「ストックホルム・ケース」をオンライン試写会で観ました。Fan's Voiceさん(@fansvoicejp)の独占最速試写会で、映画の後にロバート・バドロー監督のトークショーがありました。
ストーリーは、
何をやっても上手くいかない悪党のラースは、自由の国アメリカに逃れるためストックホルムの銀行に強盗に入る。ビアンカという女性を含む3人を人質に取り、刑務所に収監されていた仲間のグンナーを釈放させることに成功したラースは、続けて人質と交換に金と逃走車を要求。しかし、警察が彼らを銀行の中に封じ込める作戦に出たことで事態は長期化。次第に犯人と人質の関係だったラースとビアンカたちの間に、不思議な共感が芽生え始めていく。
というお話です。
何をやっても上手くいかない悪党のラースは自由の国アメリカに逃れるために、アメリカ人風を装いストックホルムの銀行強盗を実行する。彼は幼い娘を持つ銀行員のビアンカを含む3人を人質に取り、犯罪仲間であるグンナーを刑務所から釈放させることに成功。
ストックホルムでは、初めての人質を取った強盗事件で、マスコミも大騒ぎ。銀行の前には、警察だけではなく、多くのマスコミも集まってしまう。
続いてラースは人質と交換に金と逃走車を要求し、グンナーと共に逃走する計画を進めていく。しかし、警察は彼らを銀行の中に封じ込める作戦に打って出る。その上、記者会見をし、人質は酷い状態にあり、既にレイプなどにあっているだろうと話す。ビアンカは、現実とは違う事を平然と話す警察に対して不信感を募らせていく。
どうしたもんかと考えたラースは、ビアンカに防弾チョッキを着せて、人質として連れて行き、逃走車を用意しなければ殺すと言って、ビアンカを撃つ計画を実行に移す。警察と対峙し、要求を言うラースに警察は拒否。ラースはビアンカを撃つと、何故か血が溢れ、ビアンカは目を覚まさない。慌てるラースだが、警察は目の前で人質が殺され、車を用意することに同意する。
現場には報道陣が押し寄せ、事件は長期戦となっていく。ラースは倒れたビアンカを連れて部屋に戻り、ビアンカの様子を見ると、衝撃で失神していたらしく、怪我はしたものの、生きていた。喜ぶラースに、ビアンカや他の人質たちも、何となく共感が芽生え、酷い警察よりも犯人たちに寄り添い始めてしまう。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
1973年にスウェーデンのストックホルムで起こったノルマルム広場強盗事件を元に作られた映画です。この事件によって、「ストックホルム症候群」という言葉が出来ました。これ以降、犯人と共感して協力してしまう人質に対して、この言葉を使うようになったようです。
この映画を観ていて、人質が犯人に共感してしまう気持ちが解らないでもないなぁと思ってしまいました。警察などは、しがらみやメンツなどが大切で、嘘ばかりの報道をして、人質を本気で助ける気があるのかという態度を取ることもあるんですよね。緊迫した中で犯人と一緒にいて、少しでも会話などをしてしまうと、相手が人間だという事に気が付き、強盗が目的で人質を傷つける気持ちはほとんど無いと思ってしまうと、適当な事を言って、自分たちが捕まっているのに危ない事をしている警察にムカついてくるんだろうと思います。観ていて、そう思いましたもん。
素直に車を用意して、お金を渡して、とりあえず人質を解放させるのが先決じゃないの?銃を持って脅しているのに、首相がOKを出さないとか言っている警察はアホですよ。人の命がかかってるんだよ。この態度はダメだよなぁ~と思いました。いくら何でも、ちょっと酷い警察でした。
強盗のラースは、心底悪党という感じではありませんでした。強盗に入ったのに、ラジオを持って行って音楽を流していたり、アメリカっぽいのは、ボブ・ディランでしょとか言って、彼の曲を嬉しそうに聞いている姿は、普通のオジサンでした。ビアンカも普通の主婦で、子供たちの心配をしているお母さんでした。本当に普通の人たちだったのに、何故か事件を起こし、どんどんこじれて行ってしまうという展開が、面白いと思いました。強盗って、短時間に終わらせないと、絶対に失敗するんですよね。その典型のような強盗のやり方でした。
ラースをイーサン・ホーク、仲間のグンナーをマーク・ストロング、人質のビアンカをノオミ・ラパス、が演じていて、密室での緊迫感から、段々と犯人と人質の距離が近づいて、共感してしまう様子が、よく描かれていました。キャストもピッタリでした。真剣なんだろうけど、どっか適当そうなラースを、イーサンがとっても軽く演じていて、気持ちよく観れました。
何か、最初と最後に、事件が終わった後のビアンカの言葉が入るんだけど、凄くその言葉に頷けるような気がしました。酷い目にあったんだけど、何故か忘れられない、悪い思い出としてではなく、何かこう、懐かしいような、そんな雰囲気が感じられて、その事件は人質だったビアンカにとって、良かったのか悪かったのか、どっちだっだのだろうかと考えさせられました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。派手な映画ではないのですが、ちょっとレトロな雰囲気の昔の強盗という感じで、カッコいいというよりも、大丈夫?っていうような感じで良かったですよ。日本で言う昭和の時代が描かれているようで、ちょっとイイ感じです。恐怖が共感に変わっていく心理描写が感動出来ると思います。ぜひ、観に行ってみてください。11月6日、公開です。
ぜひ、楽しんできてくださいね。