「追龍」を観てきました。
ストーリーは、
1960年代の香港。中国の潮州から仕事を求めて香港にやってきたホーは、ヤクザ同士の争いに参加して警察に逮捕されるが、ホーの腕力に目を付けた警察署長のロックに助けられる。そのことに恩を感じたホーは、黒社会でのしあがっていき、今度はその立場からロックを助けるなど、2人は次第に友情で結ばれていくが・・・。
というお話です。
1960年、ン・シーホウは仲間と共に、中国本土・潮州から不法移民として香港に渡って来た。香港なら稼ぐことが出来ると考えたからだった。
しかし、香港でも貧困に苦しむシーホウたちは高額な日銭が得られると聞きつけマフィア同士の暴動に加わる。暴動の鎮圧に来た警官に追いつめられたシーホウは現場の指揮官である英国人警司ヘンダーに暴行を加え拘束されてしまう。
警察に連行後、怒りのおさまらないヘンダーは署内でシーホウに酷い暴行を加えていた。シーホウの身に危険を感じた香港警察のリー・ロックは、シーホウを助け保釈した。シーホウはロックに恩義を感じる。
その後、仲間のカジノでの不正行為の落とし前として黒社会に身をおくことになったシーホウ。裏社会で仕事をし、ある程度の稼ぎが出来るようになり、妻と息子を中国本土から呼び寄せるが、不法移民の取締りにより、香港に着く直前に海で亡くなってしまう。家族の死によって、気力を失くしてしまったシーホウ。部屋から出ない日が続いていた。
一方、長年に渡り対立していた警察幹部のトン・ガンとマフィアの陰謀により追いつめられたロックは、取引の為に九龍へと入って行く。もしもの時は救難信号を撃てと言われていたが、沢山の敵に追われ、取り囲まれ、信号弾までも落としてしまう。もうダメだという時に、シーホウが現れ、ロックを救出し助ける。しかし、あまりの敵の数に苦戦し、ロックを救う際にシーホウは、親分のチウに足を砕かれてしまう。ロックの為に、裏切りの制裁として自らの足を犠牲にしてしまったシーホウ。ここで2人の間には友情と信頼が生まれた。
当時の香港は、警察と黒社会が結託し汚職が横行していた時代であり、2人は手を組み、シーホウは麻薬王として、ロックは警察上層部へ出世し、互いに更なる権力を手に闇の階段を駆け上がって行く。後は、映画を観てくださいね。
1960年代の香港に実在した香港マフィアのボス、ン・シックホーと警察署長ルイ・ロックをモデルに、汚職が蔓延した警察とマフィアがつながっていた黒社会を描いています。
実話が元になっているので、事件が起こってこうなってというのを描いたら、ぶつっと切れて次の事件に飛ぶので、映画のストーリーとしては、ブツブツしているような気がしてしまいました。でも、まぁ、ある時代の人々の歴史を描いているのだから、仕方ないのかな。
とにかく、警察の誰もがお金の事しか考えてなくて、ビックリするくらい強欲なんです。偉くなって権限を持てば、それだけお金も手に入るので、どのマフィアと組んで相手を潰そうかと、お互いに作戦を練るんです。ロックは最初は下っ端なんだけど、上司を潰して、どんどん上にのし上がっていくんだけど、上司も負けてはいなくて、他のマフィアと組んでロックを潰しに来るんです。
そのやり方が酷くて、普通、警察とか言ったら、頭脳戦で相手を陥れるとかしそうだけど、この映画では、完璧に暴力に訴えるんです。相手を殺しちゃえば勝ちだよねって感じで、マフィアを使って殺そうとするんです。酷いでしょ。斧とかトンカチとか鎌とか、オイオイっていうような武器で襲ってくるので、ビックリでした。
そんな警察のロックに協力するのがシーホウで、彼は中国から不法入国してきて、九龍で力を付けていくんです。普通の労働者となるはずだったんだけど、友達の借金を返すために仕方なく裏社会で仕事をするようになって、頭角を現して行くんです。その途中で、ロックと出会い、信用し合う仲になって行きます。
二人とも、情が厚くて、相手を裏切ることはしないんです。これほど正反対の仕事をしていながら、相手を裏切らず、いつも助けに行くというところが、強い友情があるんだなって思いました。これ程に相手を思って行動するって、そんなに出来る事じゃないから、悪い事をやっているんだけど、ついつい共感してしまうんです。
古い時代を描いた映画だから、ちょっとスピーディじゃないし、カッコいいとは言い難い部分もあるんだけど、ノワール的なものが好きな人には、良いんじゃないかなぁと思いました。私は、あまり得意じゃないけど、この映画は楽しめました。でも、賛否が分かれる作品だとは思います。ドニー・イェンがイップ・マンとは違う悪い人でビックリ。アンディ・ラウはスピーディな悪に徹していました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。上にも書いたように、賛否が分かれる内容だと思うので、古い時代の香港映画が好きな方や、ノワール的なモノが好きな方、日本で言うヤクザ映画が好きな方には、喜ばれそうな気がしますが、現代風のカッコいい香港映画を思って行くと、ちょっとダメかもしれません。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。