「君は永遠にそいつらより若い」を観てきました。
ストーリーは、
児童福祉職への就職が決まり、大学卒業を間近に控え手持ちぶさたな日々を送る堀貝佐世。友人とぐだぐだした日常を過ごしていた彼女だったが、同じ大学の猪乃木楠子と知り合い、過去に痛ましい経験を持つ楠子と独特な関係を紡いでいく。そんなある日、友人の友人である穂峰直が命を落としことをきっかけに、佐世を取り巻く日常の裏に潜んでいた「暴力」と「哀しみ」が露わになっていく。
というお話です。
大学卒業を間近に控え、児童福祉職への就職も決まり、手持ちぶさたな日々を送る堀貝は、身長170cmを超える22歳、処女。変わり者とされているが、さほど自覚はない。後は、卒業論文の提出のみとなり、論文のテーマである内容の調査アンケートを学校の友人たちに頼んでいるところだ。
バイトと学校と下宿を行き来するぐだぐだした日常をすごしている。ある日、頼んでいたアンケートと引き換えに、一限目の物理の授業のノートをとってきてと頼まれた堀貝だが、寝坊をしてしまい、学校に着いたのは授業が終わった後。仕方なく、そのクラスにいた一つ年下の猪乃木に頭を下げて、何とかノートのコピーを貰う事に成功する。
その日から、何となく猪乃木と連絡を取るようになり、仲良くなっていく。そして猪乃木が過去に痛ましい経験を持つことを知り、独特な関係を紡いでいく。
そんな中、友人、穂峰が亡くなり、彼の告別式に行った吉崎の様子がおかしくなる。穂峰は吉崎を通しての友人だが、堀貝は意気投合し、冗談で結婚しようと話をした仲だった。彼は、自宅の下に住む子供がネグレクトを受けており、その子供を勝手に保護したことで警察に捕まったことがあった。とても優しく、意志の強い人だと思っていたのだが、事故死ではなく、自殺だったらしい。
堀貝を取り巻く日常の裏に潜む「暴力」と「哀しみ」が顔を見せ始め、それぞれの本当の顔が見えてくる。後は、映画を観てくださいね。
この映画、最初は、それほど何も感じるところがないんだけど、観ていると、じわじわと、それぞれの人の心に潜む暗い影が見えてきて、堀貝の目を通して、社会の闇に気が付いていくというお話でした。
堀貝は恵まれていて、就職も決まり、あとは卒業を待つだけ。周りの同級生に妬まれたりして、ちょっと嫌な思いをしています。でも、堀貝だって、簡単に就職できた訳ではなく、やりたい仕事だったし、努力したのだと思いますよ。飄々として見えるので、それが伝わらないだけなのだと思いました。
そんな堀貝が出会ったのが猪乃木という可愛い女性で、いつもニット帽をかぶっていました。それには、ある理由があるのですが、それは最後の方に解ってきます。そこには、彼女の暗い過去の出来事があり、それによって、彼女はずっと過去を引きずって生きていました。堀貝は、彼女の過去など知らずに仲良くなり、親密になっていきます。
よく笑い、一緒に楽しく過ごしている猪乃木に、自分が何故、児童福祉職に就いたのかと聞かれて、堀貝は、その昔、TVで見た行方不明者の少年の話をします。ただ、TVで見ただけだけど、上手く言えないけど、彼に声をかけたいと思ったという堀貝に、猪乃木は感動したのかなと思いました。私も感動しましたもん。言葉には言い表しにくいけど、少年に、「君は永遠にそいつらより若い」と言ってあげたいと堀貝が言うんです。その、彼女の純粋さというか、会ったこともない少年に寄り添って声を掛けているような堀貝の言葉は、何故か、心に響くんです。
人と人との繋がりが薄くなっている現代社会で、周りには悪意が沢山あり、それに傷ついている人々は沢山いるのに、ほとんどの人は、何も見なかったことにして、どんどんと忘れていく中で、この堀貝は、たった一つのTVのニュースを、いつまでも心に止めて、その少年に寄り添っているんです。
堀貝は、軽くていい加減に見えるけど、凄く心が広くて、頼りになって、人の心が解る女性なんだと思うんです。でも、周りは、表面しか見ずに、妬んだり、軽蔑したりするけど、解る人には伝わるみたいで、後輩から悩みを打ち明けられたり、結構、頼りにされている姿も見えました。きっと堀貝は、よい児童福祉士になるんじゃないかなと思いました。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。はっきりと、何か結末がついたりする映画ではありませんが、何か、雰囲気がとても良くて、人って、もう少し周りに気を付けたり、優しい心を持つべきなんじゃないかなという気持ちになりました。私は、好きな映画です。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。![]()
「君は永遠にそいつらより若い」






