「スーパー30 アーナンド先生の教室」
を観てきました。
ストーリーは、
貧しい家庭に生まれたアーナンドは数学の才能を認められたが、留学費用を工面出来ず、町の物売りをしていた。そこを予備校を経営するラッナンに見いだされ、人気講師となるが、貧しい若者との出会いをきっかけに、私財を投げうって私塾「スーパー30」を開設。無償で勉強を教えるようになる。
というお話です。
貧しい家庭の生まれながら天才的な数学の才能を持つ学生、アーナンドは、ある日、数学の難問の解法をケンブリッジ大学に送ったところ、その才能が認められ、イギリス留学のチャンスを得る。だが、貧しい家計から費用が出せず、当てにしていた援助もすげなく断られ、「王になるのは王の子供じゃない。王になるのは能力のある者だ」と、いつも彼を励ましてくれていた父親も心臓発作で亡くなってしまう。
留学を断念した失意のアーナンドは、町の物売りにまで身をやつすが、偶然、予備校を経営するラッランと道路で出会う。ラッランは、以前に数学のコンテストで優勝したアーナンドに商品を渡した人物で、自身も同じコンテストで優勝したことがあったのだ。彼は、IIT(インド工科大学)進学のための予備校を経営しており、アーナンドに予備校講師をするようにと促す。そしてアーナンドを看板講師として金持ちの子供たちを大勢集め、予備校は大盛況となり、アーナンドも裕福となる。
そんな中、貧しさゆえに路上で勉強する一人の若者との出会いが、アーナンドの心に火をつけた。父の「王になるのは王の子供じゃない。王になるのは能力のある者だ」という言葉を思い出し、金持ちのみが教育を受けられるのはおかしいと思い直したアーナンドは、突如として予備校を辞めてしまう。
そして彼は、才能がありながら貧困で学ぶことができない子供たち30人を選抜して、無償で家と食事を与えて、IIT進学のための数学と物理を教える私塾、スーパー30を開設したのだ。
私財を投げ売ったアーナンドは、資金に苦しみ、教育をビジネスとしか考えないラッランから様々な妨害を受けながらも、型破りな教育で、生徒たちに自信を持たせていく。後は、映画を観てくださいね。
この映画、凄く良い作品でした。インド映画でアクションじゃないんだーと思い、あまり期待せずに行ってみたのですが、こんなに良い映画とは思いませんでした。これ、もっと宣伝して、沢山の人に観ていただきたいなぁ。これは、今の日本の状況にも当てはまるんじゃないかしら。
最初に、ノーベル賞ではなさそうだけど、何か大きな授賞式で、ある青年が演説をしているんです。彼は、インド人で貧しい家に生まれましたが、ある先生のおかげで、こんなに立派な賞を貰うまでになりましたと言うんです。その先生が、アーナンド・クマール。スーパー30と名付けられた私塾を開設した人物でした。
アーナンドは数学の天才なのですが、家が貧しくてイギリス留学のチャンスがあったにもかかわらず、留学することが出来ず、町の路上で綿を売る仕事を続けるしかなかったんです。でも、ここで、予備校の経営者ラッランと出会います。ここで、ラッランに出会わなかったら、彼が私塾を開設することも無かったし、その資金を貯める事も出来なかったはずです。だから、自分で私塾を開設することは、ラッランへの裏切りになり、恩人を裏切ったという事になります。
自分のチャンスを作ってくれた人を裏切るのは、ちょっと問題だよなと思ったのですが、金持ちしか大学に行けないという状況を変えなければいけないという信念があって、仕方なくだったのでしょう。それにしても、この裏切り方は、ちょっとマズいだろうと思いました。ラッランに相談すれば良かったのにね。まぁ、ラッランは強欲そうだから、相談しても無駄だったかもしれないけど、一応、恩人なんだから、勝手に辞めて、ライバルとなる私塾を作るのは、良くなかったと思います。
そんな裏切りを経て、私塾”スーパー30”を作り、貧しい家庭に生まれても、勉強がしたいという少年少女を集めて、試験をして、成績が優秀だった30人を、塾生として迎え入れます。この塾は、食事付きで寮もあり、子供たちを受験まで預かって、大学受験させるというものでした。全て無料です。だから、アーナンドはお金に非常に困ります。
思ったんだけど、私塾で教えながら、ラッランの予備校でも、教えれば良かったんじゃないかと思いました。だって、何コマか授業をすれば良いだけでしょ。自分が私塾で育てている生徒たちにも教えるとしても、べったり付いている必要は無いでしょ。ちゃんと課題を与えて、自分たちで解かせればよいんだから。
ただ、インドの予備校事情は、こんな甘いモノじゃなかったのかもしれません。予備校は凄く儲かるらしく、アーナンドの授業は生徒たちにも喜ばれていたので、アーナンドがいなくなったら、金持ちの生徒の親が怒って、大騒ぎになっていましたもん。ラッランは、アーナンドを呼び戻す為に、殺し屋を雇ったり、何だか、酷い事を沢山していました。エンディングでも、注釈で、実際にアーナンドは、何度も暗殺未遂にあったようでした。それくらい、予備校の経済効果というのは大きくて、アーナンドのような先生は、自分の味方なら良いけど、敵になったら殺したい人物だったのでしょう。
アーナンド先生の私塾からは、何人もインド工科大学に入学させたそうで、その中の一人が、最初に演説を行っていた青年だったんです。実際に、このスーパー30は世界で絶賛され、この教育プログラムは今も続いているそうです。どこかの記事で「親ガチャなんて関係無い」と書いてありましたが、確かに才能があれば、チャンスは巡ってくるのかなと思いました。
よく考えてみたら、頭が良い子なら、学校の勉強だけで他の子より成績が良くなるだろうし、日本なら奨学金もあって、それで上の学校にも行けるんじゃないかな。貧しくても、上に行けるチャンスは手に入ると思います。そして、大学まで行ったら、また自分の頭脳を使って、お金儲けをすれば良いと思うけど。
奨学金を返すのが大変だというお話を聞きますが、奨学金を返せるだけの勉強をするために大学に行ったんじゃないの?それなりの会社にも入れるだろうし、事業を起こせるんじゃないかなと思うのは甘いのかしら。大学に行って何も学ばなかったなら、お金を借りてまで行く必要は無かったのかなと思っちゃう。どうなんですかね。だって、このスーパー30の生徒たちは、無料で勉強をさせて貰って、世界的な数学者や科学者、経営者になっているんです。助けて貰ったら、それに答えているんです。これが正しい在り方じゃないのかしら。
この映画、実話を基にしたフィクションですが、実際にアーナンド先生は私塾を開設していて、今も、天才を排出しています。確かに、日本のオフィス街で、インド系の方を見ることが多くなった気がします。素晴らしい人々を排出しているんでしょうね。この映画を観るまで、そんな事があるなんて、全く知りませんでした。日本でも、こんな試みがあれば良いのにな。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。ドキュメンタリーではないので、ちょっと盛ってありますが、映画として、とても面白く出来上がっていると思いました。その上で、実話を解かりやすく説明していて、良く出来ていると思いました。この映画は、ぜひ、沢山の人に観て欲しいです。とても面白いです。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「スーパー30 アーナンド先生の教室」