「愛に乱暴」教訓めいた深い内容でした。女って罪深いけど悲しい生き物ですよね。男が悪いんだよ! | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

 

「愛に乱暴」

 

を観てきました。今回は少しネタバレしています。全部はしませんが、少ししないと説明が出来ないんです。スミマセン。

 

ストーリーは、

初瀬桃子は夫・真守とともに、真守の実家の敷地内に建つ離れで暮らしている。義母・照子から受ける微量のストレスや夫の無関心を振り払うかのように、“丁寧な暮らし”に勤しんで日々を充実させていた。そんな中、ゴミ捨て場で不審火が相次いだり、桃子の日常が少しずつ乱れはじめる。

というお話です。

 

 

夫の実家の敷地内に建つ“はなれ”で暮らす桃子は、結婚して8年になる。義母から受ける微量のストレスや夫の無関心を振り払うように、センスのある装い、手の込んだ献立などいわゆる「丁寧な暮らし」に勤しみ毎日を充実させていた。

 

専業主婦だが週に1回、以前に勤めていた会社の関係で”無添加せっけん”の作り方を教えたりするセミナーを開いていた。好評をいただいているようでやりがいを感じており、もう少し回数を増やして、自分も仕事に復帰してみるのも良いかもしれないと考え始めていた。

 


 

ある日突然、夫にある人に会って欲しいと言われる。桃子は夫が浮気しているのは薄々気が付いていたが、相手に会うのはごめんだと思い断るが妊娠していると言われ、大きなショックを受けながらも仕方なく会う事に合意する。

 

そんな桃子の周囲で不穏な出来事が起こり始める。近隣のゴミ捨て場で相次ぐ不審火、愛猫の失踪、不気味な不倫アカウント。平穏だったはずの日常は一つ崩れ始めると次々と砂の城のように崩れ始める。追い詰められた桃子は、いつしか床下への異常な執着を募らせていく。そして…。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、私はとても考えさせられて感動しました。江口さんと風吹さんが上手くて、嫁と姑なんだけどこの関係がスゴイのよ。今回は少しネタバレさせていただかないと説明が出来ないし、感想も書けないので少しネタバレしています。でも、もちろんラストは明かしませんよ。最後はご自身で映画で確認してください。

 

この映画は吉田修一先生の小説が原作です。吉田先生の作品といえば「悪人」「横道世之介」「さよなら渓谷」「怒り」など、グッとくる問題作が多くて私はとても好きで小説も読んでいるのですが、この作品は読まずに観に行きました。

 

桃子という女性が主人公で、最初は真面目でキレイっぽくて、優しそうで、主婦として完璧っていうくらい仕事をしているんです。でもね、観ていると気が付いていくんだけど、いつも完璧に化粧をしているし、料理も栄養まで考えて凝った料理を作っていて、なんか観ていて疲れるんです。夫は家ではジャージという感じなんだけど、桃子はいつもきれいな恰好なの。自分の家なんだからリラックスすればいいのにね。

 

 

そんなだから夫も気が休まらないんじゃないかな。いつも完璧にこなしていて、計画的に話をされると疲れるでしょ。一緒に暮らしているんだから、ゆっくりすればいいし、手抜きもすればいいし、夫に気を許していない感じに見えちゃうのよね。だから夫も何となく他人行儀なんです。

 

隣に義母が住んでいて、優しい人なんだけどやっぱり嫁としては気を遣うでしょ。この映画は桃子目線で描かれているので、小さなことがいちいち気になったりするように描かれるんだけど、義母さんはいたって普通の人だと思いました。桃子が潔癖すぎたように思います。

 

 

細かいことが気になり始めると、本当に全て気になるようになっちゃいますよね。私も精神的に弱っているとそうなることがありますが、本から食材からリモコンまで、まっすぐに並んでいないと嫌だったりして、後から見ると自分が危なかったことに気が付くんです。気が付けばよいけど、どんどん追い詰められていくとそのまま突っ走るから本当にヤバいよね。桃子はそんな状況になって行くんです。

 

だからこのお話、ダメ夫で桃子が可哀そうっていうお話に思えるんだけど実は違うのよ。ダメな夫は確かなんですよ。浮気をして妊娠させて、離婚して欲しいと頼むんだから。でもね、桃子があまりにも完璧にしていて、リラックスする場所が無いようになっちゃっていたことも良くないと思いませんか?私が夫なら浮気する前に、家でゆっくり出来ないから離婚しようと言うと思うけどね。

 

 

これとは別に桃子は悲しいことを背負っているんです。内容は言えませんが、それによって床下を開けて掘ることになり、義母さんがそれを知ってある決断をすることになります。これは桃子の辛い気持ちが解ったから決断してくれたんだと思うんですよ。バカ夫でダメ息子だと解ったから、もう義母さんが桃子を助けるために決断してくれたんだと思いました。

 

桃子は本当は普通の女性です。綺麗にして完璧にしていたのは、きっと夫のためだったと思うんです。夫が一言でも”綺麗だよ”とか”美味しいよ”とか”いつもありがとう”と言ってくれて、もっとリラックスしようよって言ってくれたなら頑張らなくなったと思うんです。でも、いつまでも言ってくれないし桃子の話を聞いてくれないから、こんな事になったのだと思うんです。

 

 

不審火だって野良猫の事だって、心が健康なら冷静に見れたとおもうのに、それが出来ないほど気持ちが揺れていたので桃子には大きな不安になってしまったのだと思いました。そして不気味な不倫アカウントの件は内緒です。後半少し進んだくらいで、あれ?もしかして!と気が付くと思います。これは原作にあるらしいトリックなので、映画で観て確認してください。理解出来るとスッキリします。

 

うーん、この映画、私は凄く面白くてよく出来たお話だなと思いました。さすが吉田先生と思っちゃった。あ、でも、原作とはちょっと変えてあるのかな。どう変わっているのかは解りませんが、桃子と義母さんが表面的に仲良くしながらもじりじりと嫌なオーラをぶつけているのに、ある時に女という部分で繋がっているんだという部分を描いていて、それを江口さんと風吹さんが上手く演じてくださっているので、本当に楽しめました。感動しちゃいました。

 

 

いやぁ、でもね、結婚していると一言の声かけってしなくなるじゃないですか。食事を作ったら”おいしい”と言って欲しいし、何かしたら”ありがとう”と言って欲しいし、別に親切の押し売りをしているんじゃないけど、好きだからしているんだけど、当たり前と思われたくないですよね。だって当たり前じゃないんだもん。だから離婚したくなるよね。

 

そうそう夫の不倫相手は、そんなに悪い人ではなさそうに見えました。悪いのは夫だからね。小泉さん、このキツい役をよく演じてくれました。ブラックペアンの高階先生とは別人でしたわ。マジでクソ夫でした。私ならチェンソーで首切って床下に埋めとるかもしれんな。ハロウィンのジェイソンだね。あ、ジェイソンはチェンソーを持ったことが無かったんだった。(笑)

 

 

そんな事が描かれているお話でした。私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。でも、これ深い部分まで理解出来た人、少ないかもしれません。読み取るのが難しい部分もあると思います。とりあえず私の感想を読んでから観に行ってくださる方は、理解が出来るんじゃないかなぁと思って書いてみました。ネタバレは夫が不倫して離婚を切り出すという部分です。この部分はあらすじにも書いていないのでネタバレとなります。でも、ほかのネタバレ部分は書いていないので、楽しめて驚くと思います。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「愛に乱暴」