【TIFF2020】「皮膚を売った男」面白い展開の映画でした。気に入った作品の一つです。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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東京国際映画祭2020で「皮膚を売った男」(TOKYOプレミア)を観ました。ヴェネチア映画祭参加作品です。

 

ストーリーは

 

シリアに住む男が、好きな女性に列車の中でプロポーズをする。しかし、その時に”自由になりたい。革命だ。”と口走ってしまったばかりに、逮捕されてしまう。誤認逮捕だと言っても聞いてもらえず、仕方なく、国外へ逃げるしかなくなり、レバノンに逃げる。

 

彼女とは逢えなくなり、彼女は母親の薦めでお見合いをし、大使館員としてベルギーに赴任する男性と結婚することになってしまう。

 

彼女を取り戻したいサム・アリは、ある日、忍び込んだパーティーで出会った現代アートの巨匠から驚愕のオファーを受ける。彼の皮膚に刺青を掘り、アートにすると言うのだ。彼の身体の一部がアートとなり、それを販売するという。今のままではパスポートも無く、何処へも行く事が出来ず、彼女を取り戻すことも出来ない。

 

決心したサム・アリは、背中の皮膚を芸術家に売り、アート作品としてベルギーの美術館に飾られることとなる。彼の背中には、美しいアートが施され、展示会の時間中、芸術品として展示されるのだ。もちろん、販売もされることとなり、販売価格の一部をサム・アリは受け取ることとなる。

 

拘束される時間はあるものの、お金を手に入れたサム・アリは、愛する女性を迎えに行こうと考えるのだが・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

 

この映画、面白かったです。この発想は、あまり思いつかないですよね。確かに、人を使ったアート作品はありますが、こんな風に契約をして、展示されたりするなんて、ちょっとびっくりでした。そんなアートにとんでもない値段が付き、売り買いされるというのも、不思議でした。やっぱり、お金持ちは、ちょっと考え方が違うのかな。

 

シリアでは内戦が酷くて、サム・アリは国外に逃げるんだけど、家族はシリアに残っているんです。スカイプなどで顔を見ながら電話をすると、内戦による影響があって、家族が苦しんでいる姿を見るのですが、自分はシリアに帰る事は出来ず、自分だけ逃げ出したような気持ちになり苦しみます。元々、自分の軽口が発端で、逃げ出すような恰好になってしまったわけだし、それも彼女と調子に乗っての事だから、自分が悪いでしょ。だから、せめて家族にお金を送りたいと言うのも、皮膚を売った理由の一つだと思うんです。

 

でも、皮膚を売ってしまったら、色々な制約があり、なんたって芸術品だから、その管理も大変なんです。アリは、適当な生活をしているのですが、ある日、背中の皮膚に出来物が吹き出してしまい、芸術家が秘書のソラヤに酷く起こります。品質管理がなってない!と怒るんです。いやぁ、でも、人間だから、四六時中、食べ物や生活リズムを監視する訳にもいきませんよね。生きている芸術品は、本当に大変だと思いました。こんなもん、ずーっと同じように管理なんかできないですよ。年をとれば皮膚は弛んでくるし、こんなあり得ない芸術品にお金を出すなんて、やっぱり理解出来ないわ。

 

 

アリは、分厚い契約書にサインをしてしまったので、芸術家の言う通りに過ごさなければなりません。展示会では、一定の時間、同じ場所で背中を披露しなければならないし、誰かに買われれば、毎日とは言われないけど、週に何日、何時間はその場所に座りに行かなければいけないし、結構、芸術品も大変だなぁ~と思ってしまいました。

 

以前、吉田戦車先生の漫画で、”人間国宝”の人に、誰かが近づいて”辛いか?”って聞く場面があったなぁと思い出しました。「戦え軍人くん」か「伝染るんです」だったかしら。確か”人間国宝”は頷いたんじゃなかったかな。面白かったな。

 

で、ベルギーでそんなことをして暮らしていたアリですが、ある事が原因で訴えられて、裁判になるのですが、そこからがとっても面白い展開でした。そこは、大切な事なのでネタバレ出来ませんが、ちょっと驚くような展開でしたよ。そう来るか!っていう感じで、楽しめました。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。この映画は面白いです。日本公開されたら、みんな見てくれると思うんだけどなぁ。公開して欲しいなぁ。ちゃんと起承転結がキッチリついているし、テンポも良いので、ウケると思います。もし、日本公開したら、ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「皮膚を売った男」 https://2020.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3301TKP21