「月の満ち欠け」悲恋を挽回する為に何度でも繰り返すのは、本当に良いことなのかしら。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「月の満ち欠け」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

小山内堅は幸せな日常を送っていたが、不慮の事故で妻の梢と娘の瑠璃を失ってしまう。悲しみに沈む小山内のもとに、三角哲彦と名乗る男が訪ねてくる。事故当日、娘の瑠璃は三角に会いに来ようとしていたという。三角は自分がかつて愛した「瑠璃」という女性について語り出す。それは数十年の時を超えて明らかになる許されざる恋の物語だった。

というお話です。

 

 

大学生の三角哲彦は、バイト先の高田馬場のレコード店の店先で雨宿りをしている女性に声をかける。濡れている彼女に”これで拭いて”とTシャツを差し出し、傘を貸す。美しい女性だったが、それで会う事は無いだろうと思ったが、忘れられずにいた。ある日、横断歩道で再会し、それから距離が近づく。二人は次第に惹かれ合い…。

 

小山内堅は、大学時代に同郷だった梢と知り合い、結婚をし、長女の瑠璃が生まれる。しあわせな生活だったが、瑠璃が7歳の時に高熱を出し、1週間後に治ったかと思ったら、まるで人が変わったように瑠璃は大人びていた。ある日、突然に居なくなった瑠璃は、一人で高田馬場で保護された。一人でどこかへ行っちゃダメだと言われた瑠璃は、いつになったら行っていいのと小山内に訊ね、高校を卒業したらいいよと言われて納得する。

 

 

仕事も家庭も順調な小山内。娘の瑠璃も18歳になり、しあわせの絶頂にいた。ある日、仕事中に電話が入り、突然、愛する妻・梢と娘・瑠璃のふたりが事故で亡くなったと警察から告げられる。あまりのショックに泣き崩れる小山内は、深い悲しみから、仕事を辞めて、実家の青森へと戻り、地元で静かに暮らし始める。

 

そこへ、三角哲彦と名乗る男が訪ねてくる。事故に遭った日、小山内の娘が面識のないはずの自分に会いに来ようとしていたこと、そして彼女は、かつて自分が狂おしいほどに愛した”瑠璃”という女性の生まれ変わりだったのではないか、と告げる。小山内は、そんな話は信じられないと言い、三角の話しを取り合わなかった。

 

 

それから7年後、瑠璃の同級生だった緑坂ゆいが小山内に連絡をして、東京のホテルで再会する。ゆいは、まだ小さな娘を連れて来ていた。娘の名前は瑠璃。そして小山内に瑠璃が告げた言葉とは…。後は、映画を観てくださいね。

 

この映画、ファンタジーです。面白いとは思うんだけど、本で読んでいるのと、実写にするのとは違うので、結構、違和感がありました。このお話は、スパンが長いので、27年間という年月が映画の中で流れます。しかし、登場してくる人物は、同じ人が演じているので、まったく年を取っておらず、さすがに無理でしょって言いたくなりました。

 

 

大泉さんは、既にある程度のご年齢から若い役をやるので良いのですが、目黒さんは全く老けさせていないので、大学生から18年経って社会人となり40歳近い年齢になっているハズなのに、大学生のままの見た目なんです。さすがに、これは酷いのでは?と思いました。いくら何でも、18歳が倍の年齢になっているのに、全く変わらないというのは無理がありますし、ストーリーに合いませんでした。その時間経過が理解出来なくなっちゃうんです。
 

そんな訳で、何故か、三角だけタイムリープしてきたかのように、若いまま、お嬢さんは私の恋人の生まれ変わりだったかもなんて言っているので、凄く違和感があるんです。せめて、シワを入れるとか、少し顔色を悪くするとか、何かして欲しかったです。そんな状態なので、小山内が信じるとか信じないとかよりも、そっちが気になっちゃって、話しがここで全く盛り上がらないんです。

 

 

そして、8年後に緑坂ゆいと小山内が再会して、やっと過去の話しの詳細が動き出すという感じなんです。うーん、小説だと、上手く、この魂の引継ぎが上手く行っているんだけど、今回の映画だと、イマイチ、繋がりが難しかったなぁ。理解は出来るんですけど、違和感が残っちゃって、ちょっと考えるとホラーに思えてきちゃって、最後はゾッとしました。だって、自分の周りで亡くなった人が、みんな自分の周りで生まれ変わって来ていたら、気持ち悪いでしょ。新しい身体なら、新しい人生を歩かなくちゃねぇ。可哀想でしょ。

 

ま、でも、このお話は、悲恋を何とかハッピーエンドにする為に、何度も生まれ変わって、しあわせになりましょうというお話なので、それはそれで良いと思うけど、現実にこんな事があったら、嫌だなぁと思いました。

 

 

子供の頃から大人びた子っていますよね。大人が思っているよりも、大人の話は子供に理解されているので、解らないだろうと思っていると、ドキッとすることがあります。もちろん、子供によってだけど、小さい頃は、前世の記憶が残っていて、その経験から理解しているのかもしれません。だけど、ある程度の年齢になると、小さい頃の事を忘れるから、前世の記憶もそこで消えちゃうのかもしれませんね。

 

大泉さんと柴咲さんのご夫婦役、とても良かったです。明るい夫婦で、とても幸せそうに見えました。お二人とも上手いので、会話などが自然なんですよねぇ。観ていて、気持ちよくなる家族の映像でした。小山内の娘に対する溺愛っぷりが存分に描かれていて、大泉さんは、きっと自分の娘さんも溺愛しているんだろうなと思いました。

 

それに対して、有村さんと目黒さんのカップルは悲恋だったなぁ。有村さん演じる瑠璃は、既に人妻だったのですが、夫にDVを受けていました。これ、現代なら、直ぐに訴えて、離婚出来ると思うのですが、1990年代だったのかな?この時代だと、まだまだ、難しかったのかもしれません。

 

 

この時代、女性は玉の輿に乗るのが良いと言われていたと思います。3高とか言われていたんじゃなかったでしたっけ。あの時に玉の輿と思った人と結婚して、失敗してる人、沢山いるだろうなぁ。だって、バブルで儲けた人達が、この頃はお金持ちだったんでしょ。みんな、会社が潰れちゃってますもんね。やはり女性も自分で手に職を持つことが重要なんですよ。パートナーに頼るのは間違っています。それは、相手が男でも女でもね。

 

生まれ変わりがメインのファンタジー映画で、原作は直木賞受賞作品です。お話は良いのですが、やっぱり年齢の部分で、どうしても引っかかっています。映画も良かったんですよ。感動するんだけど、やっぱり、どこかゾッとする部分があることと、三角の年齢の問題ですよね。彼は、映画の中の時間で、大学生から中年まで変わるんです。さすがに無理があると思ったのか、最終的な年齢の部分の映像は無くて、イメージだけで描かれていましたが、途中の部分も、少し特殊メイクなどで変えた方が良かったのではと思いました。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。大泉さんと柴咲さん、有村さんと目黒さんの若い頃は、とても雰囲気が良く描かれていたと思います。小山内ご夫婦と、若い恋人同士は、とっても素敵なのですが、悲劇が襲ってきた後は、やっぱりちょっと違和感がある部分があったなぁ。そんなに沢山では無いんですけどね。そんな中で、伊藤さんは、絶対的な存在で良かったです。彼女の存在で、映画の時間軸がズレるのを防いでいたように見えたかな。うん、良かったです。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

P.S:廣木隆一監督作品、一気に公開していますよね。「母性」も「あちらにいる鬼」も廣木監督でしょ。3本も公開って、凄いです。

 

 

「月の満ち欠け」