「とんび」昭和の時代を振り返る感動作でした。このお話は何度観ても誰が演じても、素晴らしいです。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「とんび」を観てきました。

 

ストーリーは、

昭和37年、瀬戸内海に面した備後市。運送業者のヤスは愛妻の妊娠に嬉しさを隠しきれずにいた。幼い頃に両親と離別したヤスにとって、自分の家庭を築くことはこの上ない幸せだった。やがて息子のアキラが誕生し、周囲は「とんびが鷹を生んだ」と騒ぎ立てる。しばらくして、妻が事故で他界してしまい、父子2人の生活が始まる。親の愛を知らぬまま父になったヤスは仲間たちに支えられながら、不器用にも息子を愛し育て続ける。そしてある日、母の死の真相を知りたがるアキラに、ヤスは大きな嘘をつく。

というお話です。

 

 

日本一不器用な男・ヤスは、愛する妻・美佐子の妊娠にも上手く喜びを表せない。幼い頃に両親と離別したヤスにとって、“家族”は何よりの憧れだった。時は昭和37年、瀬戸内海に面した備後市。

アキラと名付けた息子のためにも、運送業者で懸命に働くヤスだったが、ようやく手にした幸せは、妻の事故死によって脆くも打ち砕かれる。悲しみに沈むヤスだったが、人情に厚い町の人々に叱咤激励され、彼らの温かな手を借りてアキラを育ててゆく。



 

時は流れ、高校3年生になったアキラは、東京の早稲田大学を目指し合格を勝ち取る。だが、別居の寂しさを素直に伝えられないヤスは、「一人前になるまで帰って来るな!」とアキラを突き放す。

そして昭和63年、仕事と称して東京に行ったヤスは、突然にアキラの会社を訪ねていく。久々に再会したヤスと大人になったアキラ。会えば、昔通りの2人だったが、アキラが現在の自分の話をし始めて・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、何度かドラマ化されている小説の映画化です。私もドラマを観たりしていましたが、今回、阿部さんと北村さんという親子で、良かったです。以前のドラマも感動したのですが、今回は、また新しい雰囲気で、少し現代の雰囲気も取り入れながら、昭和の活気あふれた時代を描いていました。

 

昭和の時代って、やっぱり考え方が違いますよね。結婚したら妻は夫に尽くすべきとか、親は子供への教育として殴ることもあり得るとか、学校部活での後輩へのしごきとか、私も昭和生まれなので、何となく懐かしく思いながら観せていただきました。

 

 

内容としては、そんなに特別なことは無いんですよ。よくある一般的な家庭の事を描いていて、その一般的な生活の中で起こる些細な事が、きっと、みんな、共感出来る事なのかなと思い、何度もドラマ化されているのだと思います。だって、簡単に書いてしまえば、子供が産まれて、母親が亡くなり、父子家庭で息子を育てたというだけのお話なんです。

 

ヤスという人物は、運送会社で働くよく言うブルーカラーの男性で、性格は荒っぽく、人情があり、その町の人々から可愛がられています。そんなヤスが結婚して、子供が産まれて、幸せな生活を送っていたのですが、ある事故によって、妻を亡くしてしまいます。とても悲しむのですが、息子を育てていかなければいけないので、気持ちを切り替えて、父親として生きていくようになります。

 

 

もちろん、町の人から可愛がられているヤスなので、息子のアキラも、町の人々、みんなから可愛がられて、育って行きます。この昭和の時代は、ご近所付き合いが頻繁で、町のみんなで子供を育てていくような雰囲気があったんですね。私は、そういう雰囲気は味わったことがありませんが、地方都市では、そんな感じだったのかもしれません。

 

現代で、この映画のようなことをしていたら、他人の家の事に口を出すなとか、人の子供を勝手に連れて行くなとか言われてしまい、もし、父親が息子を殴ったら、直ぐに虐待と騒がれてしまいます。確かに、子供を殴るのは問題だけど、この映画の時代だと、息子を殴ったら、父親も同じだけの痛みを感じているんですよね。現代のように、憂さ晴らしで子供を殴るのとは違うんです。

 

 

そんな映画の中でも、段々と時間は経過し、アキラが大人になっていくと、現代に近づいて、昭和を生きてきたヤスには、理解しにくい事も出てきます。例えば、息子の会社に訪ねて行っても、ビルの入口でセキュリティに止められるとかが描かれました。でも、私が一番印象に残ったのは、アキラの結婚話かな。アキラが好きになった人が、バツイチ子持ちの女性なんです。今でこそ、バツイチなんて死語ですし、子持ちでどこが悪いって感じですが、ヤスの時代の人にとっては、息子が初婚の女性と結婚しないというのは、衝撃だったのでしょう。この辺りの描き方が、時代の移り変わりを良く表現しているなと思いました。

 

確かに、私が最初に離婚した時、”バツイチ”になると言われたと思います。私も若くて突っ走っていたので、そんな事もありました。イマドキ、ある程度の年齢なら、離婚くらい当たり前くらいの勢いですけど、昔は違ったんです。

 

 

そんな時代の流れを、この映画では良く描いていて、若い人にはどうか解りませんが、私のような昭和生まれの人間には、何とも言い難いような懐かしい気持ちと共に、自分の人生も振り返ってしまうという感覚を味わえるんです。感動でした。

 

やっぱり阿部さん、本当に上手いです。あの「はいからさんが通る」の少佐とは、全く別人だよぉ。でも、あれも懐かしいんですけどね。(笑)やっぱり、人間は努力なのかなと思いました。ちゃんと勉強した方は、トップに立てるんです。観ていて、惹き付けられる役者さんって、そんなにいないですもんね。素晴らしいです。大好きな役者さんです。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。若い方にはどうか解りませんが、私のような、昭和生まれの人間は、やっぱり感動してしまいます。良い映画でした。これは、ぜひ、観るべき1本じゃないかなと思います。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「とんび」