「ドリームランド」を観てきました。
ストーリーは、
1930年代。テキサスの荒涼とした地に暮らす17歳のユージンは、大怪我を負った女性が納屋にいるのを発見する。彼女は地元の銀行を襲撃して警察から追われている強盗犯アリソンだった。危険人物だと知りながらもアリソンに惹かれたユージンは、彼女を匿い行動を共にすることに。警察の包囲網を逃れて自由を手にしたいアリソンと、希望に満ちた新天地への憧憬を募らせるユージンだったが
というお話です。
1900年代前半頃、テキサスには沢山の人々が夢を持って移住してきた。しかし、着いて見ると荒涼とした乾燥地帯が続いていることに愕然とする。荒地には作物が育たず、最近は大きな砂嵐が起きるようになり、多くの人々はその地を去っていった。
1930年代半ば、そんなテキサスに暮らす17歳のユージンは、ある夜、納屋で大ケガを負った女性と出くわす。彼女こそが地元の銀行を襲撃し、警察から追われている強盗犯アリソンだった。
冒険小説やヒーロー小説が大好きだったユージンは、危険な人物だと知りながらもアリソンに惹かれていき、彼女を匿うことにする。
ユージンの現在の父親は義父であり、本当の父親は、彼が小さい頃に夢の土地を目指して家を出て行ってしまった。6歳の頃、ユージン宛に”楽園を見つけた”という手紙を最後に連絡が無くなってしまったのだ。ユージンは、いつの日か、父のいる楽園=ドリームランドに行くことをずっと夢見ていたのだった。
捜査の包囲網をかわし、自由をつかみ取ろうとするアリソンと、希望に満ちた新天地への憧憬を膨らませるユージン。過酷な現実から逃れるという夢を共有したふたりは、果たして“ドリームランド”へたどり着けるのだろうか。(公式HPより） 後は、映画を観てくださいね。
この映画、レトロな雰囲気で、ちょっと昔の成長期のアメリカを描いていました。苦しい世界で、みんな、それぞれに頑張っていて、そんな大人の社会に片足を踏み込んだ青年が、美しい犯罪者に出会って、世界の広さを知って行くという映画でした。
銀行強盗をして、殺人を犯したアリソンは、相棒を失い、貧しい家の納屋に逃げ込みます。その納屋の持ち主の家のユージンは、怪我をして隠れているアリソンを見つけて、驚いて恐れながらも、心が躍ります。彼は、冒険小説が大好きで、犯罪を犯しながらも夢を追う主人公に魅了されていたからでした。退屈な毎日を過ごしてきたユージンには、小説の中から抜け出てきたようなアリソンは、世界への入り口に見えたのだと思います。
アリソンを匿い、段々と窮地に追い詰められていくユージンですが、観ていると、何となく、そんな自分を楽しんでいるような感じにも見えるんです。それまで、何も起きない田舎町で、親に言われるままの毎日を送っていたユージンにとって、新しい事が起きるのは、恐怖と共に、楽しさもあったのだと思いました。
ユージンは、小さな頃に本当の父親と別れて、義父と暮らして来ました。新しい父親を認めていない訳では無いのですが、楽園に行ったという本当の父親は、ユージンにとって、尊敬する理想の父親に思えていたのだと思います。
そんなユージンと犯罪者のアリソン。アリソンは、強盗する過程で、人殺しをしてしまっているのですが、それを誤魔化して、ユージンに警察の誤射で人が死んでいて、自分は殺していないと嘘を言います。無垢なユージンは、アリソンを信じて、彼女を助けるのですが、色々な出来事が起きて行くうちに、段々と真実に気が付き始めていたと思いました。
アリソンは、口では良い事を言っているけど、実は、悪い女性で、自分に取引を持ち掛けているけど、それは現実的に無理な事だと分かっていたと思うんです。それでも、ユージンにとって、アリソンは輝く未来であり、嘘と判りながらも、信じて突き進むしかなかったのかなと思いました。可哀想ですよね。だって、未来が無い土地で家族に縛られ、本当の父親が楽園を見つけたと言っているのに、父親の所に行けないんですから。
そんなどうしようもない世界で出会った二人の物語でした。ストーリーは良かったし、雰囲気も良いし、俳優も良かったんだけど、イマイチ、物足りない感はありました。良い映画とは思うんだけど、何か、もう一つスパイスがあったら盛り上がったんじゃないかなと思います。ユージンの妹がナレーターをしているんだけど、もう少し、兄の事に関わっても良かったんじゃないかなって思いました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。大きな波のある映画ではないけど、心の動きが分かり易く描かれていて、小さな町しか知らなかった青年が、一つの強盗事件によって人生が変わって行く姿が、時代は変わっても、同じような事は沢山起きているんだろうと思わせるような感じでした。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ドリームランド」
