「白いトリュフの宿る森」を観てきました。
ドキュメンタリー映画なので内容は、
世界で最も希少で高価な食材〈白トリュフ〉が名産のピエモンテ州で、写真家のマイケル・ドウェックは、夜になると森へ〈白トリュフ〉を探しに出かけてゆく、まるで妖精のような老人たちがいる、というささやかな言い伝えを耳にした。
未だかつて人の手による栽培が行われたことはなく、どのように、なぜそこに育つのか解明されていないアルバ産〈白トリュフ〉。危険のつきまとう森の奥深く、老人たちは訓練された犬たちと共に、まるで宝探しを愉しむように、何世代も伝わる伝統的な方法で〈白トリュフ〉を探し出す。
気候変動や森林伐採により供給量が減り、世界中のシェフやバイヤーらが、トリュフ探しの極意を聞き出そうと躍起になるが、彼らはトリュフが実る場所を決して誰にも明かさない。それは長年連れ添った妻や友人にさえも、絶対に。
ドウェックは約3年間にわたり彼らの生活に入り込み信頼関係を得たうえで、これまで明かされなかった彼らの日常の撮影に成功。そこにあったのは、彼らの大地に寄り添い、時の流れの止まったような、純粋で、美しい暮らし。まるでおとぎ話のような秘密に満ちた世界を、絵画のように美しい映像美で鮮やかにスクリーンに映し出す。(公式HPより)
という映画です。
この映画、簡単に言うと、イタリアの地方に住んでいる老人が、犬と一緒に森に入って、キノコ採りをするというだけのドキュメンタリーなんです。でもね、凄く豊かな時間を過ごしている人々の日常を撮っているので、観ているこちらまで、心が豊かになっていくんです。なんか、カリカリして生きているのはバカらしいなぁ、もっとゆっくり生きれば何てことないのになぁっていう気持ちにさせてくれるんです。
最初は、ちょっと陽気なおじさんが、犬を2匹ほど連れて森の中を歩いているんです。そして、今日は見つからないとか言いながら、また森を歩き、その日は収穫が無かったのか、家に帰ると、犬と一緒にお風呂に入っているんです。犬と人間が、本当に家族として暮らしていて、生活の糧となるトリュフを協力して採っているという事が伝わってくるんです。そのおじさんは、他の方々より若いようで、車に乗ると大音量でロックを聞いて、大自然の中でドラムをたたいてという生活をしていました。そんな生活も、トリュフが支えているんです。
次にお爺ちゃんが出てくるのですが、本当に言えではヨボヨボして歩いているのですが、何故か、トリュフを探しに森に入ると、しっかりとした足取りで歩いているんです。そして、もちろん犬と一緒に歩きまわり、トリュフを探して採ってくるんです。奥さんには、”もう、森でトリュフを獲るのは辞めなさい。”と言われているのですが、どうしても辞められない。探すのが楽しいらしいんです。森の中で犬と歩き回り、トリュフを見つけた時の喜びは、やっぱり忘れられないのかな。
とても仲の良いご夫婦で、テーブルの上の山ほどのトマトを一つづつ洗って吹いている姿が、あまりにも和やかで可愛くて、微笑ましかったです。年を取ったら、こんな風に暮らせたら幸せだなぁと思いました。
そしてもう一人のお爺ちゃんは、もうトリュフを獲るのを辞めた方で、若いトリュフハンターを目指す人が訪ねてきたりして、トリュフのある場所を教えてくださいと言われるんだけど、絶対に教えないんです。自分も採らないけど、人にも獲らせない。でもね、教えない気持ちはよく解るんです。彼らは、自分でやり方を探して、勉強をして、トリュフがありそうな場所を見つけ、犬も教育したわけでしょ。簡単に教えてくれって言われても、教えたくないし、もしかしたら教えようがないのかもしれない。
よく仕事で、教えてくれないと言う人がいるけど、自分でやり方を考えるべきでしょ。一度、自分でやってみて、こうやってみたけど時間がかかるし効率的なやり方はありませんか?って人に聞くべきなのに、最初から人に教わろうとするのでは想像力がつきません。想像力が必要無いなら、機械にやって貰う方がマシでしょ。人間がやるんだから、自分で考えないとね。
話を戻して、皆さん、トリュフは、自分の土地で採っているらしいのですが、最近は、勝手に人の土地に入って、採っていく人もいるようで、この引退したお爺ちゃんは、そういう浅ましい感じが嫌で、トリュフハンターの仕事を辞めた様なんです。あ、それと、自分の愛犬が亡くなったことも一因のようでした。日本でも、松茸がこんな感じで採られているのかなと思っていて、人の山に入って盗んで行く”キノコ泥棒”もいるんだろうなと思いました。時々、ニュースで農作物の盗難が流れますが、嫌な話だなと思います。
そして、もちろん、素晴らしいトリュフを料理として食べる場面もありました。映像から、トリュフの匂いが香ってきそうだなって思うような、何とも美味しそうな映像でした。トリュフは永遠の宝物ですね。あんな、メレンゲ菓子のような塊が、良い香りを放つとは思えませんが、ビックリです。美味しそうだったなぁ。特に白トリュフの香が良さそうでした。
この映画、何がどうなるわけでもないドキュメンタリーなのですが、そんな”キノコ採り”という生き方をしている方々を追いながら、人生はこんなにも豊かなんですよっていう事を描いていたように思えて、とても気に入りました。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。単館系のゆっくり進む映画で、途中で気持ちよくなりながらウトウトしてもいいんじゃないの?というゆったりした気持ちで観れる方にお薦めいたします。ガツガツ観る映画ではありません。そんな気持ちで観に行っていただけると、とても気持ち良く観て、帰ってこれると思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「白いトリュフの宿る森」