「マーティン・エデン」下層から這い上がり手に入れた物は何だったのか。彼の心に残ったものは・・・。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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「マーティン・エデン」をオンライン試写会で観ました。Fan's Voiceさん(@fansvoicejp)の独占最速試写会でした。映画の後に、ピエトロ・マルチェッロ監督を迎えてのトークショーもあり、楽しめました。

 

ストーリーは、

イタリア・ナポリの労働者地区に生まれた貧しい船乗りの青年マーティンは、上流階級の娘エレナと出会って恋に落ちたことをきっかけに、文学の世界に目覚める。独学で作家を志すようになったマーティンは、夢に向かい一心不乱に文学にのめり込むが、生活は困窮し、エレナの理解も得られることはなかった。それでも、さまざまな障壁と挫折を乗り越え、マーティンは名声と富を手にするまでになるが・・・。

というお話です。

 

 

ナポリの労働者街で生まれ育った、貧しい船乗りの青年マーティン。ある日、大きな男に殴られている男を助けると、その男は上流階級の息子で、彼の家に招待をされる。

オルシーニ家に招かれたマーティンは、助けた男の妹エレナに一目で惹かれて恋に落ちてしまう。エレナに近づきたいという一心で、本に興味がある話をし、それをきっかけに文学に目覚めていく。しかし、小学校4年で勉強を辞めてしまったマーティンは、基礎知識が乏しく、どんなに文学を読んでも理解が追いつかない。



エレナに相談をすると、もう一度、基礎知識から学べば問題無い、基礎知識が無いのに作家として成功した人を私は知らないと言われるが、そんなお金も無く時間も無い。生活は困窮し、それでもと、勉強を始めるが続くはずもない。そんな時、ラス・ブリッセンデンという老人に出会い、マーティンの書物を認めてもらい、自力で小説を書きあげていく。

ラスの影響で社会主義の考え方に共鳴し、集会などに参加したマーティンは、エデンに軽蔑され、疎遠となって行く。そんな時、出版社からの連絡があり、マーティンの小説は出版されることとなり、富と名声を手に入れるようになる。喜ぶマーティンだったが、ラスは既に病で弱っており・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画は、アメリカの作家ジャック・ロンドンの自伝的小説「マーティン・イーデン」を、舞台をイタリアのナポリに移して映画化されたものです。

 

イタリアのナポリで生まれて、貧困から小学校もまともに卒業出来ず、教育を受けられなかったマーティンは、ある時、上流階級の人たちと知り合います。そこで美しいエレナに出会い、一目惚れして、彼女と対等に話せるようになりたいと思ったのかな。彼女の部屋にあった本を手に取り、話題を探して話をします。彼女の学の深さに感動したのか、自分も学びたいという欲求に駆られて、その日から沢山の本を読むようになります。

 

 

でも、小説を読むだけじゃ、知識って広がらなくて、やっぱり基礎的な勉強が必要なのよね。それこそ国語・算数・理科・社会ってやつかしら。再度、勉強をしようとするんだけど、やっぱりお金も時間も無いと、出来ないわよねぇ。あー、ダメかなぁって時に、本当にこういう人って、神に見放されないんだと思うんだけど、誰かに出会って、助けてもらえるよの。どんなに天才であろうとも、出会いのタイミングが神がかり的な人でないと、開花出来ません。この辺りが、頭が良いとかよりも、天才なんだろな。

 

そんなマーティン・エデン、カッコ良くて、魅力的なんだけど、これは結構、自分勝手な人間だなぁと思いました。エレナという女性を好きになって、彼女に近づきたいと言いながらも、本を読んで小説を書くとか、ギャンブルっぽいのよね。地道にマトモな仕事に就いて働こうという気は無いんです。そこら辺が、やっぱり貧困からの発想なのかなと思いました。

 

 

時代は第一次世界大戦前の混乱期でして、人々の不満が爆発寸前だったんです。そんな時代なので、富と名声を手に入れても、社会が荒れていて、満足することは無かったのかなと思いました。いつも戦争が起きるかもという不安と、貧困層が増えていく暗い時代です。自分だけが裕福になっても、不満は募って行ったのかなと思いました。

 

この映画、映像がとても面白いと思いました。マーティンが生きている時代の映像で進んで行くのですが、途中で古い映像が組み込まれて、彼が子供の頃の映像で彼が無垢だった時代を描き、帆船などの映像で彼の内面の動きを表しているんです。そしてフィルムが特殊な大きさのもので、私は詳しくないのですが、長方形で角が丸くなっていたりして、不思議でした。

 

 

主演のルカさん、最初の頃のマーティンの労働者の顔と、最後の方の有名作家の顔と、全然違う雰囲気にしているんです。よくここまで変えて演じていたなぁと驚きました。ドン臭い田舎の労働者と、スーツでイケメンの作家、全く違うんですけど、時々、思い出したように労働者の葛藤のようなものが顔に現れるところが素晴らしいと思いました。素敵だったなぁ。

 

映画を観た後に、監督が映画についての質問などにお答えくださって、時代の流れや、古い映像の使い方などの解説もあり、観た後にも映画の理解が深まりました。とても楽しかったです。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。私の好みとしては、超!を付けたいんだけど、途中で古い映像が組み込まれたり、レトロな雰囲気が、一般的なアクション映画や邦画などを観ている方には、ちょっと取っつきにくいのではないかなと思いました。この映画は単館系に慣れている方の方が良いと思います。ちなみに、この映画はベネチア映画祭で主演男優賞を頂いており、他にも沢山の受賞があります。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

マーティン・エデン|映画情報のぴあ映画生活