「ライトハウス」を観てきました。
ストーリーは、
1890年代、ニューイングランドの孤島。4週間にわたり灯台と島の管理をおこなうため、2人の灯台守が島にやってきた。ベテランのトーマス・ウェイクと未経験の若者イーフレイム・ウィンズローは、初日からそりが合わずに衝突を繰り返す。険悪な雰囲気の中、島を襲った嵐により、2人は島に閉じ込められてしまう。
というお話です。
1890年代、ニューイングランドの孤島に2人の灯台守がやって来る。 彼らにはこれから4週間に渡って、灯台と島の管理を行う仕事が任されていた。 上陸した2人は、灯台守の建物に入り、それぞれの持ち場を確認しますが、灯台の場所には、トーマスのみが鍵を持って入り、イーフレイムには入らせません。一度入りたいというイーフレイムに、まだ早いというトーマスでした。
そんな言い合いもあり、ベテラン、トーマス・ウェイクと未経験の若者イーフレイム・ウィンズローは、そりが合わずに初日から衝突を繰り返します。 険悪な雰囲気のまま、トーマスは次々と仕事をイーフレイムに指示をし、イーフレイムは休む間もなく、油を運び、掃除をし、言われた仕事を完璧と言ってよいほど必死でこなします。
そろそろ灯台に上らせてもらえるかと頼むのですが、トーマスは新人を灯台に入れることはありませんでした。そしてそろそろ期日の4週間が経ち、船が迎えに来る日になるのですが、やってきた嵐のせいで海は荒れて船は来ず、2人は島に孤立状態になってしまいます。
いつまでたっても船は来ず、食料も水に浸ってしまい、水も無いような状態になります。仕方なく酒を飲むしかなく、二人は段々と精神的に不安定になっていき、現実と空想の違いが判らなくなって・・・あとは、映画を観てくださいね。
この映画は、限られた閉鎖空間で、人間二人がどう変わっていってしまうかというお話でした。全編、モノクロで描かれており、その迫ってくるような圧迫感が、怖さと息苦しさを観るものに与えて、何とも言えない恐怖を覚える映画でした。
実際にあった事件を元に描かれている映画らしく、もし、こんな風に、ある島にある灯台に、2人だけで取り残されて、食べるものも飲むものも失くなっていき、どうしたらいいんだという状態になったら、現実と空想の境目が判らなくなるというのは、実際にあるのだろうなと思いました。
新人のイーフレイムは、初めての灯台守の仕事で、どうも話を聞いていると、やっと手に入れた仕事のようでした。そして、あの灯台の光を、一度で良いから、直に見たいと思っていたようでした。気持ちはわかりますよね。自分が守る光がどんなものか、そりゃ、一度は見てみたいと思うと思います。そして、ベテランのトーマスは、本当なら見せてやるべきじゃないのかなと思いました。
でもね、このトーマス、ちょっと変わっていました。というか、なに?あの灯台の光って、そんなに魅了されるようなものなの?ただ、光が強いだけのような気がするけど、何故か、トーマスは、光を見ると、まるで夜に虫達が光に集まり衝突を繰り返すように、光しか見えなくなるように見えました。光を浴びると、まるで大麻を吸ったように、ぼんやり気持ちよくなったような表情で、そこに座り込むんです。なんでなの?
イーフレイムは、宿舎のベッドで、人魚の人形を見つけます。何となく捨てられずに持っているのですが、その日から、人魚の夢を見るようになります。海の男は、人魚の歌声に誘われ、海に引き込まれて死ぬという伝説があり、イーフレイムは、人魚に殺されるのではないかという、悪夢を見るようになり、夜に眠れなくなります。すると、トーマスが、以前の相棒が、人魚の話をするようになり、おかしくなったと話し、イーフレイムは、どんどん不安が募っていきます。
もー、酷いでしょ。状況も、トーマスも、新人のイーフレイムを追い詰めるようなことをして、イーフレイムは、どんどん精神的に追い詰められてしまうんです。そりゃ、おかしくなっていくわよね。あまりにも、トーマスが意地悪で、イーフレイムが可哀そうになりました。灯台の光は新人には見せられないというんだけど、そんな意地悪するのっておかしいでしょ。二人だけで灯台を守るんですよ。二人ともが、灯台の光を守れるようにしておかなければ、もし一人が倒れた時にどうするんでしょうか。光が消えたら、船が航行出来なくなるんだから大変でしょ。ちゃんとどちらもが管理出来るようにするのが、ベテランの務めだと思うけど、変な人だなぁと思いました。
そんな状況の中、いざ、船が来ないとなった時、新人なら壊れるわよね。先輩は変な人だし、憧れていた灯台の光は見せて貰えないし、食べ物や水が無くなっていくし、どうするんだって焦っちゃうと思うんです。普通なら、先輩がなだめたり、連絡の取り方を考えたりするでしょ。灯台なんだから、光でモールス信号を送ったりも出来るハズでしょ。それなのに、ずーっと酒を飲んだくれていて、酷い人でした。
追い詰められる人間の恐怖や状況がよく描かれていて、凄かったです。映像も、単色なので、その恐怖が増長されて、逃げ場がないような気持になりました。ウィレム・デフォーさんとロバート・パティンソンさんの二人の演技合戦が、凄かったです。ロバートさん、本当に演技が凄くなりましたね。「トワイライト」の頃のヴァンパイア役は、わざとらしくて私はダメだったのですが、その頃から比べると、格段に上手くなっていて、今回も彼の恐怖が皮膚から感じられました。いやぁ、怖かった。
内容としては本当に単純なものなのですが、二人だけでここまで深く考えさせるお話になるとは思いませんでした。恐ろしいです。人間の怖さが描かれていました。あ、それと、カモメの怖さも描かれていました。カモメ、怖いっす。目の前で威嚇されたら、あの大きさですから、怖いです。もー、カモメはかわいいままでいて欲しいな。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。派手な映画ではありませんが、単館系の映画をよく観る方には、好まれる作品だと思いました。アクションやサスペンスなど、王道を行く作品ではないので、難しい作品が嫌な方は、ちょっと止めた方がよいかもしれません。でも、お二人の演技はすごかったです。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ライトハウス」