「二人ノ世界」素晴らしい映画でした。どうして話題に上がらないのか不思議です。観て欲しい! | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「二人ノ世界」を観てきました。

 

ストーリーは、

バイク事故による頸椎損傷のために36歳で首から下の自由を失った俊作のもとに、目の不自由な女性・華恵がヘルパーとしてやってくる。心を閉ざし悪態をつく俊作に、いら立ちを募らせる華恵だったが、目の見えない彼女もまた、人には言えない大きな喪失感を抱えていた。

というお話です。

 

 

バイク事故で頸椎を損傷し首から下が全く動かなくなった俊作は、新しいヘルパーが来る度に、セクハラ発言をして辞めさせてしまう。年老いた父親が面倒を見てくれているが、さすがに無理になってきて、何とか俊作にヘルパーを付けたいと思って、地域ラジオの求人広告にヘルパー募集を出してみた。

すると女性からの応募があり、訪ねてきたのは、目の見えない華恵だった。ヘルパーとしての免許も無く、経験も無いと言い、出来るのかと聞くと、やってみないと分からないという。俊作の父親は、そんな華恵を気に入り、ヘルパーとして雇う事に決める。彼女は、亡くなった俊作の母親に似ているらしい。



 

心を閉ざし暴言を吐いてばかりの俊作にいら立ちを募らせる華恵だったが、視力を失った彼女自身も、人には言えない大きな喪失感を抱えていた。二人はぶつかり合いながらも、介護生活の中で次第に惹かれあっていく。

ある日、俊作の父親が華恵に一緒に行って欲しい所があるというのでついていくと、病院であり、父親は医者に入院を促されていた。父親は華恵に、全てをあなたに任せるから、俊作の助けになって欲しいと言い、大切な物を渡される。

華恵は、荷が重いと思いながらも、父親の思いを受け取り、俊作との生活を続けて行くのだが・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、全然知らなかったのですが、横浜のジャック&ベティで上映が始まったので、観てみました。2017年に製作された映画らしいのですが、やっと横浜で観れました。林海象監督のプロデュースで、大学生たちが中心になり、第10回日本シナリオ大賞で佳作を受賞した作品を映画化したものです。

 

京都で暮らす、脊椎損傷で首から下が動かなくなってしまった男性の所にやってきたヘルパーは、盲目の女性だったというお話なんです。単純に考えて、盲目でヘルパーが出来るのかというと、難しいんじゃないかと思いますよね。でも、その女性・華恵は、仕事を探しても盲目ということで断られ、仕事が無いんです。生活の為には仕事が必要なのに、どこも雇ってくれません。脊椎損傷の男性・俊作は、誰かの助けが必要だけど、どんなヘルパーが来ても気に入らずに辞めさせてしまい、俊作の父親は困り果てているんです。

 

 

こんな二人が出会い、俊作の父親が華恵を気に入ったことから、二人の生活が始まります。片方は、目は見えるけど身体が動かないし、片方は、自由に動けるけど目が見えない、もー、どうなることやらって感じなんですが、華恵は初めてのヘルパーでも、俊作の父親に教わりながら、丁寧に辛抱強く仕事を進めるんです。適当に良いことを言って誤魔化しながら俊作のヘルプを行うのではなく、真剣に取り組み、真剣だからこそ無駄な話も出来ずに覚えて行くんです。その真摯な行いに、、俊作も嫌がらせが出来なくなり、心が変わっていくんです。

 

ヘルパーさんって本当に大変なお仕事で、何もかも手助けをしなければならないのに、文句を言われセクハラ発言までされたりして、どんなに辛抱強くでも、耐えられなくなることはありますよね。誰もが、助けてくれてありがとうという気持ちを持ってくれれば、ヘルパーの方だって助けてあげなくちゃという思いになるだろうけど、俊作は、自分の不幸をヘルパーさんにぶつけているように見えて、これじゃ、誰が来ても上手く行かないだろうなと思いました。そこへ、華恵のような、自分も障害を抱えていて、その上、仕事をしなければという必死な女性が相手だと、俊作も、文句ばかり言っている自分が恥ずかしく思えてきたのではないかなと思いました。

 

 

華恵は、生まれつき目が見えなかった訳ではなく、子供の頃、片目を失明し、4年ほど前に、もう片方も失明してしまい、全盲になったらしいんです。病気のようでした。彼女は、どうしても生活基盤を立て直したい理由があり、仕事を探していたんですけど、見つからないようでした。全盲でも出来る仕事って、行政は斡旋してくれたりしないのかしら。そういう弱者補助のようなシステムがあると思うけど、華恵はそういう事に頼らずに、自分で探しているようでした。難しいですよね。

 

俊作と華恵の生活が始まり、進んで行くと、俊作は、その昔は素晴らしい画家だった事が判ってきたり、華恵にも家庭があったことが判ってくるんです。それぞれに生活があったのに、失くしてしまったという喪失感を抱えたままなんです。俊作は、生きることに絶望している感があるのですが、華恵は、ある目的の為に、生活を立て直さなければという思いがあり、見た目よりは前向きなんです。なので、段々と華恵に引っ張られて、俊作も、少しづつ、前向きになって行く様子が見られました。二人で喧嘩をしながらも、何となくテンポが合っていき、生きることに前向きになる姿が、ゆっくりと描かれていて、とても良かったです。

 

 

二人は前向きになって行くんだけど、一方で、ある事が起こっていて、順調に行くかと思われていたけど・・・という状況に陥っていきます。色々な問題が起こると、やっぱり助けが必要な障がい者ということを思い知らされることになるんです。キツい事を言われたりして、観ていて悲しくなりました。人間って、お金が関わってくると、どうして優しい気持ちが一つも無くなるのかしら。

 

華恵が「迷惑かけないで、どうやって生きろと言うんですっ!」と叫ぶ場面があるのですが、観ていて苦しくなりました。俊作の親族が、華恵に迷惑をかけるなって言うんです。酷いでしょ。誰かが転んだら助けるのは当たり前で、なんで助けるのが迷惑と思ってしまうのか。明日には、自分が障がいを負うかもしれないという考えが無いんですよ。どんな人だって、事故で動けなくなる危険はあるし、目も見えなくなる危険はあるんです。今、たまたま問題が無いけど、明日は我が身なのにね。そういう想像力の無い人間は、罰が当たれば良いのにって思っちゃいました。あまり詳しくは書けないけど、私は、とっても納得の出来る、良い映画だったと思います。

 

 

私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。こんなに良い映画なのに、話題にならないのって、悲しいなぁ。こういう良い映画を、もっと映画評論家とかが宣伝してあげるべきなのにね。どうしてもライターさんとかは、お金が貰える大きな映画しか紹介しないから、信用が出来ないんです。特に、海外に住んでいて韓国映画や中国映画ばかり押す人とか、日本人が観る映画なんだから、まず良い邦画を紹介すべきでしょ。日本が嫌いなら、日本相手に仕事をしなければ良いのに。他の国では相手にして貰えないのでしょうけどね。あ、つい、毒が出てしまった。スミマセン。良い映画だったのに、ごめんなさい。この映画、まだ、公開してくれているところあるかしら。まだ、配信はされていないようです。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「二人ノ世界」