「エリザベート 1878」
を観てきました。シネマカフェさん @cinema_cafe のご招待で試写会に参加させていただきました。
ストーリーは、
1877年のクリスマスイブに40歳の誕生日を迎えたエリザベート。世間のイメージを維持するために奮闘しながらも、形式的な公務に窮屈さを感じていた。人生に対する情熱や知識への渇望、若き日のような刺激を求める彼女は、イングランドやバイエルンを旅して旧友や元恋人を訪ねる中で、イメージを打ち破ってプライドを取り戻すべく、ある計画を思いつく。
というお話です。
バイエルン王国、ミュンヘンで、ヴィッテルスバッハ家傍系のバイエルン公マクシミリアンと王女ルドヴィカの次女として生まれたエリザベート。
16歳でオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフに見初められ結婚する。ヨーロッパ宮廷一の美貌と謳われたオーストリア皇妃エリザベートとなったが、自由奔放な性格は、ヨーロッパ随一の伝統と格式を誇るハプスブルク王朝のウィーン宮廷での生活と合わず、次第にウィーンを離れて流浪の旅を繰り返すようになる。
1877年のクリスマス・イヴに40歳の誕生日を迎えた彼女は、コルセットをきつく締め、世間のイメージを維持するために奮闘していたが、厳格で形式的な公務にますます窮屈さを覚えていく。この時代、一般女性の平均寿命は40歳くらいであり、その年齢に達していたエリザベートは、美貌や体形を維持するのに困窮していたのだ。
人生に対する情熱や知識への渇望、若き日々のような刺激を求めて、イングランドやバイエルンを旅し、かつての恋人や古い友人を訪ねる中、誇張された自身のイメージに反抗し、プライドを取り戻すために思いついたある計画とは。後は、映画を観てくださいね。
この映画、凄かった。とても考えさせられました。エリザベートは40歳、まだまだ若いじゃんと思うけど、この時代は、平民の平均寿命が40歳と言われている時代。子供も産める年齢ではないし、既に老人と呼ばれても仕方が無い年齢なんです。
そんな時代に、絶世の美女と呼ばれていたエリザベートが、年を取って、どんな気持ちになるのか。ただでさえ、宮廷に合わないからと言って、いつも旅行に出ていたような人物です。そんな彼女が、宮廷の行事に出ては、”最近、太ったのでは?”とか、”髪の色が。”とか、噂をされて、気にならない訳がありません。
40歳ともなれば、今までのように若さでは乗り切れません。毎日、ジムで身体を鍛え、食事を抜いて、コルセットで締め付けて、身長172cm、体重は50kg、ウエスト50cm弱と、いうスタイルを保ち続けているんです。凄い努力だと思いました。今の時代で言えば、60歳くらいの感じなのかしら。それで、このスタイルですから、素晴らしいですよ。
でも、皇后のイメージを崩さないために必死で体形と美貌を維持しながら、もう、全て辞めてしまいたい、逃げてしまいたいという願望が、彼女の中にあったのだと思います。元々、奔放な方なので、こんなイメージに縛り付けられて、美味しいモノも食べられず、甘いモノも禁止なんて、耐えられませんよね。
彼女の中で、皇后としてのプライドと、自分の気持ちに正直に生きるというプライド、どちらも大切で捨てられずに、葛藤している姿が描かれていました。
凄く解るんです。美味しいモノも食べたいけど、太ってお腹が出て醜い体形になんてなりたくないという、やっぱりプライドがあるんです。私もそうだけど、ルッキズムとか、そんな事は関係無いの。自分自身が、醜い体形に嫌悪感があり、どうしてもそうなりたくないという気持ちがあるんです。だから、周りがどう見ようと関係無く、自分が美しいという自分でありたいという、ただそれだけのプライドなんです。
なんだけど、エリザベートが見栄えを美しく保つと、皇后として良く見られてしまい、結局、皇室の宣伝になってしまう。自分は皇室を出たいのに、縛り付けられてしまうということが起こり、どうしようもなくなっていくんです。これはしんどいだろうなと思いました。
まぁ、誰でも、男性でも女性でも、何歳になっても、美しく保ちたいという気持ちはありますよね。年をとってもカッコ良くありたいし、出来れば自分に妥協はしたくない。だから、エリザベートが、身体を鍛えて、馬に乗って、という行動が、凄い努力だなと思いました。乗馬って、身体全体の筋肉を使うから、身体が締まるんですよね。
もう嫌だと言いながら、そうやって毎日、身体を美しく保ってしまう。そんな自分に嫌気がさしてきて、あることを思いつくんです。この映画では、医者が、エリザベートの精神的な抑圧を緩和させるためにと言って、コカインを打ちなさいというんです。この頃、コカインは開発されたところだったみたいで、何の副作用も無く、気持ち良くなるからと言っていました。酷い話でしょ。で、あることを思いついてしまうんです。
ミュージカルでも描かれているけど、エリザベートは、この頃からどんどん”死”に取りつかれていくんです。元々、その願望はあったとは思うけど、それでも、夫や愛人、友人など、自分を愛してくれる人を探しているんです。もし、そこで、ちゃんとエリザベートを受け止めて、愛していると言ってあげていれば、もしかしたら、”死”に取り込まれることは無かったのかもしれません。でも、誰もが、エリザベートの美しさだけを見て、彼女の本当の姿を見ようとはしてくれなかったんです。
母親としては、酷い母親だなと思いました。自分が愛されることばかり追っていて、自分が愛することをしていないんです。自分勝手で、表面的に子供を愛している感じかしら。子供はペットじゃないし、それぞれに意志もあるんです。子供が懐かないような事を言っているけど、そりゃ、自分が愛さなきゃ子供は離れていきます。そこら辺は、子供は鋭いですからね。甘いんです。
この映画、きっと、誰が観ても、共感する部分があると思うんです。美しくありたい、若くありたい、痩せていたいという気持ちがあって、アンチエイジングや、ダイエットをするでしょ。色々な化粧品を試して、美顔器なんかも試したり、ダイエット用のサプリを買ってみたり。でも、全て止めて、好きな時に食べて、好きな時に寝たいという気持ちもあるじゃないですか。
エリザベートは、どんなに逃げても、皇后という椅子からは降りられないと解っていたので、この映画では、ある作戦を決行するんです。なので、実話とは少し違っています。実話では、エリザベートは60歳まで生きて、テロリストに刺殺されるんです。でも、この映画では違いますよ。どんな結末になるか、楽しみにしてください。また、新しいエリザベートが観れると思います。
最後に、衣装や装飾、他、美術にとても気を使っていました。衣装などに興味のある方は必見です。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。ヨーロッパの歴史映画なので、ちょっと爽快さは無くて、時間的にブツブツと切れて繋がっていく感じなのですが、全体を最後に考えると40歳の1年間で、凄い決断に辿り着くんです。面白いですよ。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「エリザベート 1978」