「コーポ・ア・コーポ」
を観てきました。
ストーリーは、
大阪の下町にある「コーポ」には、家族のしがらみから逃げてきた辰巳ユリ、女性に貢がせて生計を立てている中条紘、日雇い労働者の石田鉄平、怪しげな商売を営んでいる初老の宮地友三ら、さまざまな人たちが暮らしている。ある日、同じくコーポの住人である山口が首を吊っているのを宮地が発見する。人の死を目の当たりにした住人たちは、それぞれの人生を思い返していく。
というお話です。
大阪。スカジャン姿で自転車に乗る辰巳ユリが、とある安アパートへと帰ってくる。そこは、住民たちがゆる~くつながりながら暮らす「コーポ」。お湯もでなけりゃ、風呂もなし。だが、個性豊かな住人同志が顔を合わせるたびに、何かと声を掛け合っている。
宮地友三が、「管理人さんが家賃回収に来よるで~」「取り立てやで~」とみんなに声を駆けて回ると、すかさず住人たちが外へ飛び出して行く。ある部屋の戸を叩き、返事がないので覗いてみると、「あぁ…」と呆然とし、外で猫を抱いて寝ていたユリを見つけてこう告げる。「ユリちゃん、山口さん死によった」。
首吊り自殺を図った山口をみんなで引っ張り下ろし、警察へと連絡する一方、冷蔵庫や電子レンジなどを拾ってきた無数の家電で埋め尽くされた山口の部屋から、欲しいものを見繕う。冷蔵庫のきゅうりを宮地がみんなで分け合うと、石田鉄平が「山口さん、首括る前の日、オレんとこに金借りに来たけど、断ってしもた」と言い出した。「オレがなんぼかでも貸しとったら、山口さん、死なんで済んだやろか」と悲嘆に暮れる石田に、「まぁ、そんな気ぃ落としなや、石田くん」「そうやで」「そうだよ」と宮地とユリ、スーツ姿の中条紘が声をかけるなか、恵美子がふらりとやってきて、「石田くん、マイセンとわかば交換しよう」と、タバコの交換を持ち掛ける。どうやら、生前の山口が借金を頼んで断っていたのは、石田だけではなかった様子だ。
ある日、山口が収集した家電をバザーで売り払おうとしていた矢先、彼の息子が遺品を引き取りに来る。一致団結しながらなんとかその場を取り繕い、家電をトラックに詰め込む住人たち。山口の息子が置いていった「心付け」で寿司を取り、コーポの玄関先で宴会が始まる。「ぼちぼち生きてたら、ええこともあるんや」。愛おしい日々が、今日も明け暮れる。 後は、映画を観てくださいね。
この映画、何ていうのかな、ゆるーいけど、だるーい感じがして、でも、そんな空気の中に、少しづつ温かい風を感じていくという、そんな映画でした。住人のそれぞれの話がオムニバス的に流れていくのですが、亡くなった山口さんで始まり、山口さんの息子さんからの心付けで終わるという、まぁ、人生、そういうこともあるよねって感じの映画でした。
まず、ユリちゃん。若い女性でフリーターなのですが、どーも、家族はいるんだけど、家を出て一人で暮らしているらしいんです。祖母と暮らしていたらしいけど、祖母を一人で置いて出てきたようで、母親に怒られていました。
ユリと母親の間には、何か確執があるようで、ユリは母親の前に出ると、あまり話が出来ないようでした。でも、本当は母親の愛が欲しかったんじゃないかな。お母さんは水商売で生計を立てていますが、悪い人ではないんです。荒っぽいけど、子供の事を思っている人だろうなと感じました。雰囲気からすると、ユリの弟の方を可愛がっていたのかな。でも、ベタベタする感じでもなく、私には良い親子に見えたけど。
何があったのか解らないけど、どーも母と娘は上手く行っておらず、バラバラに暮らすことになったようだけど、でも、お互いに思い合っているんだろうなという気持ちは伝わってきました。別に、家族だからって、いつも一緒にいる必要は無いし、それぞれが自分の生き方をすれば良いんですよね。
女性に貢がせている中条は、あまり掴みどころの無い、不思議な男性でした。昔ばなしをするんだけど、それが真実か嘘か解らないし、まぁ、昔でいう”ジゴロ”ってヤツなのかしら。今どきでもいるんですねぇ。アランドロンの時代の話かと思ってたけど。まぁ、ホストみたいなもんか。
中条の表情は寂しそうで、昔、何かあったんだろうなとは思うけど、だからって、働かないで、女にたかっているのはダメダメですよねぇ。あまり好感の持てない人物でした。
職人として働く石田くんは、頑張っている青年でしたよ。過去に色々とあったんだろうけど、今は頑張って働いているんだから、良いと思います。日雇いで、ちゃんと毎日雇ってくれるんだから、就職しちゃえばいいのに。勤勉な労働者なら、建築現場もありがたいから頼みたいと思いますよ。
石田くんは、ちょっと恋愛の気配もあるんだけど、彼は自分の評価が低いのかな。彼女と俺は、世界が違うからと思ってしまい、近づこうとしないんです。君は、自分の価値に気付いた方が良いよ。このアパートに住んでいても、君はとっても素直で真面目な男の子です。私、このコーポに住んでいる人の中で、一番石田君が好きかなぁ。
宮地さんは、不思議な人でした。過去は全く解らないけど、彼も色々とあったんだろうなぁ。アパートの1室を使って、ストリップを見せて、小銭を稼いでいるという人なんです。そこでストリップをしていた女性は、どこからか流れ着いてきた人で、訳アリでした。詳しくは映画を観て欲しいです。
色々な人が集まっているコーポ・ア・コーポ。大家さんは大変だろうなぁ。だって、家賃回収に行くと、みんな逃げるだなんて、困っちゃうよね。そうそう、不思議な住人がいて、いつもタバコを交換しようと言ってくるんです。何でなのかなぁ。交換したいなら、他のタバコを買えばいいのにね。あれは友好を表現する手立てなのかしら。今どき、タバコを吸う人が珍しいくらいなのにね。
そんな不思議なコーポの日常を描いた映画でした。これ、ショートストーリーで、連続ドラマにすれば良かったのに。猫も出て来てたし、ほのぼのして良いドラマになりそうだけど。映画だと、話がぶつぶつしているので、ちょっと残念でした。主軸の話が1本でも通っていれば良いんだけど、コーポ・ア・コーポという場所繋がりだけなので、ちょっとまとまりが無かったかな。
あ、でも、自殺した山口さんで繋がっているのか。うんうん、繋がっていたけど、ちょっと薄かったかな。面白い映画なんですけど、人に薦めて良いかと考えると、好き嫌いが分かれそうなので、誰にでもという訳にはいかなさそうかな。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。でも、上に書いたように、好き嫌いが分かれそうな映画でした。私は、ゆるーく観れて、途中でウトウトしても問題無いような映画なので、好きでしたが、ガッと集中して観たい方には、物足りないかもしれません。原作が有名らしいので、もし、好きな方がいらしたら、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「コーポ・ア・コーポ」