「ボイリング・ポイント 沸騰」これは凄い作品でした。90分間ワンショット撮影って良く出来たよね。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「ボイリング・ポイント 沸騰」を観てきました。

 

ストーリーは、

一年で最もにぎわうクリスマス前の金曜日。ロンドンにある人気高級レストランのオーナーシェフのアンディは、妻子との別居や衛生管理検査で評価を下げられるなど、さまざまなトラブルに見舞われて疲れ切っていた。そんな中、アンディは気を取り直して店をオープンさせるが、あまりの予約の多さにスタッフたちは一触即発状態となっていた。そんな中、アンディのライバルシェフが有名なグルメ評論家を連れて突然来店し、脅迫まがいの取引を持ちかけてくる。

というお話です。

 

 

一年で最も賑わうクリスマス前の金曜日。場所はロンドンの人気高級レストラン。

その日、オーナーシェフのアンディは妻子と別居し疲れきっていた。何日も事務所で寝泊まりしており、昨日、やっと部屋を借りて移れたところだ。もうすぐクリスマスということで、別居している妻からパーティーに来れないのかと催促の電話も入り、息子からも何度も電話が入ってしまうが、仕事が忙しくて相手にしていられない。

遅刻して職場に到着すると、衛生管理検査が入っていて、その受け答えもしなければならない。3ヶ月前から、プライベートや職場の事で事務処理がおろそかになっており、職場の衛生管理も個人に任せっきりだった。運悪く衛生管理検査があり評価を下げられ、次々とトラブルに見舞われるアンディ。



 

気を取り直して開店するが、予約過多でスタッフたちは一触即発状態。そんな中、アンディのライバルシェフ・アリステアが有名なグルメ評論家サラを連れてサプライズ来店する。アリステアは、以前のアンディの上司であり、アンディは彼にお金を借りて、このレストランをオープンさせたのだった。

実は、アリステアはお金に困っており、貸した金を返して欲しいと言いに来たのだった。アンディは新しいパートナーとこのレストランを経営しており、アリステアの希望に沿う答えは出来ない。すると、脅迫まがいの取引を持ちかけてくる。もはや心身の限界点を超えつつあるアンディは、この波乱に満ちた一日を切り抜けられるのか。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、凄かったです。映画自体も面白いのですが、それ以上に、この映画、90分間のワンショット撮影で正真正銘のノー編集、ノーCGで作られています。信じられます?90分間、ひとつの映画をノーカットでやり切っているんです。ですから、演劇の舞台と同じです。ただ、舞台の中を、カメラが走り回っているという感じですかね。そして、NGも無し、間違えても、その場のアドリブで、何でも入れてやり切っているという事なんです。凄いでしょ。観ていても、その迫力に圧倒されました。

アンディというオーナーシェフが職場に向かうところから始まります。彼は色々と問題を抱えているようで、歩きながらも、ずっと電話をしています。このアンディ、段々と判ってくるのですが、問題を先送りにするタイプじゃないかなと思うのよ。絶対に経営者になっちゃいけないタイプなんです。人に雇用されるなら、先送りで問題が終わるのを待てばよいけど、経営者は問題が終わる時は自分が潰れる時だからね。絶対に先送りはダメなのよ。

 

 

問題を抱えたまま、仕事場に入り、酒を入れたペットボトルを飲みながら仕事を始めます。酷いでしょ。酒を飲みながら仕事って、もう末期でしょ。ま、居酒屋とかで、閉店近くにお客の相手をしながら飲む方は良いと思うけど、始めからは問題でしょ。まして、周りの部下から酒臭いと言われていて、だからミスも増えていくんです。

 

観ていて辛くなるほど、アンディが追い詰められて行くんです。自業自得ではあるんだけど、誰かに相談して、解決策を見つけていれば、こんな風にならなかっただろうにというのが解っちゃうから、本当に辛いんです。

 

 

そんなアンディの周りでは、たくさんの従業員が働いていて、レストランにはお客様も入ってくる。クリスマス前のレストランは満員で、問題のある客も多数いるんです。これ見ていると、ロンドンも日本も、お客って、同じような感じなんだなって思いました。お客にしてみれば、自分が一番だから、自分の要求だけを突きつけるけど、相手は何十人もの客を相手にしている訳だから、そりゃ、いい加減にしてくれよって思うわよね。私も、出来るだけご迷惑をかけないようにしようと思いました。でも、酷い部分は指摘しないとね。

 

このレストラン、料理は美味しいんだろうけど、あまり良い状態には見えなかったな。客を入れすぎなんです。クリスマス前だと言っても、許容量を超えて客を入れたら、必ず歪みが起きるでしょ。一度、失敗したら、お客は来なくなるんだから、その塩梅をみないと、自分の首を絞めることになります。経営が苦しいのは解るけど、そういう時こそ、慎重にしないと。そんな様子が見て取れました。

 

 

アンディと一緒に料理を作っている厨房スタッフと、フロアを担当しているスタッフに分かれていて、フロアの方は、アンディの共同経営者の娘が担当しているようで、若いから経験が少ないのか、コントロール出来ていないんです。なので、厨房スタッフとも上手く行っていないし、自分の部下にも信頼されていないように見えました。頑張ってはいるんだろうけど、空回りしてるみたいで、ちょっと可哀想かなと思いました。

 

沢山のスタッフが出てくるんだけど、これがまた、それぞれに問題があったりして、それを細かく描いているんです。ワンショットで撮っているのに、ここまでこだわっているのかと言うほど、それぞれの人物に焦点を当てて、描いて行くんです。観ているこちらも、全て見届けなきゃという気持ちになって、まばたきするのも勿体ないくらいでした。

 

 

私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。これは、稀に見る傑作じゃないかな。どれだけ練習して、撮影したのかしら。完璧なタイミングで人がフレームイン、アウトして、ストーリーが展開していくんです。ここまで良く出来た映画、珍しいと思います。私は、凄く感動しました。ストーリーだって、良く出来ていたと思います。レストラン経営の難しさを、良く描いていたと思います。これは、観るべき作品だと思いますよ。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ボイリング・ポイント 沸騰」