「フェアウェル」をオンライン試写会で観ました。Fan's Voiceさん(@fansvoicejp)の独占最速試写会でした。映画の後に、ルル・ワン監督を迎えてのトークショーもあり、楽しめました。
ストーリーは、
ニューヨークに暮らすビリーは、中国にいる祖母が末期がんで余命数週間と知らされる。この事態に、アメリカや日本など世界各国で暮らしていた家族が帰郷し、親戚一同が久しぶりに顔をそろえる。アメリカ育ちのビリーは、大好きなおばあちゃんが残り少ない人生を後悔なく過ごせるよう、病状を本人に打ち明けるべきだと主張するが、中国に住む大叔母がビリーの意見に反対する。中国では助からない病は本人に告げないという伝統があり、ほかの親戚も大叔母に賛同。ビリーと意見が分かれてしまうが・・・。
というお話です。
NYに暮らすビリーと家族に、祖母ナイナイがガンで余命3ヶ月と宣告されたという連絡が入る。両親は祖母ナイナイに会うために中国へ帰郷することになるが、ビリーには来なくて良いと言いNYに残していく。家族全員で帰ったら、何かあるのではないかと勘繰られてしまうからだ。中国ではアメリカとは違い、告知はしない。告知により、精神的に弱ってしまうと思われているからだった。しかし、どうしても祖母に逢いたいと思ったビリーは、後から一人で中国に向かってしまう。
家族は、病のことを本人に悟られないように、集まる口実として、いとこの結婚式をでっちあげる。家族が集まっている所に、突然にビリーが現れ、みんな驚くのだが、ナイナイは来れてよかったと温かく迎えてくれるのだった。
両親に文句を言われながらも、真実を伝えるべきだと訴えるビリーと、悲しませたくないと反対する家族。葛藤の中で過ごす数日間、うまくいかない人生に悩んでいたビリーは、逆にナイナイから生きる力を受け取っていく。
思いつめたビリーは、母に中国に残ってナイナイの世話をしたいと相談するが、「誰も喜ばない」と止められる。様々な感情が爆発したビリーは、幼い頃、ナイナイと離れて知らない土地へ渡り、いかに寂しく不安だったかを涙ながらに母に訴えるのだった。
家族でぶつかったり、慰め合ったりしながら、とうとう結婚式の日を迎える。いとこの結婚相手は日本人。中国、アメリカ、日本という多国籍が集う結婚式は混乱しながらも楽しそうに進んで行く。このまま嘘がバレることなく無事に終える事が出来るのか。
そして帰国の朝、アメリカや日本へ帰る彼女たちが選んだ答えとは?(公式HPより) 後は、映画を観てくださいね。
この映画、監督の周りで起こった事を映画化したそうです。監督も小さな頃にアメリカに移住したそうで、中国にお祖母さんがいらっしゃるようです。そしてお祖母さんが病気になった時、この映画のような事が起こったそうなんです。
アメリカでは告知するのが義務であり、嘘をついたりしたらいけないと決まっているようですが、中国は正反対。一人の命は家族の命と位置付けていて、一般的に告知は行わないそうです。それは病名が身体を壊すと思われており、知らなければ今までと同じように生活を続けて、行けるかもというんです。確かに、あと3ヶ月とか言われたら、3ヶ月という時間を精一杯生きて、燃え尽きちゃうかもしれませんからね。
この映画を観て、この告知義務という事を凄く考えました。本当に言った方が良いのか、言わない方が良いのか。病は気からという言葉もあるように、もしかしたら知らなければ長生きするかもしれない。特に年配者の方は病気の進行も遅くなっているので、自分は病気だと思ってガッカリして動かないよりも、いつも通り、元気に軽い運動などを続けていたら、長生きが出来るかもしれませんよね。
でも、何かやりたい事があるのに病気になってしまったら、やっぱり言って貰った方が良いのかなとも思いました。どこか行きたい場所があったり、逢いたい人がいたり、何かあった場合は、余命を知らせてくれないと、退院してから会いに行こうと思っていたら会えなくて終わってしまいそうですもん。それに、残していく人がいる場合、その人の為に出来るだけの事はして行きたいですもんね。
余命宣告は一長一短があり、どちらが良いなんて決められません。その人によるのかなと思います。でも、この映画のように、年配者の方がそうなった場合は、もしかしたら言わない方が良いのかもしれないなって思いました。だって、既にやりたい事はやって来たわけでしょ。後は楽しむだけという人生になっていたら、あとどれくらいとか、知らない方が長生き出来そうに思いました。
ビリーは、中国人だけどアメリカ育ちなので、最初はもちろん告知するべきだと考えているんです。大好きなお祖母ちゃんには、残された時間を有意義に使って貰いたいと思ったからだと思うんです。でも、中国に行って、親族や周りの人たちとしばらく一緒に暮らしてみると、その地に受け継がれてきた伝統があって、色々な思いもあって、中国の告知をしないで嘘をつくことが、一概に間違っていると思えなくなっていくんです。ビリーは祖母を思って告知をするべきと思うけど、中国の親族も祖母の事を考えて、彼女が幸せな人生を続けて行けるようにと願っているんです。どちらも間違っておらず、思う気持ちは同じなんです。
ビリーは、アメリカで仕事などが上手く行かなくて悩んでいたのですが、自分のルーツである中国の良さにも気が付き、アメリカが一番良いはずだと思いこんでいた気持ちも無くなり、色々な文化の良さや違いを受け入れられるようになって行きます。こだわりが無くなって、自分が出来る事、やりたい事を見つけて行こうと前を見れるようになるんです。うーん、この辺りに感動しました。
そうそう、従兄弟が結婚する相手が日本人で、日本人の女性が出てくるのですが、日本人特有の奥ゆかしさがあり、中国人にはそれが解からないんです。あまり直ぐに反応をしたりしない日本人に、ナイナイが「頭が悪いのかしら。」みたいなことを言っていて、笑ってしまいました。日本人は前に出ないのが美徳とされているのに、前に前に出る中国人にはそれが解からないというのが、本当に良く描かれていました。この辺りも面白かったなぁ。本当に良く見ていると思いました。
この映画、凄く優しい映画で、大事が起きる訳ではないけれど、ナイナイの病気に対して、国や立場の違いでこんなにも悩み、苦しんで、それでも家族の絆を一番に考える彼らの家族への思いは本当に素敵だなと思いました。家族が病気になったら、どんな家族でも、ぶち当たる問題なので、凄く考えさせられました。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。この映画、本当に心に沁みる映画です。観ながら考えちゃいましたもん。いつかは自分にも降りかかる事なので、悩みますよね。もちろん、状況によると思いますが、幸せな時間を過ごせるようにしてあげることが大切なのかなと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。公開は、10月2日です。
ぜひ、楽しんできてくださいね。