「サイレント・ナイト」を観ました。
Fan’s Voice独占最速オンライン試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
イギリス人夫婦ネルとサイモンと3人の子どもたちは、田舎の屋敷でクリスマスのディナーパーティを開くことに。屋敷には夫婦の学生時代の友人たちとその家族が集まり、子どもを含む12人の男女は久々の再会を喜びあう。今年のクリスマスは例年とは全く異なるものだった。あらゆる生物を死滅させる謎の毒ガスが地球全土に拡がり、明日にもイギリスに到達するのだ。毒ガスの恐怖が迫る中、パーティには次第に不穏なムードが漂い始める。
というお話です。
イギリス人夫婦のネルとサイモンが、田舎の大きな屋敷でクリスマスのディナー・パーティーを催す。招待客は夫妻の学生時代からの親友たちとその伴侶だ。
最初に到着したのは、ド派手な光沢ドレスをまとったサンドラと控えめな夫のトニー、あどけなくも舌鋒鋭い娘のキティ。続いて対照的な性格の同性カップル、ベラとアレックス、ベラが学生時代に思いを寄せていた医師ジェームズと妻のソフィもやってきた。ネルとサイモンの息子たちであるアート、双子のハーディ&トーマスを加えた全12人は、悪態混じりのジョークを交わしながら旧交を温め合う。
それはクリスマスのありきたりな風景だったが、今年はいつもと違っていた。地球上のあらゆる生き物を死滅させる謎の猛毒ガスが、明日にもイギリスに到達するのだ。政府の広報サイトによれば、ひとたび毒ガスを吸引した者は神経系統を破壊され、おびただしい出血とともに死に至るという。もはや毒ガスから逃れる術はなく、政府は苦痛を無くすEXITピルという自殺用の薬を国民に配布し、それを飲んで“尊厳ある死”を選択するよう推奨している。
そんな残酷な聖夜に集まったネル、サイモン夫妻と友人たちは、パーティーの終了後に子供たちにもピルを飲ませ、共に最期の時を迎えるという約束を結んでいた。
ネルが腕によりをかけて豪華な料理を振る舞ったディナーの席では、子供たちが毒ガスの原因をめぐり「ロシアの陰謀説」「環境が悪化した地球による復讐説」など、大人顔負けの主張をぶつけ合って大混乱。しかし、今、そんな事を話しても意味が無い。大人たちに止められ、何も無かったかのように食事を続ける。そんな息苦しい食事も終り、刻一刻と時間は過ぎていく。重い空気に耐えられなくなったアートは、とうとう家を飛び出して・・・。後は、映画を観てくださいね。
ちょっと、この映画、凄かった。明日に続く、ほんの数時間を描いているだけなのですが、その数時間が、地球生物の最後時間であり、それが解っていながら、どうしようもなくて、クリスマスのお祝いをしているという、何とも、重苦しくて、息苦しいお話なんです。観ていて、辛かったなぁ。だって、どうしようもないんですもん。何かをすれば、どうにかなるなら、いくらでもやってあげたいと思うけど、政府自体が、自殺用の薬を配っているという始末なので、どうにもならんでしょ。
そんな中、ネルは、料理を作って、友人たちを迎え入れるんです。最後の食事ということで、頑張ってはいるんだけど、どうしても集中出来ないようで、ケーキを忘れたりしちゃってるんです。普段なら、直ぐに近所に買いに行けばよいと思うけど、こんな時だから、店は開いてないでしょ。そうすると、”ハンマーでガラスを叩き割って、持って来ればいいのよ。”って言うんです。うん、まぁ、こんな時だから、それでイイよね。誰も怒らないと思いますよ。
大人たちは、もう、諦めているので、ある程度は落ち着き払っているんだけど、子供たちには理解が出来なくて、ロシアが毒ガスを撒いているとか、地球が吐き出しているとか、色々な説を言い合うんです。ネルの子供と、サンドラの子供の仲があまり良く無いので、そんな事も起きるんだけど、もう、今騒いでも仕方ないので、大人たちが止めるんです。そりゃそうですよ。今更、原因を追究してもどうにもならないんですから。
もう、最後っていうことで、サンドラは娘の為の学費をドレスと靴に使ってしまい、以前から思いを寄せていたジェームズに迫ったりと、こんな時だから、言いたいことを言わせてもらうわって感じで、結構、イヤな奴だったかしら。ネルとサイモンは、そんな中でも、理性を保って、綺麗に死のうと思っていました。
でも、どっちが人間らしいのかしら。最後なんだから、思い残すこと無く、言いたい事を言っておこうというのも、人間らしいんじゃないかなと思いました。だって、あと何時間後に毒ガスがやってきて、逃げようがないんですから。
政府は、安楽死用の薬を配ってくれているんだけど、私は、飲まないかもしれないな。だって、もし、これが地球自体が汚染されて、毒ガスを吐いているとしたら、全部人間のせいでしょ。楽に死んだら、地球に申し訳ないような気がします。罪を償うために、地球が吐いた毒ガスを吸って死ぬのが、道理なんじゃないかと思いました。人間が悪いんですもんね。自業自得なんだから、自分で始末を付けなくちゃ。
この映画、本当に食事をして、死んでいくだけのお話なんだけど、凄く深いお話でした。そういえば、イギリス女王はシェルターに入っているかもという話も出てくるのですが、シェルターに入ったって、何年後に外に出れるかも判らないし、永遠に外には出れないかもしれない。そんな世界で、生き長らえても、意味があるのかしらと思いました。
よく、映画で、自分だけはシェルターでという展開になるけど、実際は、ただ、苦しみを長引かせるだけという事になりかねないんですよね。もし、核戦争になったら、何年後に世界が綺麗になるのか、それが50年後か、100年後か、そんな未来まで狭いシェルターで生き延びるなんて、無駄でしょ。冷凍睡眠すると言っても、誰かが起こしてくれなきゃ目覚められないでしょ。そのままミイラになりそうですよね。(笑)
そんな事を、色々と考えさせられました。慌てても意味が無いんです。でもね、この映画、それだけでは終わりません。ちょっとだけ、ホラーが入っていました。それは、映画を観てのお楽しみです。私は、その場面を観て、色々と想像を膨らせてしまいました。楽しそうだなぁ。でも、この映画では、膨らまずに終わっちゃうんだけどね。
とにかく、面白い映画でした。私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。凄く楽しい展開などは無く、静かに最後を待つ映画ですが、色々と考えさせられる内容でした。最初の方で、ペットの鶏を外に放してあげるのですが、何も知らずに、安心出来る自分のお家で死なせてあげた方が幸せだったんじゃないかなと、私は思いました。もしもの世界ですが、考えてみる価値がある内容だと思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「サイレント・ナイト」