「ポトフ 美食家と料理人」
を観ました。Fan’s Voiceさんの、独占最速オンライン試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
19世紀末、フランスの片田舎。「食」を追求し芸術にまで高めた美食家ドダンと、彼が閃いたメニューを完璧に再現する天才料理人ウージェニー。ある日、ユーラシア皇太子から晩餐会に招かれたドダンは、ただ豪華なだけの料理にうんざりする。最もシンプルな料理・ポトフで皇太子をもてなすことを決めるドダンだったが、そんな矢先、ウージェニーが倒れてしまう。
というお話です。
19世紀末、フランスの片田舎。〈食〉を追求し芸術にまで高めた美食家ドダンと、彼が閃いたメニューを完璧に再現する料理人ウージェニー。二人が生み出した極上の料理は人々を驚かせ、類まれなる才能への熱狂はヨーロッパ各国にまで広がっていた。
助手のヴィオレットが、姪っ子のポーリーヌを連れてくる。ドダンとウージェニーの仕事を見ていたポーリーヌに、試しに料理を食べさせてみると、類い稀な舌を持っており、料理の素材を当てていく。この子は素質があると思ったウージェニーは、ポーリーヌの両親に、修行に来させないかと相談をする。
ある時、ユーラシア皇太子から晩餐会に招待されたドダン。普段なら受けないが、以前からオファーを貰っており、今回は受けることにする。しかし、あちらが提示してきたメニューは、豪華なだけで、論理もテーマもない大量の料理でうんざりする。
〈食〉の真髄を示すべく、最もシンプルな料理〈ポトフ〉で皇太子をもてなすとウージェニーに打ち明けるドダン。準備を始める最中、ウージェニーが倒れてしまう。彼女を愛しているドダンは、今までに何度もプロポーズをしているが、再度、彼女にプロポーズをし、彼女の為に出来ることを考えます。
そして、ドダンは人生初の挑戦として、すべて自分の手で作る渾身の料理で、愛するウージェニーを元気づけようと決意する。後は、映画を観てくださいね。
素敵な映画でした。トラン・アン・ユン監督作品の中では、解りやすい作品かなと思います。19世紀末、まだまだ、女性の地位が低かった時代です。そんな時でも、この料理人のウージェニーは、自立をしていて、自分というモノを持っていました。ドダンの考える料理を再現出来るのは自分だというプライドを持っていたのだと思います。
だから、ドダンに何度もプロポーズをされても、結婚しなかったんじゃないかな。ドダンを愛していたと思いますが、どうしても彼のモノにはなりたくなかった。この時代、妻は夫のモノでしたからね。ウージェニーは、ドダンと対等に、料理の場で立っていたかったのだと思います。彼の世話をする”妻”ではなく、”同志”として戦いたかったんじゃないかな。
そんなウージェニーですが、身体の具合が悪そうでした。この時代ですから、病気も解らなかっただろうし、ガンか何かだったんじゃないかな。体力がどんどん落ちていく様子が描かれていました。料理って、あまり気付かないと思うけど、凄いハードワークなんですよね。重いものを持つし、腕は動かすし、時間との戦いでしょ。素材は待ってくれませんから。なので、料理をした後の疲労は、並大抵のものではないんです。そんな苦労も描いていました。
ドダンは、彼女のそんな様子を心配しつつも、ユーラシア皇太子に招待されたり、仲間の美食家との研究もあり、忙しそうでした。料理が沢山出てくるのですが、どれも、美味しそうで、見た目も美しいんです。料理って、味だけじゃなくて、見た目もありますもんね。なんと、あのミシュランで三ツ星を取ったことがある、ピエール・ガニェールさんが、料理監修として入っています。と言っても、私は知らなかったんですけどね。(笑)
自分の仕事もあるけど、愛する人を失くすのは耐えられないと思ったドダンは、自分自身で、料理をし始めるんです。彼女の為に、彼女に食べて貰うために。愛の深さに感動しました。どう考えても、目の前の彼女はとても弱っているんだけど、自分に出来ることを必死でやっているという姿が、涙を誘いました。
この時代に、男性が女性の為に料理を作るというのは、珍しかったと思います。料理を考えるのは男性だけど、労働をするのは女性と決まっていた時代ですから。女性の地位が、低かったという事を、よく描いていたと思います。表に出るのは男性で、裏の労働は女性ということですよね。そんな時代でも、ウージェニーという女性は、誰よりも才能があり、光り輝いていて、ドダンも逆らえなかったんじゃないかな。
そんなウージェニーを、ジュリエット・ビノシュさんが演じていて、素敵でした。彼女だからこそオーラがあって、誰もが認める料理人として見えたのだと思います。ホント、お綺麗ですよね。
映画としては、料理を考案し、作る作業が多いので、ゆったりした感覚がありました。料理たちがメインの場面もあり、ストーリーや演技も良いのですが、料理を楽しんで観ることもよいと思います。肉料理も魚料理も、本当に美味しそうでした。ヒラメの香草焼きが美味しそうだったなぁ。ポトフも良かったし、アイスクリームのメレンゲ包も美味しそうだったし、スペアリブも美味しそうだった。ああー、どれを見ても、美味しそうで、食事後に観たのに、お腹が、また空いてしまいました。
そうそう、料理の才能がある少女が出て来て、きっと、彼女がドダンの助けになってくれるんだろうな、という予感を感じさせてくれました。とっても料理を美味しそうに食べていて、良かったですよ。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。私は、気に入りました。もう一つ、超!を付けたかったんだけど、もう少し、短くして欲しかったかなという気持ちがあり、減らしてしまいました。でも、映画としては、素晴らしいと思います。この時代から、才能のある女性は、一人で立つ気持ちを持っていたんだと思い、勇気を貰いました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ポトフ 美食家と料理人」