「SKIN / スキン」を観てきました。
ストーリーは、
白人至上主義者に育てられ、スキンヘッドに差別主義者の象徴ともいえる無数のタトゥーを入れたブライオン。シングルマザーのジュリーと出会ったブライオンは、これまでの憎悪と暴力に満ちた自身の悪行の数々を悔い、新たな人生を始めようと決意する。しかし、かつての同志たちは脱会を許さず、ブライオンに執拗な脅迫や暴力を浴びせてくる。そして彼らの暴力の矛先はジュリーたちにも向き始める。
というお話です。
反ファシスト抗議を行う人々に、猛然と襲いかかるスキンヘッドの男たち。そのうちの一人の名は、ブライオン・“バブス”・ワイドナー。十代で親に見捨てられ、白人至上主義者グループを主宰するクレーガーとシャリーンに拾われ、実の子のように育てられた。彼は、今やグループの幹部となり、筋金入りの差別主義者となっていた。タトゥーショップで働く彼の体には、鍵十字など、差別的なメッセージを込めたタトゥーが無数に刻まれている。
3人の幼い娘を育てるシングルマザーのジュリーは、ある日、ブライオンのいる白人至上主義者グループの演説会に呼ばれ、娘3人に歌わせる依頼を受ける。娘が歌っていると、グループのスレイヤーが子供騙しだと騒ぎ出し、娘たちが怖がってしまう。ブライオンはジュリーと子供達をかばい、逃がしてやる。
その出会いをきっかけに、ブライオンはこれまでの自分の人生に迷いを感じ始める。自分たち以外の人間を認めず、憎悪を膨らませていくグループの考え方に疑問を感じたのだ。しかし深夜にモスクを襲う為に呼び出され、断り切れなかったブライオンはモスクを襲うが、中に居た移民をコッソリ逃がしてしまう。
残酷な仕打ちに耐えられなくなり、グループを抜け、彼女と新たな生活を始めようと決意するが、前科とタトゥーが障害となり、なかなか仕事につけない。見つからないように逃げてきたつもりだったが、グループに見つかり、彼の裏切りを許さないスレイヤーら元仲間たちからは、日々脅迫が続いていた。
家族の安全と自らの幸福との間で悩むブライオンに、反ヘイト団体を運営するダリル・L・ジェンキンスは、転向を手助けしようと申し出る。ある裕福な女性が、彼のタトゥー除去に資金を提供するというのだ。過去の自分と決別するため、ブライオンは、計25回、16カ月に及ぶ除去手術に挑む。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、元はショートフィルムなのですが、内容は随分と変わっていました。ショートフィルムの方は衝撃的な終わり方で、息が詰まるような感じだったのですが、改めて長編として作られたこの映画は、素晴らしい出来で、感動しました。まさに、今、問題となっている差別の問題をギュッと凝縮したような内容で、凄く考えさせられました。ショートフィルムとは違い、衝撃で終らせるという事はありませんでした。
実在のブライオンさんのお話を映画化したものです。2003年に発足したレイシスト集団「ヴィンランダーズ」の創設者の方で、自分が体験したことを綴って、それがTVドキュメンタリーとして公開されたようで、それを観たガイ・ナティーヴ監督が、ぜひ、彼の実話を基に映画化したいと申し出たそうです。
ブライオンさんは、子供の頃にグループの主宰者に拾われて、育てられたそうで、白人至上主義が悪い考え方だとは全く思わずに育ってきてしまったので、他人を排除することを何とも思わなかったようなんです。でも、好きな人が出来て、他人を認める事、他人を思いやることを知り、自分たち以外を認めないのは間違っているのではないかと思い始めるんです。
可哀想ですよね。だって愛情を知らずに育ってきたので、人への思いやりや、相手にも家族がいるなどの想像力が持てていなかったんです。それが、ジュリーと子供達と出会うことによって、開眼するんです。でも、早くに気が付いて良かったと思います。このまま年を取ってしまっていたら、どうしようもない人間になっていたでしょう。
それにしても、全身のタトゥーを除去するって、16ヶ月も掛かって、こんなに痛いんですね。映画を観ていてびっくりしました。タトゥーを入れるのは簡単かもしれないけど、消すのにこんなに大変で、こんなにもお金がかかるなんて、驚きでした。若い頃は、カッコつけてタトゥーを入れているんだと思うけど、未来の事を考えて行動することって大切ですね。私は、タトゥーを否定はしないけど、入れるなら一生付き合う気持ちで入れないとね。
ブライオン役のジェイミー・ベル、どんな役でもこなしますねぇ。弱い役から強い狂暴な役まで、何でも来いって感じでカッコ良くて好きです。彼は表情が良いんですよね。リトル・ダンサーの時から、イイ顔するなぁって思っていたんです。今も素敵ですねぇ。
ジュリー役のダニエル・マクドナルドさん、こんな風な役者になるとは驚きました。コメディが上手かったし、とてもふくよかなので、その路線かと思っていたけど、こんな役も良かったです。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。今、ぜひ観るべき作品だと思いました。アメリカで、こんなに騒ぎが大きくなっている事の発端は、こんな考え方をする人たちがいるからなんだって事を知る、良い内容だと思いました。人間同士が思い込みで相手を認めないなんて、あってはいけない事だという事を、今一度、考えるべきだと思わせる映画でした。それに、すごいラブストーリーです。人を愛する気持ちの強さを描いています。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。