりました。

 

 

私はこの映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。こんなに時が経っても、こんなにも楽しめて幸せになる映画、珍しいでしょ。大画面で観れて良かった。再上映してくださってありがたいです。この映画、Blu-ray発売しないかなぁ。4Kで出してくれれば家でゆっくりと楽しめるんだけどなぁ。この映画、今の乾いた人々の心を豊かにしてくれると思いました。若い人たちにもぜひ観て欲しい。これは良い作品です。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「バグダッド・カフェ 4Kレストア版」