「チャイコフスキーの妻」依存したい妻と自由になりたい夫。どこまでもすれ違い、決別してしまう。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「チャイコフスキーの妻」

 

を観ました。を観ました。Fan’s Voiceさんの独占最速オンライン試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

女性の権利が著しく制限されていた19世紀後半の帝政ロシア。かねて同性愛者だという噂が絶えなかった作曲家チャイコフスキーは、世間体のため、熱烈な恋文を送ってくる地方貴族の娘アントニーナと結婚する。しかし女性に対して愛情を抱いたことのないチャイコフスキーの結婚生活はすぐに破綻し、愛する夫から拒絶されたアントニーナは孤独な日々のなかで次第に狂気に駆られていく。

というお話です。

 

 

アントニーナ・ミリウコワは、19世紀ロシアの地方の貴族階級に生まれました。美しく聡明な若い彼女は、望むものは何でも手に入れることができました。そんなが彼女は叔母の家に招待されていたピョートル・チャイコフスキーのピアノを聞き一目惚れをします。その時から彼女はピョートル・チャイコフスキーとの結婚を夢見るようになります。

 

アントニーナはチャイコフスキーが教えている音楽学校に入学し勉強をしながら、彼への熱烈な思いを伝え続けます。何度も手紙を書きプロポーズを続けた結果、チャイコフスキーも心を動かします。実は彼は同性愛者であり、この時代にそれは許されずカムフラージュの為に結婚に承諾したという裏もありました。チャイコフスキーは自分は随分と年上だし気難しいし、君の要求には答えられないことも多いがそれでも良いかと話し、アントニーナは何でも我慢しますと言って結婚することになります。

 

 

チャイコフスキーは話していた通り気難しく、アントニーナは同居人という以上の関係にはなれません。その上、彼女が持参金として持ってきた土地は売れず、直ぐにお金に困窮することになります。女性へ愛情を抱いた事が無いチャイコフスキーはアントニーナが目障りになっていき、一緒にいるだけで苦痛を感じるようになります。そして6週間後、我慢しきれずに彼は出て行ってしまいます。

 

離婚を望むチャイコフスキーですが、アントニーナは彼への愛を失っておらず、きっと彼は自分の元に帰って来る、私がいないと彼はダメなのだという強い思いを抱いており、離婚に応じません。彼を強く思うあまりアントニーナは段々と狂気に取り付かれていきます。そして…。後は、映画を観てくださいね。

 

 

チャイコフスキーの妻は悪妻だと言われてきたそうで、その悪妻を描いた映画です。この映画を観ると、悪妻というよりも自分本位で相手の気持ちを一切考えない人のように見えました。通常はあんなにも相手に嫌がられているのに、それでも私の元に帰って来ると言い張るって考えられませんが平気で言うんですよ。今の話聞いてましたか?って聞き返したくなる感じです。

 

アントニーナの側から見たチャイコフスキーとの結婚なので、チャイコフスキーがゲイを隠すために結婚して、直ぐに彼女を捨てたとなっていますが、これ反対の立場だったらこうすると思いますよ。だって、ストーカーまがいの女がずっと付きまとっていて、まぁ、カムフラージュなら彼女との結婚でも良いかと考えたんじゃないかな。その時はストーカーだけど大人しそうでしたからね。

 

 

彼は結婚する前に遠回しながらも”君に興味は無い”という事を伝えていますし、お金が無いから結婚は出来ないと言っているんです。アントニーナは持参金を持って行くし、興味が無くてもいいから結婚して欲しいというので結婚になる訳ですよ。アントニーナからすると、一緒にいれば愛情も湧いてくると思っていたのだと思います。

 

結婚式をし、新婚旅行に行ったまでは良かったのですが、チャイコフスキーはずっと彼女が一緒にいることに耐えられなくなり、とうとう出ていくんです。この気持ち、私は解るんですよねぇ。以前にも書いたと思いますが、子供の頃から人と同じようにやることがとても辛く感じる人間だったので、結婚して夫とずっと一緒にいると息苦しいんです。今の夫も私と同じ人種でして、それならという事で週末婚状態で暮らしています。

 

 

そんな事が、この映画の2人も出来ていたら良かったんだけど、アントニーナは夫にべったりしていたいタイプだったので無理でしょうね。なんでこんなに相手に依存するのかなと不思議でした。こういう女性って多いようですが、夫は夫、自分は自分、違う人間なので、一人で生きれるようにした上で一緒にいるというのが夫婦として長く続ける鉄則じゃないの?私には理解しがたい女性の心理でした。

 

まぁ、夫に依存しているというか”家の主人は一流企業で”とか”医者なので”と言って自分の名刺代わりに夫の経歴を言う方は今でもいますもんね。自分が何も出来ない人間だと言ってる事になるのに可哀相な人間だなと思います。自分は何をしていると言えないなら生きている意味が無い。SNSで自撮りを沢山アップしているでも良いし、猫を愛でているでも、沢山走っているでも、何でもいいんです。自分は何をしているのか。何が楽しいのかというのが無ければ意味が無いでしょ。人と比べても何の得にもなりません。

 

 

映画の話に戻って、アントニーナは私の夫はチャイコフスキーですといつまでも言ってしまうような女性でした。きっと、それは見栄ではなく彼女は彼の事を愛していたのだと思うんです。でもね、相手に拒否されたのですから愛しているのなら身を引くことが相手のためだと思うんだけどね。彼の妻であることにこだわったせいで離婚は受け入れず、いつまでも彼に嫌われることになってしまったアントニーナ。

 

途中から自分を裏切った憎い男という存在に変わっていき、それでも彼を求める心もあり、心がバラバラになってしまい精神的におかしくなってしまったようでした。チャイコフスキーの幻を見て喧嘩をしたり、写真を一緒に撮ったり、周りの人たちも手が付けられなかったんじゃないかな。この頃の女性は権利も無く、行動まで制限されていたそうなので、夫に捨てられた女性として見られて生きづらかったんじゃないかな。

 

 

悪女というのではなく、普通に生きたかったのに恋した相手が悪かった女性という印象でした。ストーカー気質にはちょっと引いたけどね。そんなに好きだったなら夫の同性愛にも寛容になって、もっと距離を取りながら生活をすれば良かったのにね。日本の平安時代みたいに、お妾さんのような存在として結婚していれば何の問題も無かったんじゃないの?

 

時々来て会話をするくらいの良い友達としてなら、好きな人のそばに入れたような気がします。求め過ぎるのは良くないですよ。相手に負担になりますからね。自分は自分、相手は相手、それぞれの人間性を大切にしないとね。

 

 

私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。女性のドロドロした部分を描きながらも、そうせずにはいられない女の悲しみみたいなものが描かれていました。私はチャイコフスキーは大変だっただろうなぁと同情してしまいましたが、アントニーナの気持ちを考えれば、好きな人と一緒にいたいという気持ちも解らないでは無いので難しいなと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「チャイコフスキーの妻」