「少女は卒業しない」
を観ました。
Fan’s Voiceさんの、独占最速オンライン試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
廃校を控え、校舎の取り壊しが決まっている高校。進学のため上京するバスケ部長・後藤由貴は、地元に残る恋人・寺田との関係が気まずくなっていた。軽音楽部長の神田杏子は、幼なじみの森崎に思いを寄せている。クラスになじめず図書室に通う作田詩織は、図書室の管理をする坂口先生に淡い恋心を抱いている。そして卒業生代表の答辞を務める山城まなみは、ある思いを恋人に伝えられずにいた。
というお話です。
廃校が決まり、校舎の取り壊しを目前に控えたとある地方高校、“最後の卒業式”までの2日間。
別れの匂いに満ちた校舎で、世界のすべてだった“恋”にさよならを告げようとする4人の少女たち。抗うことのできない別れを受け入れ、それぞれが秘めた想いを形にする。
ある少女は進路の違いで離れ離れになる彼氏に。彼の事は好きだが、自分の未来を考えると、どうしても都会に出て行く選択をしてしまった。自分の選択は正しいのか、今も悩んでしまう。そして。
ある少女は中学から片思いの同級生に。軽音部の部長という立場もあり、どうしても自分の思いを伝えられない。素直になれないのだ。そして。
ある少女は密かに想いを寄せる先生に。口下手でクラスに馴染めず、友達も出来なかった。唯一、図書室の先生にだけ話しが出来たのだ。そして。
しかし、卒業生代表の答辞を担当するまなみは、どうしても伝えられない彼への“想い”を抱えていた。いつも傍にいる彼氏だけど、心に秘めた思いは伝えられない。そのジレンマに、まなみは戸惑っていた。
そして卒業の日。それぞれの思いを廃校となる校舎に少女の殻を脱ぎ捨て、大人へと変わって行く。 後は、映画を観てくださいね。
うーん、観ていて、浅井リョウ先生の小説だなぁと思いました。脚本で随分変えてあると、監督がおっしゃっていましたが、浅井先生の空気がそのまま映画になっていたような気がします。私は気に入りました。
今日は卒業式の予行練習で、明日は卒業式という朝。元気よく、学校に登校する学生たち。それぞれが、卒業の嬉しさと、寂しさと、これからの未来への不安を抱いているようでした。でも、もう卒業式は明日。そこまで来ているんです。それぞれの複雑な気持ちが、2日間で起きる出来事によって、浮き彫りにされていきます。
4人の少女の出来事は、オムニバス的に描かれていき、みんな、同じ学校の生徒で卒業生だけど、物語が繋がってはいません。それぞれが、それぞれの物語を語って行きます。でもね、そういうもんだと思うんです。同じ学校に行っていても、別に、みんなの名前を知っている訳ではないし、同じクラスじゃなきゃ、話した事もない人がたくさんいるでしょ。物語が繋がることはないですよね。
まず最初は、付き合っている彼氏と卒業して離れ離れになる由貴。由貴は都会の大学に行くと決めて、この町を出るんです。彼氏は、この町の近くの大学に行く予定で、この町でも同じ勉強が出来るのにと思って、由貴に少し怒っているんです。
でもね、私は、一度は故郷から離れて外の世界を知るべきだと思います。それは、男性でも女性でもです。知らない事って本当に多いから、由貴はよく決断したなと思いました。私は、ずーっと同じ地域に暮らしているので、こんな年になっても、まだまだ知らないことが多くて恥ずかしいです。若い頃に経験出来るなら、その方が良いと思いますよ。
次に、中学からの片想いの彼に想いを伝えられない杏子。この子は、とても真面目な性格で、頼られる先輩としての自分を崩せないんです。だから、自分をさらけ出して告白することが出来なくて、いじらしいなと思いました。お節介オバさんが登場してあげたいわって思っちゃうほどでした。でも、この2人は、もしかしたらこの後、何か起こるかもしれないなと、ちょっと思いました。
杏子の想い人・剛士を佐藤緋美さんが演じていて、歌をアカペラで歌う場面があるのですが、ごっつ上手かったです。素敵でした。こんな彼氏なら、早くツバ付けとかないと、誰かに取られちゃうわね。離れちゃう前に、ちゃんと告白した方が良いのになぁって思っちゃった。
次に、クラスに馴染めず、友達が全く出来なかった詩織。口下手で、おっとりしている彼女は、高校で全く友達が出来ませんでした。図書室に行って、現代文の教師で図書室の管理をしている坂口先生にだけは、何とか話しをすることが出来たので、図書室に入り浸っていたんです。最後の最後で、先生にどうやったら友達が出来るのかと聞き、教わった通りにしてみますが、あまり上手く行かずでした。
うーん、そんなに友達が欲しいとか、こだわる必要は無かったんじゃないのかな。自分の趣味をとことん追求していたら、そちらで友達が出来たんじゃないかと思うんです。図書室に入り浸っていたなら、同じように図書室に居た子がいるはずだから、その子に話しかければ良かったのに。同じクラスだからって、友達にならなきゃいけない事は無いですから。適当に薄ーく付き合って置けばよいんです。先生に淡い恋心を抱くのは、良くある事ですが、それ、勘違いですからね。気を付けてね。
最後は、卒業式で答辞を読むことになったまなみです。彼女は、本当に普通の女子で、彼氏の駿と仲良くやっています。いつも一緒にいて、何の悩みも無さそうに見えますが、実は、心に秘めた想いがあって、それを駿に伝えられないんです。
ずっと心に持っているんだけど、どうしても伝えられない。このどうしようもない気持ちを卒業まで抑えて来たんだけど、答辞を読むというとこに来て、とうとう耐えられなくなる。彼女の気持ちが痛いほど伝わってきて、観ていて辛かったです。でもね、思春期ってそういう事がたくさん起こるんですよ。色々あるんです。それは大なり小なり、それぞれが持っていると思います。そんな思春期に別れを告げる為の”卒業式”なのかなと、私は思いました。
卒業したら、そこからは大人です。成人は18歳だけど、高校を卒業したら、大学に行く人、働く人、未来への道は、分かれていきます。なので、卒業式で、全てを脱ぎ捨てていかなければいけない。女子は、少女の殻を、男子は少年の殻を、学校に脱ぎ捨てて、未来へ向かって欲しいんです。今までの色々な思いを、一度、ここで切り離し、一歩踏み出してから、思い出すも良し、振り返るも良しなんです。何事も、引きずらない事が大切だと思いました。
監督が、タイトルの「少女は卒業しない」の意味を浅井さんから教えて貰えなかったとおっしゃっていましたが、私の考えは、少女の殻は学校に脱ぎ捨てるから、少女は卒業しないんじゃないかなと解釈しました。卒業したら、女性になるんです。そして、少女の頃は、こんなだったと思い返すんじゃないかな。
でも、私は高校生の少女をそのまま引きずって、大学に行ってしまいましたけどね。だから、今でも中二病って言われちゃうんです。でも、そんな人間もいるよねぇ。(笑) オバサンになっても、まだまだ、少女の心を一部に持ち続けて、ワクワクしたり、ドキドキしたり、しちゃってます。但し、白馬の王子様は来ないことを知っているし、サンタクロースも来ないことを知っています。サンタが赤いのはコカ・コーラのせいだって事も知ってるさ!(笑)
話しを戻して、この映画、本当に良い映画でした。私は何とも言えない感動を味わいました。ドーっと涙が出るとか、感極まるとか、そんな事は無いんだけど、じんわりと青春時代の自分の青いころを思い出して、楽しかったなぁ~と懐かしみました。
あー、感想が長くなってごめんなさい。良い映画でした。私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。何とも言えない、自分の若い頃を思い出し、じわじわと感動が湧いてきました。単館系の映画が好きな方には、この良さを解かって貰えるんじゃないかな。大きな盛り上がりとか、凄い事件が起きるとかはありません。あ、最後に1つ衝撃はありました。とにかく、じんわりきます。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「少女は卒業しない」