「悪なき殺人」TIFF2019の観客賞だった作品です。再鑑賞でしたがやっぱり面白かったです。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「悪なき殺人」をFan’s Voice独占最速オンライン試写会にて観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

邦題が変わっていたために気が付かなかったのですが、私が2年前に東京国際映画祭で観た作品でした。TIFF2019の時は「動物だけが知っている」という題名だったんです。映画祭の時の邦題の方が良かったのになぁ。なんで変わったのかしら。

 

ストーリーは、

吹雪の夜、フランスの山間の町で女性が失踪し、殺害された。事件の犯人として疑われた農夫のジョセフ、彼と不倫関係にあったアリス、そして彼女の夫ミシェルなど、それぞれに秘密を抱えた5人の男女の関係が、失踪事件を軸にひも解かれていく。そして彼らが、フランスとアフリカのコートジボワールをつなぐ壮大なミステリーに絡んでいた事実が明らかになっていく。

というお話です。

 

 

フランスの雪の中。アリスは車を走らせていた。自分がカウンセリングを受け持つジョゼフに会いに行く為だった。彼女は、ジョゼフと知り合い、彼に愛情を持つようになり、逢う度に不倫をするようになっていた。夫との関係は冷めており、夫のミシェルは牧場経営ばかりに気を取られていて、自分に興味を示さない。

ジョセフと会った帰り、雪の中に放置された車の横を通り過ぎる。その車にはエヴリーヌという女性が乗っていて、車から失踪してしまったらしい。警察は彼女の行方を捜していた。



 

エヴリーヌは、パリのレストランで知り合ったマリオンという若い女性と関係を持つ。女性同士の関係を楽しみパリで別れたのだが、マリオンはエヴリーヌの事が忘れられず、彼女が行くと言っていたフランスの雪山の別荘を訪ねていく。しかしエヴリーヌは、夫の家だし、マリオンを泊めるわけにはいかないと言い、彼女を尽き放つ。しかし諦めきれないマリオンは・・・。

ミシェルは、妻のアリスが浮気をしている事に気が付いており、夫婦仲は冷めていた。何も無い雪山の町では娯楽も無く、ネットの出会い系でもと思いアクセスしてみると、気の合う女性が現れる。アンジェリーナという女性にお金が必要だと言われ送金すると、彼女の動画が送られてくる。彼女はミシェルの理想の女性であり、彼女にハマっていくのだが、それは詐欺だった。



 

コートジボワールでは、貧困層の若者たちが、ネットを使って詐欺を働いていた。勝手に女性の写真や動画を使いアイコラを作り、それで男性たちを騙して送金させるのだ。アルマンもその一人で、あるフランス人女性の写真を使って詐欺をやり始めるのだったが・・・。

アリス、ジョセフ、エヴリーヌ、マリオン、ミシェル、そしてアルマンという6人の行動が奇妙に入り組み、とんでもない連鎖を引き起こす。それは、偶然という言葉一つでは言い表せない、何か因縁めいたものを感じさせるのだった。後は、映画を観てくださいね。

 

これ、全てが繋がっているんだけど、その繋がり部分は全てネタバレになってしまうので書けません。でも、この繋がりが解かってくると、いきなり、脳の中のモヤモヤしたものが開けて、明るい道が見えた様な、そんな気持ちになれるんです。理解出来た時、凄く気持ちがいいんですよ。この爽快感は、何とも言えません。

 

 

それに、爽快感だけではありません。人物それぞれが、自分の行動に関して考えて、悩んで、我慢できずに飛び出したりと、様々な行動をとります。きっと、この人は自分と似ているとか、似ていないとか、こんな事は絶対にやらないとか、これは同じ行動をしただろうなぁとか、観ながら何度も考えるんです。そして、やっぱり人間って、自分中心に考えているんだという事を再認識させられるという、何とも哀しいお話なんですよ。でも、それだからこそ、愛おしいという気持ちにもなりました。

 

このミシェルは、妻に浮気されて、何となく出会い系サイトにアクセスして、ハマっていってしまうのですが、こういう人って多いんだろうなぁと思いました。相手の写真だけ見て、それを信じて付き合ったりするんでしょ。そして、実際に会うと全然違う顔だったりするんだけど、それまでの過去のネット交流で言葉だけで好きになっているから、嫌いにならないみたいなのよね。私は、顔が違うだろ~って別れると思うけど、そうならないというところが恐いなぁと思いました。だって、それまで嘘をついていた訳でしょ。それって許せるのかな。他にも沢山嘘が出て来るんじゃないの?凄く怖いです。身辺調査をしなくちゃねぇ。

 

 

このミシェルの妻・アリスは、自分がカウンセリングを担当している患者と不倫をしているんだけど、相手のジョセフは、アリスに興味が無いんです。仕方なく相手をしているという感じ。アリスだって気が付くだろうと思うんだけど、全く動じずにジョセフに迫るのよ。ただ、無料のSEX相手が欲しいみたいに見えて、嫌な女だったなぁ。これじゃ、ミシェルも気持ちが行かないですよ。

 

この二人とは全く関係無いエヴリーヌとマリオン。パリで出会い、情熱的な愛を交わしますが、エヴリーヌには、一時のアヴァンチュールなので、マリオンは捨てられてしまいます。でも、エヴリーヌを忘れられないマリオンは、彼女を追って行くんです。この二人の関係は、とっても良く解るような気がしました。大人の女性と、若い女性なので、恋愛に対する考え方が違うんです。そこが、面白いと思いました。この二人、山間の町には全く関係無いように思うんだけど、オッ!というところで関わってきます。そして、大事になって行くんです。この絡み方が上手く出来ていたなぁと思いました。

 

 

そして最後にアルマンという男性は、コートジボワールで出会い系サギをしています。そうです、ミシェルが引っかかる出会い系サギの相手が、このアルマンになるんです。アルマンは、あの手この手でお金を引っ張って、送金をして貰うのですが、まだ、なんでこんなベタな嘘に引っかかるかなぁという内容なんです。何で嘘だって解らないの?どう考えても、母親が病気とかあり得ないでしょ。家族の誰かが病気でお金が必要というのは、全て詐欺ですから。一緒に病院にお見舞いにいって、医者の話を聞いてからお金をあげるならともかく、ただ、渡すなんて、バカですからね。引っかかっている人、それ、詐欺ですから。

 

色々な人々の人生が狂って行き、殺人が起こってしまうというところが、面白いけど、笑って良いのかという感じでした。でも、面白いのよねぇ。2年前の東京国際映画祭の感想でも書いたけど、この映画は、面白いです。これは、観客賞を貰いますよ。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。これは、面白いです。そして、最後に全てが理解出来た時の爽快感が、何とも言えずに気持ち良いです。こういう映画って、似たようなものはあるけど、これほど、綺麗にスッキリ解決してくれるのは、あまり無いです。まぁ、解決はしていないのか。でも、一応、誰もが最後まで辿り着いたという感じで、気持ちが良いです。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

P.S : あ、でも、邦題は映画祭の時の方が好きです。確かに”悪なき殺人”かもしれないけど、でも、”動物だけが知っている”の方がシックリします。

 

「悪なき殺人」