「グレース・オブ・ゴッド 告発の時」聖職者による児童性的虐待を続けさせないために立ち上がる人々。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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「グレース・オブ・ゴッド 告発の時」を観てきました。

 

ストーリーは、

妻と子どもたちとともにリヨンに暮らすアレクサンドルは、幼少期にプレナ神父から性的虐待を受けた過去を抱えていた。アレクサンドルは、プレナ神父が現在も子どもたちに聖書を教えていることを知り、家族を守るために過去の出来事の告発を決意する。彼と同様に神父の被害に遭い、傷を抱えてきた男たちの輪が徐々に広がっていく中、教会側はプレナの罪を認めながらも、責任を巧みにかわそうとする。信仰と告発の狭間で葛藤するアレクサンドルたち。彼らは沈黙を破った代償として社会や家族との軋轢とも戦うこととなる。

というお話です。

 

 

妻と子供たちと共にリヨンに住むアレクサンドルは、幼少期に自分を性的虐待したプレナ神父が、いまだ子供たちに聖書を教えていることを知り、愕然とする。自分と同じような子供達を作ってはいけないと思い、教会へ訴え出ることにする。何度か教会側の担当者と面会し聞き取り調査をされ、プレナ神父の性的虐待を訴えたアレクサンドルは、枢機卿から、一度、プレナ神父に会ってみないかと言われ再会すると、プレナ神父は過去の自分の彼への行為を全面的に認めるが、全く謝罪をしようとしなかった。

枢機卿は事のあらましを知り、アレクサンドルにキチンとした対応をすると約束をする。これでプレナ神父は聖職はく奪されるはずと思っていたが、彼は一向に離職する様子が無い。いつまでも無かったことにしようとする教会側に怒ったアレクサンドルは検察局に訴え出る。



 

直ぐに調査を始めた検察は、アレクサンドルに聞き取り調査をし、他にも沢山の被害者がいるはずだと判り、アレクサンドルは自分以外の被害者を探し始める。検察も調査を薦め、フランソワという男性にも連絡をする。彼も被害者だった。

最初は関りを拒んでいたフランソワ、長年一人で傷を抱えてきたエマニュエルら、同じく被害にあった男たちが何人も現れ、被害者の輪が徐々に広がっていく。しかし、教会側はプレナの罪を認めつつも、責任は巧みにかわそうとする。

一方、アレクサンドルたちは沈黙を破った代償として、社会や家族との軋轢とも戦わなければならなかった。今更告発することに意味があるのかと言われるのだが、子供の頃は言いたくても言えなかったのだ。長い間、その苦しみを抱いたまま生きてきた彼らは苦しみを少しでも軽くするために、そしてこれからの子供達が被害に遭わないために、身を削ってでも声を上げる事にしたのだった。彼らの訴えはどうなって行くのか。教会は自分たちの罪を認めるのか。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画を観て、本当に教会の対応に怒りを覚えました。新しいローマ法王になり、神父による性的虐待の事実を認めて、決して許さないと言っていたのに、個別の地域では、まだまだ隠そうとしていたんですね。酷い話です。

 

でも、日本も教会と一緒ですよね。本当に児童に対しての性的虐待を、全然問題視している感じが無いですもん。日本で多いでしょ。家庭内での親による子供への性的虐待や、学校などのコミュニティで教師による性的虐待、他にも地域での子供の誘拐やレイプなど、本当に恐ろしいです。もっと子供への虐待は重罪にして欲しい。特に性的虐待は重くしてくれないと、被害にあった子供は一生、怖い思いをしながら生きて行かなければいけないんです。

 

 

性的虐待は、子供は親に話せないんです。この映画でも描かれていますが、尊敬している人に嫌われたらイヤだという思いと、虐待された自分は汚いと思って恥ずかしさから言えないんです。子供が何とか話したとしても、親が親身になって一緒に戦ってくれれば良いのですが、ほとんどの親は忘れなさいと言うだけ。忘れられる訳が無いじゃないですか!だから、一生、その事で苦しんでいく事になるんです。

 

アレクサンドルが訴え出たことで、被害者が声を上げ始め、やっと告発をすることが出来るのですが、子供の頃の事なので、既に時効を迎えてしまっている虐待もあり、問題が出てくるんです。でも、子供の性的虐待は、子供で声を上げられない時代は時効の年数に含めちゃダメでしょ。満16歳を過ぎた時点から年数を加算するとか、20歳からにするとか、そうしないと、事の善悪が解らない状態で告発しろだなんて無理なんですから。

 

 

一番、苦しんでいるようだったのがエマニュエルという男性で、IQ140の天才なのですが、頭が良すぎて社会に馴染めず、子供の頃のトラウマがあり、人とのコミュニケーションが上手く出来ず、ショックを受けると引き付けを起こして倒れてしまうんです。プレナ神父にされたことを思い出すだけで震えてしまう程でした。

 

エマニュエルの母親は、息子の苦しみを知り、子供の頃に気が付いてやれなかったことや、助けになれなかった自分を悔いて、今、精一杯、息子を助けるんです。本当に息子を愛しているんだなと思いました。もし、このエマニュエルが被害に遭わずに、もっと伸び伸びと何かに打ち込むことが出来ていたら、凄い人物になったかもしれないのに、虐待事件が未来を潰してしまったんです。

 

 

訴える彼らを教会側は、のらりくらりとかわそうとして、全く動こうとしないんです。それに、プレナ神父の児童性愛の事を知らなかったと言い張るのですが、プレナ神父は昔からこの病気=児童性愛の事は相談していたと証言するし、親たちが教会に訴えていた文章も出てきてしまい、言い逃れが段々と出来なくなっていきます。ざまぁみろと思いました。まだ、現実の裁判は終わっていないようなのですが、どうなるんでしょう。でも、訴え出たことで、教会の中に蔓延る悪魔があぶり出された訳だし、それなりの結果が出るのだと思います。

 

聞き取り調査で、性的虐待の様子を被害者が話して行く場面があるのですが、聞いていても、心臓が口から出そうなほど苦しくなりました。少しでも覚えのある人は、この告白は辛いです。話しながら息が詰まってしまう気持ちがとても良く解りました。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。まるで日本の隠れた問題を描いてくれているようで、心が痛みました。今現在、フランスで大きな問題となっている事件を取り上げた、問題作です。ベルリン国際映画祭でも銀熊賞に輝き、幾つもの受賞がある作品です。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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