「Malu 夢路」を観てきました。
ストーリーは、
心を病んだ母のもと、幼い頃に決別したランとホンの姉妹。他人も同然になった2人は母の死を機に20年ぶりに再会し、同居生活をふたたびスタートさせる。ある朝、姉のホンが目を覚ますと、そこにランの姿はなかった。数年後、ホンのもとに日本でランの遺体が発見されたとの知らせが届く。ホンは仕事も家庭も放り出し、日本へと旅立つが・・・。
というお話です。
心を病んだ母のもとに育ち、幼い頃に引き裂かれた姉妹ホンとラン。
姉のホンは祖母に引き取られ、妹のランは母と共に生活することになるが、母の死を機に20年ぶりに再会。 互いに、幼き頃の出来事や、離れ離れになった成長過程で心に傷を負い、亡き母や家族へのわだかまりを持ったまま、奇妙な同居生活が始まる。
しかし、血の繋がりはあれど他人も同然になった姉妹が一緒に過ごす時間は、どこかしら歪なものだった。ある朝、ホンが目を覚ますとそこにランの姿はなく、その失踪から数年後、ランの遺体が日本で発見されたという知らせが届く。
居てもたっても居られず、仕事も家庭も放り出して日本へ旅立ったホンは、初めて訪れる街を彷徨いながら、亡き妹が生きた証を辿る。妹のルームメイトに案内された生前二人が住んでいた部屋、そこに残された日記、見覚えのある懐かしい白のサマードレス。
そして日記に綴られていた内容からあぶり出された男。異国の地で妹の幻影を追い続ける中、まるで残像のように浮かび上がるランの謎めいた微笑みと眼差しの先に、姉はなにを思い、なにを知ることになるのか。 後は、映画を観て下さいね。
マレーシアの監督作品で、日本とマレーシアの合作です。東京国際映画祭2017で監督賞に輝き、この作品の制作に繋がったようです。
最初の方は、母親の元に残されたランが主人公のように描かれていて、心を病んだ母親を献身的に面倒を見ながら働いているんです。時々、姉のホンも一緒に住んでいたのに、母親が無理心中を図ろうとし、未遂で終った後、姉のホンだけ祖母に引き取られていったという昔のことを思い出します。姉と別れたのは、ランがまだ4~5歳の頃だったのかな。そんな日々を過ごしていると、母親が亡くなり、20年ぶりに姉のホンと会います。
姉のホンは、祖母の家で良い生活をし、教育を受けて、現在は大手の会社に勤めているか、または自分で会社をやっているようでした。裕福で、妹のランにも一緒に住むように勧め、姉妹の日々が始まるのですが、ある日、プイッと出て行ってしまい、行方が判らなくなります。そこから、今度は、姉が主人公のようになり、過去を思い出します。
数年後、突然に日本から電話があり、妹が亡くなったと知らされます。急いで日本に行くと、”首を絞められたらしい。”と言われます。もちろん、日本の警察も捜査をしているんだろうけど、犯人は見つかっておらず、ホンは、ランの友人という女性に会って、話を聞くと、自分が知らなかった妹の姿が現れてきます。偽名を使いホステスをしていたらしく、姉は理解が出来ずに茫然とします。
姉のホンからすれば、マレーシアで一緒に暮らしていれば、お金にも困らず、普通に生活が出来ていたのに、なんで日本なんかに来て、水商売をしていたのか、納得出来ないようでした。でも、ランからすれば、ホンは既に家族という枠から外れてしまっていて、世話になるのが辛かったのだと思いました。
日本に来たランは母の束縛も無く、やっと自分一人の生き方をしていたのではないかなと思います。マレーシアでは母の為に生きていたし、母が亡くなって姉の所では扶養されているので心苦しい気持ちがあったと思うんです。でも、日本でそれまでの自分を知らない人々と暮らして、やっと自由に飛ぶことが出来たんだろうなって思います。でも、何処にでも、自由に見える人間を束縛したくなる人間がいて、ランは犠牲になってしまいます。やっと羽ばたけたと思ったのに、可愛そうでした。
この映画、中心になる人物が変わったり、何が核なのか解からず、ちょっと観ていて辛くなりました。理解するのに時間がかかるので、途中で面倒になっちゃうんです。もう少し、シンプルに描いてくれていれば、解りやすかったんじゃないかな。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。ちょっと、一般的な邦画や洋画とは違う、独特な味のする映画でした。面白いといって薦める感じでは無いのですが、何となく見入ってしまうというような映画でした。不思議な感覚の映画に興味があるようでしたら、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「Malu 夢路」