「オン・ザ・ロック」を観てきました。
ストーリーは、
ニューヨークで暮らすローラは順風満帆な人生を送っていると思っていたが、夫ディーンが新しい同僚と残業を繰り返すようになり、結婚生活に疑いを抱き始める。そこでローラは、プレイボーイで男女の問題に精通している父フェリックスに相談を持ち掛ける。フェリックスはこの事態を調査するべきだとアドバイスし、父娘2人でディーンを尾行することに。アップタウンのパーティやダウンタウンのホットスポットを一緒に巡る内に2人は距離を近づけていき、自分たち父娘の関係についてある発見をする。
というお話です。
作家をしているローラは順風満帆な人生を送っていると思っていました。ある日、深夜に帰ってきた夫・ディーンがローラに抱きつくのですが、声を聞いて手の動きを止めて寝てしまいます。ローラは、誰かと間違えていて、声を聞いて正気に戻ったのでは･･･と勘繰ってしまいます。ディーンは、仕事が忙しいからと、新しく来た同僚と残業を繰り返すようになり、ローラの疑念は大きくなるばかり。
そこで、ローラはそういう男女の問題に精通しているプレイボーイの男性に相談を持ち掛けます。実は、自分の父親のフェリックスでした。フェリックスはローラにこの事態を調査すべきだとアドバイスし、ディーンを調査する為に、父娘2人で夜のニューヨークへと繰り出します。
真っ赤なオープンカーで街を疾走し、スピードオーバー、信号無視でパトカーに停められてしまいますが、警官の名前を見て、彼の父親や祖父の話を繰り出し、結局、何事もなく放免。フェリックスは画商をやっているのですが、顔が広く、本当に人付合いが上手いので、誰もが彼を好きになってしまいます。
ディーンの乗ったタクシーを追っていたのに、パトカー騒動で見失ってしまい、ディーンの浮気は分からずじまい。フェリックスは、興信所を使いディーンの浮気調査をしますが、何も出ませんでした。
でも、今度、メキシコに会社の仲間と出張に行くはずだというフェリックス。何も聞いていなかったローラですが、その晩、ディーンがメキシコへの出張の話をします。フェリックスの言っていたことが本当だと分かり、父と娘でディーンを調べるために、こっそりメキシコ出張を追いかけることに。そして･･･。後は、映画を観てくださいね。
この映画、ソフィア・コッポラ監督の新作です。とても心温まるような映画で、私は気に入りました。キャスティングがとても良いので、その効果もあるのだと思います。ローラ役のラシダ・ジョーンズさんは、あまり知らないのですが、父親のフェリックス役をビル・マーレイさんが演っているんです。このビル・マーレイがこの役にピッタリで、もー、お父さん、かわいいのよ。パパっていうより、パピー！って言いたくなっちゃうほど可愛いの。
最初に声だけなのですが、父親が”君はいつになっても僕のものだ。”みたいなセリフがあって、その後に”はいはい、分かりました。私はパパのものよ。”みたいな返事があるんです。この言葉で、父親がローラを溺愛している事が解るんです。そして、ところ変わって、既にローラは結婚していて、２児の母親で、小説家で、という生活が映るんです。
ローラは、幸せな生活だと思っているのですが、ある日、夫が深夜に帰ってきた時に不安を感じます。何故か、ローラの声を聞いたとたん、手を止めて寝てしまったんです。あれ？もっとギュッと抱きしめてくれるんじゃないの？って思ったローラは、もしかして誰かと間違えていて、声を聞いて気が付いたんじゃないかって思うんです。
不安になっちゃったローラが父親に相談すると、ここぞとばかりに、男はメスに弱いとか、不安をあおるような事を言って、一緒にディーンの浮気を調べようと張り切っちゃうんですよ。もー、ローラが相談してきてくれた事で嬉しくなっちゃって、その上、ディーンを悪者に出来るかもという期待で大喜びなんです。もう、娘を溺愛する父親の心情が、モロに出まくりなんです。でも、もちろん、それを隠しながら、浮気調査を始めるんですけどね。
そんな父親の気持ちが垣間見える内容で、本当に楽しくなりました。一緒に調査をしながら、フェリックスは自分の行きたいところにも勝手に娘を連れまわし、知り合いに娘を紹介したりして、凄く楽しそうなんです。もう、自分のモノじゃなくなっちゃったと思っていた娘が、やっと自分の所に帰って来てくれたと言わんばかりに、一緒に過ごすんです。
そんな父親を見ながらも、ローラは、やっぱり夫の浮気が気になって、イライラしてしまいます。そして、フェリックスに、”なんで母親を裏切って秘書と浮気をしたのか。”と問い詰めるんです。そんな場面で、ローラの両親にも色々な事があったのだという事が解ります。
フェリックスは、いくつになっても、凄くローラが可愛くて、自分の娘が一番って思っているように見えました。だから、娘を裏切るディーンは許せないしムカつくと思いながら、このまま離婚してくれればローラは自分の所に帰ってくるかもという期待もあり、喜んで一緒に調査をしたんだと思いました。一緒に、色々な所を周っている時のフェリックスの嬉しそうな雰囲気、とっても良かったです。これ、ビル・マーレイだからかなと思うのですが、無表情に見えて仕草とか行動に嬉しさが現れちゃうんです。もー、パパったら、マジでかわいいっ！
これ、ネタバレになっちゃうかもしれないけど、ローラは、父親が自分と一緒に居たいんだなっていう事に気が付いたのだと思うし、フェリックスも、今でも娘が大好きだけど、もう娘と一緒にいたいと思っても居られないのかなっていう事に気が付いたのだと思います。だから、きっと、これからは、もっと父と娘が仲良く、上手く付き合っていけるんじゃないかな。たまには、家族だけじゃなくて、父親にも付き合ってあげて欲しいなって思っちゃいました。
私は、この映画、超！お薦めしたいと思います。私は、とっても気に入ったのですが、単館系映画で微妙な表現なので、みんながみんな、このパパの可愛さに気が付いてくれるか、父と娘の愛に気が付いてくれるのか、ちょっと自信がありません。気が付くと、とても心が温かくなる作品です。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。