「ノーヴィス」自分に厳しいのは良いことだけど、程度を知らないと道を外れていってしまう。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「ノーヴィス」

 

を観ました。Fan’s Voiceさんの独占最速オンライン試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

大学女子ボート部に入部したアレックスは、ジョン・F・ケネディの「困難だからこそ、挑戦するのだ」という言葉を胸にトレーニングを重ねていく。上級生のケガによって空席になったレギュラーの座をめぐり、ジェイミーと熾烈な争いを繰り広げるアレックス。しかし、ジェイミーの画策によってその座は奪われる。アレックスの強すぎる執着心は、次第に狂気を帯びていく。

というお話です。

 

 

大学に入学し、女子ボート部に入部したアレックス。「困難だからこそ挑戦するのだ」というJ.F.ケネディの言葉を胸に、アレックスはボート部で完璧を目指して挑戦するつもりでしたが、もちろん学業も疎かにせず頑張るつもりです。物理の小テストでも周りの人より早く終わりながらも、再度最初から解き直して誰よりも最後に提出しました。完璧を目指しているからです。

 

ボート部では猛烈に練習に励み、スポーツ万能な同期のジェイミーにライバル心を燃やすアレックス。優秀な人間だけが受けられる朝練習に選ばれたアレックスは喜びますが、後からジェイミーともう一人が選ばれたが一人が辞退したため、代わりにアレックスが呼ばれたことが解り悔しくて頭に血が上ります。

 

 

ジェイミーと共に朝練に参加するアレックス。どんどん記録を伸ばしていきジェイミーと並べるようになって行きます。そんな時、上級生のケガでレギュラーの座がひとつ空きます。アレックスとジェイミーは、その座を巡って熾烈な争いが繰り広げます。

 

レギュラー入りで得られる奨学金がどうしても必要なジェイミーは画策に走り、選考レースでアレックスを出し抜きその座を奪取します。出し抜かれたアレックスは雪辱を果たそうとするが、その強すぎる執着心は次第に狂気を帯びていきます。怒涛のラスト8分間、激しい雨が降り、雷鳴轟く夜明け前、シングル艇に乗ったアレックスの暗くて熱い思いが炸裂する。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、凄く怖かったです。ベースはスポコン(スポーツ根性もの)なのですが、爽やかでもなく、温かくもなく、友情もありません。通常なら主人公に共感したりして、一緒になって頑張っちゃったりすると思うけど、私は今回の主人公には共感出来ず、観ていてしんどくなりました。何でそんなに?って思ってしまうんです。

 

最初、大学の教室から始まります。テストを受けているのですが、アレックスが終わって顔を上げるとまだ誰も終わっておらず必死で答案に書き込んでいます。すると見回したアレックスは答案用紙の最初に戻り、再度、最初から解き直すんです。最初は見直しているだけかと思ったらやり直しているんですよ。あり得ないでしょ。私なら簡単に見直してもうその部屋を出てしまうと思うけど、彼女は時間いっぱいまでやり直すんです。

 

 

この辺りからこの子ちょっと変だなぁと思い始め、ボート部に入ってからも人一倍練習をするんです。上手くなりたいのは解るけど、無理やりやっても身体を壊すだけだと思うけど、彼女は練習を止めないんです。まるで狂ったようにやり続けるんです。寝る間も惜しんで練習するんです。

 

大学に入って、初めてボート部に入ったんだからぼちぼち初めて教わって、ゆっくり強くなっていけばいいじゃないですか。大学中には必ず上手くなるし、プロを目指している訳では無いと思うんです。それでも完璧を目指す彼女は、いつもトップでないと我慢が出来ない。直ぐに上手くなりたいんです。

 

もちろん直ぐに上手くはならないし、ローイング(ボート競技)ですからオールを漕ぐ手がボロボロになっていきますよね。それでも隠しながら練習を続けるんです。そんな調子なので、周りの人間は引いてしまいライバルのジェイミーだけが話しかけます。

 

 

ジェイミーは奨学金を貰わなければ大学が続けられず、ボート部でレギュラーになれれば奨学金が受けれるということで入部してきたんです。スポーツ万能で何をやっても上手く、ローイングでも1年生の中では飛び抜けて上手かったのですが、アレックスが追いついてきて彼女のライバルとなるんです。

 

ジェイミーは何としてもレギュラーにならなければならず、ある画策をしてアレックスとの勝負に勝ち、レギュラーの座を手に入れます。そしてその時に、この競技は一人でやるのではないということを言います。確かにローイングは一人ではなくチーム戦ですよね。アレックスにはそれが解らないんです。

 

ここでジェイミーに負けたことでアレックスは”2番”となってしまい、自分が許せずに練習の仕方やボート部内でも態度が狂気じみていきます。よくスポコンものでも、ライバルがいて嫌がらせをしたり、悪口を言ったり、いじめをするじゃないですか。それを主人公のアレックスが周りにし始めるんですよ。主人公が悪役かいって言いたくなるような態度で練習をし始めるんです。

 

 

ホラー映画ではないのに、まるでメフィストフェレスが目の前に現れて命と引き換えに望むモノをくれるという契約にサインをしたかのように、狂ったようにローイングをして強くなっていくんです。周りがリラックスしてとか少し休んでとか、身体を気遣ってくれるのに全く耳を貸さずにやり続けるんです。

 

彼女の家庭環境とかは一切明かされず、どうしてこんな風にトップでいたいのかは解らないんです。途中でアレックスがレギュラーの奨学金目当てとかではないことは明かされますが、優秀でいなければいけないような境遇ではあるようでした。でも、アレックスは奨学金とかそういう目的ではなく、性格的に負けず嫌いで誰よりも勝ちたいという人なんだと思います。

 

 

途中でアレックスが付き合っている女性だったと思うけど、90点でも100点でもレベルはAだから完璧である必要はないと言うんだけど、アレックスにはそういう事じゃないんですよね。とにかく完璧でありたいらしいんです。誰が止めても彼女の気持ちは止められないようでした。

 

大学でそんな状態じゃ人生途中で挫折します。人生にはどうしてもままならないことだってあるし、自分だけが頑張ってもチームプレイもある訳だし、完璧だからと言って成功する訳でもない。その時々で柔軟な対応が必要だし、自分が折れなきゃいけないことだってある。このやり方を続けていたら精神的に病んでしまうと思いました。本当に恐ろしかったです。

 

ホラー映画じゃないのに、ゾッとする映画でした。主人公に全く共感が出来ず、ホラー映画の殺人鬼に匹敵するほどの狂気だなーと思いました。あ、もちろん人は殺さないし事件は起きませんよ。周りは良い人や普通の人ばかりです。アレックス自身が自分んを追い詰めていくんです。

 

 

私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。これは面白いと思いました。ジャンルで言うと「ブラックスワン」や「セッション」のような感じかしら。人が完璧を目指すとどうなるのか、この映画で確認してください。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ノーヴィス」