「パリのどこかで、あなたと」をオンライン試写会で観ました。COCO(coco - 映画レビューサイト)さんの特別試写会でした。
ストーリーは、
がんの免疫治療の研究者であるメラニーは、過去の恋愛を引きずりながらも仕事に追われる日々を送っている。一方、倉庫で働くレミーは、同僚が解雇されたのに自分だけ昇進することに罪悪感を抱えていた。ストレスからメラニーは過眠症に、レミーは不眠症に陥り、それぞれセラピーに通い始める。マッチングアプリで出会った男性たちと一夜限りの関係を繰り返すメラニーと、職場で出会った女性とデートするも距離を縮められないレミーだったが・・・。
というお話です。
パリの隣り合うアパートメントでひとり暮らしをしている30歳のメラニーとレミー。がんの免疫治療の研究者として働くメラニーは、元恋人との恋愛を引きずりながらも仕事に追われる日々を過ごしていた。一方、倉庫で働くレミーは、同僚が解雇されるも自分だけ昇進することへの罪悪感とストレスを抱えていた。その影響から、メラニーはいくら寝ても寝足りない過眠症に、レミーは眠れない不眠症に苦しむ日々が続き、2人はそれぞれセラピーに通い始める。
そんな中、友人からマッチングアプリを勧められたメラニーは、出会った男性たちと一夜限りの関係を繰り返していたが、過去の失恋で空いた心の穴を埋められずに思い悩む。かたや、元同僚への罪悪感を抱えながら孤独な日々を送るレミーは、職場で出会った女性とデートをするも、うまく距離を縮めることができない。
それぞれに違うセラピーに通い始めた二人は、それぞれの先生に日々の生活を語り始める。表面的には、日々、あった事と、上手くいかない事を話しているのだが、段々と、心の奥底に潜んでいた過去のトラウマを吐き出して行く。メラニーは、過去の両親の離婚、母親との確執など、今まで気が付かなかった心の傷に気が付いて行く。一方、レミーは、沢山の家族と良い関係を築いていると思い込んでいたのだが、両親との間にどうしても踏み込めない部分がある事に気が付き、それに向き合う努力をすることにする。
都会の喧騒の中で、同じ電車に乗り、同じ店で買い物をして、同じように孤独を埋められなかった2人は、道ですれ違うことはあっても知り合うことはなかった。世界で最も美しい街・パリに住む2人の人生が交わることは無いと思われたが、自分の人生に向き合う事を選択した二人は、新しい道へと踏み出し始める。そして、もしかしたら、同じ町で出会って・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画観始めると、主人公の二人、すぐ隣に住んでいるにも関わらず、何度も店や通勤などで顔を合わせながらも全く気が付かないんです。一緒に並んで歩いていても知り合わないので、観ていると、いつ二人が知り合うのか、イライラしてくるんです。男女の違いはあれど、ほとんど同じような悩みを抱えており、カウンセラーに通って、職場でも頑張って、パートナーを作ろうとしてと、それぞれに自分の生活を良くしようと努力しているんです。そんな二人の生活を観ているこちらは、何で知り合わないのよぉ~って思いながら観る事になります。
二人は、カウンセラーの先生に言われた通りに、自分の生活について話をして行きます。メラニーは、女性のカウンセラーと友達のように話をしているのですが、レミーの方は、定年間地かの男性カウンセラーに言われるままに答えて行くのですが、本当にこんなんで僕の悩みというか不眠は治るんだろうかと、とても懐疑的なんです。それでも、二人とも素直な性格なので、途中で行かなくなることは無く、ちゃんと通うんです。
笑っちゃうんだけど、この二人のカウンセラー、実は父と娘なんですよ。主人公の二人は近所に住んでいるので、通っているカウンセラーも同じ場所なんです。医者まで一緒なのに、どうして出会わないのよぉ~って、またも、観ているこちらはジレジレしちゃうんです。
最初はそんな風で、この映画、どうなっちゃうのかしら、本当に恋愛映画になるのかしらなんて思ってしまいます。そして観て行くと、恋愛映画というよりも、現代の人間がいかに多くのストレスを抱えて、まして映画では出てきませんが、コロナなどの社会の影響で精神的に不安定になっていて、漠然と将来への不安を抱えて、知らない内に病んでしまっているという事に気が付いて行きます。
いや、でも、私もそうだけど、このコロナ禍で、この先、どうなっちゃうんだろうと、不安になります。だって、少し良くなるのかと思ったら、またコロナの人数が増えて、飲食店も時間短縮してとか言われているでしょ。もしコロナにかかったら2週間も隔離されて、自営の建築士の私はお客様にも会えず、現場にも行けなくなり、会社、潰れちゃうよね。笑いごとではなく、本当に不安になります。私なんてオバサンだから、下手したら重症になってしまうかもしれない。本当に怖いです。気を付けてはいても、どこでどうなるか。
この二人は、それぞれに自分では気が付いていなかったんだけど、心の奥深くに大きな悩みを抱えていて、それを無意識に見ないようにしていたんです。それが、カウンセラーによって引き出され、重荷を解いていくと、不安も溶けて行くのですが、それでも二人が出会わないよぉ~!!いや、マジでどうなんのぉ~って思いました。
メラニーは、付き合っていた彼と別れて1年経っても彼を忘れられず、悩んでいるんです。彼女の話を聞いていると、好きだから彼に合わせていた感じで、合ってない相手だったみたいなんですよ。それでも好きだったようで新しい出会いに踏み切れず、友人にマッチングアプリを使えと言われて試し始めるんです。変な男とばかり出会って、笑っちゃうけど、イマドキの出会いってこんな感じなのかしら。出会っても出会っても、良い相手に会わないんですよねぇ。うーん。
レミーという男性はとても優しい人で、人にこうしなさいと言われると、断れない性格なんです。近所の家族が猫を飼うんだけど、白い猫はあなたに似合うからと言われて、無理やり飼わされるんです。最初は困っているんだけど、段々と凄く可愛がるようになって、名前を”ナゲット”ってつけるんです。もう、本当に溺愛しているんだけど、ある日、窓が開いていて、逃げてしまうんです。ずっと探すんだけど見つからず、落ち込むんですよ。その猫の可愛がり方が凄くキュートで、その部分を観るだけでも、この映画を観てよかったと思えるほどでした。猫の顛末もお楽しみにね。レミー役のフランソワ・シビルさんは、”ウルフルズ・コール”の主役で、今、フランスで人気の俳優さんのようです。
この映画、最初は恋愛映画かと思ったから、どうなるんだろうと思いましたが、観て行くと現代人が抱える多くの悩みとどう向き合っていくのか、一人で悩んでいるより、きっと誰かに相談した方が良い、人との出会いが先へ進む道を探す指標となるということが描かれているようで、観終わった時、凄く気持ちよくなりました。不安で、悩んで、眠れなくて、辛くて、どうしようと思っても、きっとどうにかなるわよって教えてくれるような映画だったんです。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。私は、とても好きな映画でした。二人が出会えなくてイライラするんだけど、二人が出会うまでにこんなに色々な出来事があって、やっと出会えるんだって思えました。悩んで苦しんでいるのは自分だけかと思っていたけど、誰もが色々なことを抱えて生きているんだから大丈夫って感じが伝わってきて、幸せになりました。私は白猫のナゲットが一番のお気に入りですけどね。本当に凄く可愛いです。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「パリのどこかで、あなたと」