「雨を告げる漂流団地」
をNETFLIXで観ました。
ストーリーは、
姉弟のように育った幼なじみの航祐と夏芽は小学6年生になり、航祐の祖父・安次が亡くなったことをきっかけに関係がギクシャクしていた。夏休みのある日、航祐はクラスメイトとともに取り壊しの進む「おばけ団地」に忍び込む。その団地はかつて航祐と夏芽が育った家だった。航祐はそこで夏芽と遭遇し、のっぽという名の謎の少年の存在について聞かされる。すると突然、不思議な現象が起こり、気が付くと周囲は一面の大海原になっていた。
というお話です。
まるで姉弟のように育った幼なじみの航祐と夏芽。小学6年生になった二人は、航祐の祖父・安次の他界をきっかけにギクシャクしはじめた。航祐は、自分の祖父なのに、自分よりも悲しんでいる夏芽が気に食わなかったのだ。
夏休みのある日、航祐はクラスメイトとともに取り壊しの進む「おばけ団地」に忍び込む。その団地は、航祐と夏芽が育った思い出の家だった。懐かしい自分の家に入って行くと、何故かそこに、夏芽がいた。思いがけず夏芽と遭遇し、驚いた航祐は、何故、入ってはいけない場所であり、人の家に入り込んでいるのかと尋ねると、そこが落ち着くという。そして、自分だけではなく、もう一人、謎の少年・のっぽの存在について聞かされる。
そんな奴はいないだろと話を信じず、言い合いをしていると、突然不思議な現象に巻き込まれ、気づくとそこは、あたり一面の大海原。航祐たちを乗せ、団地は謎の海を漂流していた。初めてのサバイバル生活に戸惑う子供たち。力を合わせ、助けが来るまで乗り切ろうと頑張るが、いつまでたっても、助けは来ない。団地は流され続ける。
泣いたりケンカしたり、仲直りしたり?怪我をしたり、危機に見舞われる子供たち。果たして元の世界へ戻れるのか?そして、この世界は、一体、何なのか。追い詰められていく子供たちは、のっぽが奇妙な身なりをしていることに気が付く。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、映画館で上映と書いてあったのですが、先に、NETFLIXで配信が始まっていたので、配信で観てしまいました。アニメーションだったので、配信でも十分でした。
内容はファンタジーで、小学生たちが、夏休みに、解体が決まっている団地に入り込むところから始まります。こういうのって、実は、アニメとかにして欲しくないんですよね。団地のような、大きなところの解体は、本当に大変なので、もし、子供たちが入り込んだりして、隠れていたとしたら、解体工事の人間は解らないんです。もちろん、ちゃんと何もいないかどうか調査をしてから解体するのですが、隠れられていたら無理です。そのまま、大型の機械で壊していくので、一気にやってしまったら、子供なんて一溜りも無いと思うんです。だから、あまり立ち入り禁止の解体現場に入るという話を作って欲しくないのですが、まぁ、やられてしまったら仕方ありません。
そして、その古い団地で、小学生たちが異世界に入り込み、団地と共に漂流をするというお話でした。古い物に対するノスタルジーというか、懐かしいけど変わって行く世界を描いていました。ちょうど、今時、団地の解体は多いですよね。高度成長期から50年以上になるので、あの頃の建物は老朽化が進んでいて、仕方ないとは思いますが、直ぐに解体というのは、日本の悪い所です。
日本では、大体、鉄骨造は50年くらいが寿命と言われていますが、同じ材料を使っているアメリカでは、100年以上、建っている建物は沢山あります。あのブレードランナーで有名なブラッドベリービルは、既に120年くらいじゃないかしら。何故、そんなに違うのかというと、メンテナンスにかけるお金なんです。日本は、作ったら作りっぱなしで、何もメンテをしていないのですが、アメリカでは、こまめにメンテナンスをしています。なので、団地だって、作った頃から、きちんとしたメンテナンスを行っていれば、もっと、住める建物だったんです。
この映画を観ていて、古くなったら壊して建て直せばよいという、その考え方は、日本の悪い所だなと思いました。そういう、使い捨ての考え方に抗った団地の精たちが、航祐たちを、冒険の旅に連れて行ったのではないかなと思いました。
古い建物って、人の思いが詰まっているみたいで、解体前は、いつも嫌な気持ちになるんです。それこそ付喪神が付いていそうで、何で壊すんだよって言われているような気持ちになって、心が痛くなるんです。でも、新しい建物は、古い建物を解体しないと作れないし、毎回、どうしてこうなるんだろうなって思ってしまう。人間のせいなんだけど、いつから古い物は壊せばよいって考え方になっちゃったんでしょうね。昔は、古い物でも大切に使うっていう文化が、日本にもあったと思うんだけど。まぁ、建築屋は建替えないとお金にならないし、建設業が儲からないと、日本は動かないと言われるくらいだから、仕方ないのかな。哀しい世界です。
観ていて、可哀想だったな。なんでも、新しくすればよい、今が良ければ良い。子供たちに対しても、お金を稼いでくれば、愛情を注がなくても分かるだろうという感じで、夏芽の母親は、娘に全然かまっていないんです。なので、夏芽は航祐の家に入り浸り、航祐の祖父にベッタリで、航祐がやきもちを焼くほどになってしまうんです。これは良く無いよね。航祐の祖父も、ちょっと面倒を見過ぎかなと思ったし、夏芽の母親も、仕事が忙しいのは解るけど、他人の家にずっと預かって貰って、申し訳ないと思わないというのが、不思議に思いました。
漂流する団地で、仲間6人と、のっぽという不思議な少年とで、家に帰る手立てを考えるのですが、いつまでたっても、陸地に近づかないんです。そこに見えているのに、近づかず、他に何も見えないという状況で、追い詰められていくのですが、航祐は、結構、頑張るんですよ。子供たちのキャラクターも、それぞれ特徴があって、楽しかったです。
なんか、私は世間で言われているほど感動はしませんでしたが、建築に関わっている人間として、壊されていく建物の気持ちを考えたら、いたたまれない気持ちになりました。それに、子供の頃の何とも言えない寂しい記憶って、誰にでもあるでしょ。そんな気持ちを思い出しました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。私は、配信で十分かなと思いましたが、人によっては、大画面の方が気に入られるかもしれません。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「雨を告げる漂流団地」