「ソウルの春」1979年から1980年にかけて起こった独裁政権奪取のクーデターを描いています。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「ソウルの春」

 

を観ました。Fan’s Voiceさんの独占最速オンライン試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

1979年10月26日、独裁者と言われた韓国大統領が側近に暗殺され、民主化を期待する国民の声が高まるなか、暗殺事件の合同捜査本部長に就任したチョン・ドゥグァン保安司令官は新たな独裁者の座を狙い、陸軍内の秘密組織「ハナ会」の将校たちを率いて同年12月12日にクーデターを決行する。

というお話です。

 

 

1979年10月26日、独裁者とも言われた大韓民国大統領が自らの側近に暗殺された。国中に衝撃が走るとともに、民主化を期待する国民の声は日に日に高まってゆく。

暗殺事件の合同捜査本部長に就任したチョン・ドゥグァン保安司令官は、強引な捜査により罪無き人まで逮捕し拷問にかけていく。チョンの行動に危機感を感じた陸軍参謀総長は彼を遠方に左遷しようとするが、それに気づいたチョンは陸軍内の秘密組織“ハナ会”の将校たちを率い、新たな独裁者として君臨すべく、同年12月12日にクーデターを決行する。



 

一方、高潔な軍人として知られる首都警備司令官イ・テシンは、部下の中にハナ会のメンバーが潜む圧倒的不利な状況の中、自らの軍人としての信念に基づき“反逆者”チョン・ドゥグァンの暴走を食い止めるべく立ち上がる。

首都を守るために必死でクーデターを止めようと動くイ・テシンを横目に、軍の上層部は自分だけは助かりたい一心で話し合いを求めたり、逃げることを優先しようとする。チョン・ドゥグァンはその混乱に付け込み、一気に攻め込んでクーデターを有利に進めようとする。イ・テシンは首都を守ることが出来るのか。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、衝撃的でした。私、あまり韓国は好きではないし興味も無いので歴史を知らないのですが、この映画で韓国が極最近まで独裁政権に関わっていた人が政治を動かしており、民主化といいながらも酷い規制がかかっていたことを知りました。だから、今でもその時代の教育を受けてきた人々が多いので、反日を掲げる人が多いんですね。民主化と言いながらも国が規制をかけていたのだから国民が成長していないのは仕方ありません。

 

ここ近年で随分と政治家も変わり、軍事政権下に関わった人が減ったようで、映画も自由に作れるようになり、良い作品が造られるようになったのだなと思いました。抑圧されていると、その分、才能が爆発しますもんね。今、韓国映画に勢いがあるのはそのおかげなのかな。良い作品が多いですもんね。

 

そんな軍事政権の最後のクーデターで大統領まで上り詰めて、その後の政治に影響を与え続けた全斗煥をモデルにしたチョン・ドゥグァンという軍人が私利私欲の為にクーデターを起こして独裁者となるまでが描かれています。というか、ソウルの春というのは韓国の歴史的な事件で、この映画では名前を変えてありますが、韓国の方には誰が誰のモデルになっているかというのは全て解るだろうし、歴史なのでどうなって今の韓国になったのかという事が描かれているんです。

 

 

この全斗煥とその仲間の盧泰愚の独裁政治が1980年頃から26年間続いたというので2006年頃までだったのかな。本当につい最近ですよね。独裁政権から離れてまだ18年くらいですから、ちょっと怖いなと思いました。自由になれて良かっただろうけど、まだ完全ではないですよね。韓国はエンタメが凄くてドラマなども大人気だけど、国策でやっているのなら予算もあるので人気になりますよ。

 

この映画は実際の事件を元に描かれていますが、一応フィクションとして作られています。映画では、独裁政治を続けていた大統領が暗殺され、その気に乗じて軍のチョン・ドゥグァンがクーデターを起こすのですが、最初はそんな大事にするつもりはなく、ムカつく上司を暗殺の関係者として失脚させようとするだけなんです。大統領に逮捕するという書類にサインを貰えば、それで帰るつもりだったんですよ。でも、そう簡単にはいきませんでした。

 

 

大統領は暗殺された後に臨時で勤めている人物で、形式どおりでないとサインをしません。なので他の将軍のサインを貰ってこいというんです。でもでっち上げで逮捕という書類なのでサインなんて貰えないんです。そこで強硬手段に出ていくんです。というか、バレてしまい後に引けなくなって、クーデターになってしまうという事なんです。

 

しっかりと計画されたように進んだわけではないので、こんな行き当たりばったりで成功しちゃったのかと思うような展開でした。このチョン・ドゥグァンという人物と彼と敵対して首都を守ろうとするイ・テシンという人物は頭が良くて、行き当たりばったりでも対応して軍を動かしていくんです。イ・テシンにもモデルの人がいるので、これほどの攻防は無かったかもしれませんが、それなりの戦いをしたんだろうと思います。凄いですよね。

 

 

このクーデターの後に独裁政権を始めて光州事件などが起きることになります。光州事件は有名ですよね。軍が国民に向けて銃を撃つという事件で、いまでも韓国はあまり話題にして欲しくないようですが光州事件は映画化もされています。そんな残酷な事をする政権なので、クーデターが成功したあと、このイ・テシンのモデルとなった方や軍の上部の方々は逮捕され拷問とか受けたようでした。

 

映画はクーデターを起こして終わるまでの2日間に渡る数時間を描いています。なので、ずっと緊迫した状況の中で指令を下すチョン・ドゥグァンとイ・テシンの一騎討ちのようにも見えました。うーん、面白かったです。動きを詳細に描くので、第2部隊はこちら第5部隊はこちらというように、映像の場所は飛ぶのですが、全てが繋がっていて、どこで交戦になるのか、どちらが先手を打ってくるのかなど、良く描かれていたと思います。

 

 

韓国は凄い歴史があるんですね。そして北朝鮮とも休戦状態なので、内戦をしているとそれに乗じて北朝鮮が攻めてくるのではという恐怖もかぶさって、この時代に軍に関わっていた方々は大変だっただろうなぁと思いました。”前門の虎後門の狼”という状況になっていると軍は思っていたようですが、この時、北朝鮮は全く動きが無かったようです。ちょっとだけアメリカの諜報機関が出てくるのですが、彼らの情報では北朝鮮は動かないとなっていたようです。

 

知らない事が多かったので色々と驚きました。光州事件は知っていたけど、こんなに近年まで軍の統制下で独裁政権下にあったという事に驚きました。映画の後にアフタートークで奧薗秀樹先生(静岡県立大学国際関係学部教授)がお話をしてくださいまして、先生のお話で韓国の事がよく解りました。とても解りやすくお話をしてくださってありがたかったです。

 

 

この映画、超!お薦めしたいと思います。韓国の事を知った気になっていたら自分が全く知らなかったという事に気が付きました。こんな凄い事件があって光州事件につながり、民主化に動いてきたという事が解ります。迫力のある描き方に満足したし、チョン・ウソンさんがカッコ良かったです。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ソウルの春」