「オフィシャル・シークレット」を観てきました。
ストーリーは、
2003年、イギリスの諜報機関GCHQで働くキャサリン・ガンは、アメリカの諜報機関NSAから驚きのメールを受け取る。イラクを攻撃するための違法な工作活動を要請するその内容に強い憤りを感じた彼女は、マスコミへのリークを決意。2週間後、オブザーバー紙の記者マーティン・ブライトにより、メールの内容が記事化される。キャサリンは自分がリークしたことを名乗り出るが、告発も空しくイラク侵攻は開始され、彼女は起訴されてしまう。キャサリンを救うため、人権派弁護士ベン・エマーソンらが立ち上がるが・・・。
というお話です。
2003年1月。英国の諜報機関GCHQ(政府通信本部)で働くキャサリン・ガンは、ある日、米国の諜報機関NSA(国家安全保障局)から送られたメールを見て愕然とする。英米がイラク侵攻を強行するため、国連安全保障理事会のメンバーに対するスパイ活動を指示するものだった。国連のメンバーに不都合な情報を集め、戦争を指示する方に賛成させるための前段階だった。
その内容に憤りを感じたキャサリンは、元同僚の友人を訪ね、マスコミにリークしたいと相談する。彼女は反政府として疑われており、キャサリンに二度と来ないようにと念を押して、情報を流すことを約束する。
2週間後、メールの内容が英国「オブザーバー」紙の一面を飾った。マーティン・ブライト記者の勇気ある告発記事だった。これで一気に戦争回避へと向かうかと思われたが、米国機関のメールを英国の新聞社が校正したため、単語が英国仕様になってしまい、捏造だと叩かれてしまう。
英国の諜報機関GCHQでは、リークした犯人探しが始まり、職員一人一人への執拗な取り調べが繰り返された。キャサリンは、自分の仕事仲間にまで尋問が及ぶ状況に耐えきれず、自ら「リークしたのは自分だ」と名乗り出る。
キャサリンは逮捕され、キャサリンの夫は強制送還されそうになってしまう。夫の強制送還は阻止出来たが、キャサリンの起訴は止められそうにない。キャサリンを救おうと人権派弁護士ベン・エマーソンらが立ち上がる。政府内の取材をするなかで、キャサリンの無実を確信していくベンだったが、相手は政府、簡単に勝てる相手ではない。2004年2月25日、裁判が始まった。果たして、キャサリンは有罪か、それとも無罪なのか。後は、映画を観てくださいね。
うーん、面白い映画だった。これが実話を元に作られたと思うと、驚きの展開なのですが、英国って凄いなぁと思いました。ラストまで観てから、改めて考えると、確かに、上手い解決法というか、出来るだけ国に損失が少ない手段はこれしかないんですよね。いやぁ、やっぱり歴史ある国だから、政治も大切だけど国民も大切で、世界も怖いけど世論も怖いんですよ。だからこの結末が「たったひとつの冴えたやりかた」だったんです。ジェイムズ・ティプトリー・JrのSF小説みたいでしょ。でも、この事実は悲劇的ではないですね。
英国のスパイ機関で働くキャサリンは、ある日、とんでもないメールを目にします。アメリカが送った「国連理事国を脅すネタを探せ。」というものでした。それはイラクとの戦争に賛成させるために脅すネタでした。こんな事、やっていい事ではないと誰もが思うのですが、雇われている身では、誰も反論など出来ず、黙っているんです。だけど、キャサリンだけは、やっぱり許せないわっ!って思って、こっそりメールをプリントアウトして、持って出るんです。そして、人づてに新聞記者に渡るようにするんです。
こういう秘密機関だと、雇われる時に機密保持の契約書にサインをしているから、見つかっちゃって裁判をしようと思っても、弁護士に機密のことが話せないんです。これは難しいだろうなぁと思いました。なんたって国家機密だから制約が多すぎて、弁護士のベンも苦労するんです。でも、何とか糸口を見つけて、それを探って行くところがワクワクしたなぁ。
起訴されるまでが長いので、ちょっと疲れちゃったかなと思いました。もう少し、裁判になってからの部分を長くして欲しかったと思いました。確かに、起訴されるのかどうか、夫の身は大丈夫なのかなどなど、ドキドキする部分は多いのですが、それでも、もう少し、レイフ・ファインズの出番を増やして欲しかったな~。それに法廷劇の方が面白いもん。
キャストがとても良かったので、見応えがある作品になっていました。キーラ・ナイトレイとレイフ・ファインズは、やっぱり見応えがありますね。二人を観ていて、本当に怖いことがあるんだなって思いましたもん。起訴されるまで、半年ほどの間が空くのですが、その間、ずっとキャサリンは監視されていて、ちょっとでも変わったことをすると、直ぐに家宅捜査されちゃったりして、生きた心地がしなかったと思うのですがそれも敵の作戦で、弱っていくキャサリンが可愛そうになりました。そんなキャサリンを助けようと、色々な策を練る弁護士のベンも、静かなんだけど、凄い闘志を燃やしている感じがよく出ていました。
この映画は、言葉で語るよりも観て貰う方が絶対に良いと思います。細かい部分がよく考えられていて、国が国民を裏切ることもあるんだという事を語っていました。こんな事が起こったら、どうした良いんでしょうね。きっと、私は見て見ない振りをしてしまうと思うけど、それを訴えたんだから、すごい勇気ですよね。ビックリしました。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。社会派映画としては、とても良く出来ていて、面白いです。実話を元にしているから面白いのだとは思いますが、どこまでが本当なのかな。情報をリークしたというのは、本当だと思います。裁判も、同じような進み方はしたと思いますよ。イギリスで起こった、国を裏切り、国民の為に尽くしたキャサリンのお話を、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。