「死刑にいたる病」人間不信になると思いました。凄い映画です。これは誰もがゾッとして痺れるだろうな | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

 

「死刑にいたる病」を観ました。

 

Fan’s Voice独占オンライン最速試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)。

 

ストーリーは、

大学生・雅也のもとに、連続殺人事件の犯人・榛村から1通の手紙が届く。24件の殺人容疑で逮捕され死刑判決を受けた榛村は、犯行当時、雅也の地元でパン屋を営んでおり、中学生だった雅也もよく店を訪れていた。手紙の中で、榛村は自身の罪を認めたものの、1件の事件は冤罪だと訴え、犯人を捜して欲しいと雅也に依頼する。独自に事件を調べ始めた雅也は、想像を超えるほどに残酷な真相にたどり着く。

というお話です。

 


 

鬱屈した日々を送る大学生、筧井雅也に届いた一通の手紙。それは稀代の連続殺人鬼・榛村大和からのものだった。「罪は認めるが、最後の一件だけは冤罪だ。それを証明してくれないか?」という内容だった。

大和は、雅也が中学生の頃に通っていたパン屋の店主だった。雅也は父親から虐待され、祖母に育てられたも同然の状態で、そんな雅也の心の拠り所だったのが大和のパン屋だったのだ。自分のよき理解者だった大和に頼まれ、事件を再調査する決意をする雅也。



 

大和の弁護士事務所を訪ね、資料を読みながら、その人生に潜む負の連鎖を知るうち、雅也はなぜか大和に魅せられていく。誰からも良い人と思われ、殺人犯と判った今でも、色々な人に好かれている大和。しかし、歪んだ欲望を持ち、沢山の殺人を犯していた。

一体、彼は何者なのか。一つ一つの選択が明らかにしていく残酷な真実とは。雅也は大和が仕組んでいた本当の計画を見抜くことは出来るのか。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、凄い内容でした。痺れましたよぉ。連続殺人鬼が、24件の殺人容疑で死刑宣告されるんですけど、その24件の中の1件は、自分がやったものではないと訴えるんです。そうです、白石監督作品の「凶悪」と同じ出だしなんです。でもね、そこからの展開は全く違って、今回は、学生の雅也という青年が、事件を辿っていく事になります。

 

雅也は、大和が営んでいたパン屋兼カフェに、中学生の頃に通っていたんです。父親に嫌われて、いつも暴力を受けていた雅也は、この店にいる時だけホッとする時間を持てて、大和に心を許していました。この大和という人物は、頭が良く、人の心を操るのがとても上手かったんです。

 

 

そんなパン屋に通ってくる学生は多く、大和は、その10代半ばの少年少女を標的にして、殺しまくっていたんです。いたぶって、苦しめて、爪を剥がしてコレクションして、死体を処理していたんです。恐いですよね。そんな狂った殺人鬼なんですけど、1件だけ自分がやった殺人じゃないから、調べて欲しいと雅也に頼みます。まぁ、自分が殺した人じゃないのに、犯人にされたら、やっぱりイヤですよね。そして雅也は調べ始めます。

 

自分が子どもの頃から住んでいた街なので、それほど苦労も無く、調べまわり、ご近所の人の話を聞くと、みーんな、大和は良い人だったって言うんです。でもね、誰からも良い人って言われるって事は、誰の前でも仮面をかぶっていて、本心を出していないということだと思いませんか?素直で良い人なら、きっと誰かは、”アイツはバカ正直だから。”とか、”融通が利かない”とか言うはずなんです。なので、誰もが良い人という人物は要注意なんですよ。

 

 

そして調べていく内に、自分の母親と大和が知り合いだということを知り、もしかして・・・という考えが頭の中に駆け巡ります。でも、まぁ、この話は中盤くらいかな。こんなもんじゃなくて、大和という男が仕掛けた罠が、いくつもあり、雅也がどんどん、その罠に絡め取られていく姿が描かれていきます。そうなんです、この大和、本当に頭が良くて、大体、雅也が調べていくであろう先を読んで、そちらにも罠を仕掛けていて、自分の誘導通りに彼が動いて行くようにコントロールしているんです。

 

最初、観ている時には、こちらも素直に見ているので、大和が仕掛けているとは考えていないのですが、段々と事件が見えてくると、それが大和が仕組んでいた事だという事に気が付くんです。この描き方も上手いなぁと思いました。

 

 

この原作が凄いのか、脚本が凄いのか解りませんが、とにかく、話の展開が上手いです。通常、本を読んだり、映画を観たりすると、その読者や鑑賞者は、主人公目線で見ますよね。そして主人公に色々な出来事が起きていく。でもね、よく考えて観ると、その主人公だけに事件が起こっているのっておかしいんですよ。こんなに人がいて、誰もが動いているのに、何故か、主人公にのみ事件が起きる。おかしいと思ったことありませんか?それを見事に利用していて、描かれている主人公以外にも、同じように事件が起きている人が周りにいるんです。自分だけは特別だと思っている人間が、実は、周りに沢山いるんです。

 

映画の中で、大和がポロッと「虐待を受けていた子は、自分だけ特別だと思いたがる。」と言うんです。虐待を受けていなくても、映画を観ている時って、観ている主人公が特別だと思いますよね。でも違うんです。本当は、無限に特別な人はいるんです。それを突いてきた作品って、凄いなぁと思いました。

 

 

ヒーロー映画を観ていて事件が起きるけど、実は、他にも沢山ヒーローがいて、事件が起きているという事です。アベンジャーズ?マルチバース?なんて言っているけど、普通の生活の中でも、同じような事が起きているんですよね。世界は自分を中心に回っているのではなく、回っている世界の中の1つの点が自分だってだけなんです。うーん、衝撃でした。解ってはいても、それをこういう映画で見せられるとは。見方を変えると面白いですね。

 

白石監督も上手いけど、やっぱり大和役の阿部さんがとんでもなかったな。凄く良い人に見えるけど掴みどころのない男で、雅也に対しても、真摯に話をするんだけど裏には凄い顔があるんじゃないかと思わせる雰囲気があって、本当に怖かった。こんな人間がいたら、誰もが騙されて、良い人だから助けてあげて欲しいって言っちゃいますよ。マジで恐いです。最後の最後でゾッとしました。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。ちょっと今までの感覚とは違う、面白い映画でした。原作では、大和の過去についても雅也が調べているのですが、白石監督が2時間では描けないと思って切りましたと言っていたので、スピンオフとかで、大和の過去を描いてくださったら、それも合わせて、超を3つ付けたいです。あ、でも、勘違いしないでください。この映画だけでも、十二分に凄いし、楽しめると思います。やっぱり白石監督は上手い。本当にそう思いました。ぜひ、観に行ってみてください。公開は、5月6日です。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「死刑にいたる病」